68/82
35.45.独白
「あーあぁ……これはこれは……」
サーベルが刺さったまま地面に転がり落ちたレンの元に白いロングコートを着た人物が立つ。
「忘れ物」
そう言って彼はレンの左腕を放った。
そして、レンを貫いているサーベルを抜いた後、そのサーベルを何処かへ消す。
「悪趣味だな」
死骸の山を見て呟いた。
「……はぁ。お前のせいで、こんな面倒なことになってんだぞ。なぁ、おーい!」
しかし、その声は闇に飲まれるだけ。
「くっそ……いるのは分かってんだぞ……」
遠くから様子を窺うモンスター達。それに対し、彼が笑顔を見せると群れは足早に消えていった。
「おいおい、失礼だな。どんなしつけしてるんですか」
引きつった笑みを浮かべて、周囲をぐるりと見回す。
「おかげでこっちにも支障が出てるんだ。お手柔らかに頼むぜ。あー、あと、早く次にいこう。俺も楽しくなってきたわ」
男は親指と人差し指で輪を作り、その穴からスコープのようにしてレンのことを見た。
「ミイラ取りがミイラに、ね」




