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染まらぬ色は心を麻痺させる

 髪の結い目につけられた装飾品を互いに見合って賛美する二人。


「キレイ! こんなにセンスあるもの、限られた人間しか作れないよね!」

「同意見! うわー、ホントにキラキラしててうっとりしちゃう。ティーネなんか二個ついてるから飛べそう!」

「冗談抜きに飛べそうなくらい気分いいよ! ありがとね、くーちゃん!」

「今度何かお礼するから!」


 妖艶な光を放つワワッグの羽根は雪景色の中でも色褪せることはない。

 道中ビビとティーネに褒められっ放しのクローディアはやや疲れているようにも見えるが、それよりも嬉しさや感謝の方が圧倒的に強く、彼女は心の底からその柔和な笑みを浮かべていた。


「いえいえ、気にしないでください。いつも贔屓にしてもらっているので、そのお礼です。初めてお二人にお会いしましたけど、私の作品をそんなに喜んで使ってくれていて、本当に本当にありがたいです」

「くーちゃん、堅苦しいよ! もっとフランクにいこ! ね?」

「あたし達と同い年なんだし、ため口でも全然いいよ!」

「……そ、そうですね。検討してみます!」


 七人という大所帯で雪原を進む。冷えた空気の下でも温もりを感じて進むレン、その一歩前を行くフェリシアは振り返ってクローディアを気に掛けた。


「もう十分言いたいことは伝わったと思うわよ。その辺にしときなさい。それよりクローディア、ワワッグの羽根使っちゃって良かったの?」

「はい! 素材収集といっても目的は作品のためで、その作品はみなさんに喜んでもらうため提供しているので、これでいいんです! フェリシアさんにも何かお作りしたかったんですが……本当に何もいらないのでしょうか?」

「ええ、大丈夫よ。私は……その……貴重な素材、他の人のために使ってあげて。きっとその方がいいわ」


 変に悲しませないよう精一杯の笑顔でそう返す。


「そうですか。何か欲しいものがあったら、その時は遠慮せずに言ってくださいね!」


 クローディアも彼女に眩しい笑顔を向けた。




「ねーねー! これもクローディアに作ってもらったのー?」

「うおっ!? どっから湧いた!?」


 白く細く美しい彼女の体は雪化粧の中にすっかり隠れてしまう。触れれば失われてしまいそうな儚い見目に畏怖の念を覚えながら、イッキはアルムの問いに答える。


「アルムちゃんから話しかけてくるなんて、珍しいこともあるもんだな。これはナフィアの街でグラディスって人にもらったんだ。ただの腕輪じゃないぞ、なんと……って、聞いてる?」


 アルムは彼を無理矢理に引っ張って腕輪を近くに寄せた。


「ちょっーと、よーく見せてー」

「ちょっとなのか、よくなのか……うん、まぁいいよ。はい」


 造られた雪ウサギのような赤い目で穴が開く程じっくりと腕輪を見て、何かを確認するよう幾度かそれを回転させる。その間イッキは蛇に睨まれた蛙のようになっていた。


「ありがとー」

「……おう」


 自由気ままに行動するアルムは大好きなクローディアの方へと向かっていく。


「なんだかなぁ……。ん? あれなんだ?」

「どした? 何か見つけたん?」


 イッキが指さす先を、極鍛術はせず、じっと見つめて何かを確かめた。赤と茶。霞んだ世界、今の距離ではそれが限界である。なので、その何かが近づいてくるまで少し待ったのだが、接近してくる速度が思ったより速い。


「モンスターの群れじゃねぇよな……」

「安心しろ! どんだけの数いたって俺がまとめてぶっ飛ばす!」

「そ、それは心強いこった……」


 先頭を行くフェリシアが立ち止まって呟いた。


「インレリ……」

「インレリ?」


 聞き覚えのある言葉。確かビビとティーネに初めて出会った時、彼女達がそんなことを言っていた。

 結論から言えば、その正体はモンスターであった。鹿に近い体をしていて、頭には角の代わりに羽、翼が生えている。

 なんとも奇妙な姿……率直に言ってダサい見た目だ。インレリはそりをひいており、そのそりには赤い服を着た人が乗っている。


「サンタさん……」

「サンタさぁん!? お……おほぉ……」


 レンが変な反応をしてしまうのも無理もない。今、レン達はそのサンタ集団に囲まれていた。

 羨望の眼差しを送りながら、フェリシアは手を祈るようにして握る。

 サンタの一人がフェリシアに尋ねた。


「この辺りで何かおかしなことはなかったか。さっき異様な地響きがあっただろう」

「む、向こうに大きな穴が開いていました」

「穴?」

「はい!」

「んー……そうか。ありがとう、助かった」

「い、いえ! とんでもありません!」


 情報を得るや否や、すぐにサンタ集団はその穴の方へ向かい消えていった。


「な、何だったんだ……一体」

「サンタクロースだね。ハニーも昔プレゼントもらったでしょ?」


 どうやらこっちのサンタクロースもサンタクロースしているらしい。


「でも、特定の日以外はこの地域の警備してるんだ~。自治団体ってやつ?」

「は……はーん……」


 横目でフェリシアを見てみれば、彼女は今まで見たことないくらい幸せそうな顔をしていた。

お疲れ様です。

いやー、作者もお疲れました笑

一日に三度の更新。自分でも驚きです。

明日から多忙になること間違いなしなので今のうちに、と。

大変でしたけど、やはり執筆活動は楽しいです!

次の話も良ければ読んでくださいね!

ではでは!

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