必然の出会い
フェリシアの額に凄まじい量の汗が流れる。
「赤髪なんて、そうそういないしね。一目見て、あれ? って思ったよ。あと、そのポニテ! フェリたんよりアタシが強いのは、髪の束数の差だー! って昔、言ってたっけ。そしたら、次の日フェリたん、ドレッドヘアでスクールに来て……」
懐かしの思い出を回顧して、ティーネは思わず吹き出した。フェリシアは自分の髪色と同じくらい顔を真っ赤にする。
「あたしも名前聞くまでは疑い半分だったんだよ。ずいぶん雰囲気も変わってたからさ。いやー、それにしても本当に久しぶりだね! 何年ぶり?」
二人から目をそらして歯を食いしばり、冷静さを装う。
「……十年ぶりくらいかしら」
ビビとティーネは顔を見合わせて笑った。
「聞いた? ビビ姉、聞いた? かしら、だって! か・し・ら」
「聞いた、聞いた! もー、ホント変わっちゃって! みんなのアイドルうるうるフェリたんは見る影もないね!」
いつもの冷静でかっこいい、クールなフェリシアは何処へ。涙目で彼女はキレ気味に反抗する。
「うっさいわね! 時が経てば人は誰でも変わるのよ! あんた達も何よその髪! 昔はピッカピカの黒髪だったでしょうが!」
「あー、これ? 最近カラーリングしたんだよ。あたしもティーネも金髪に憧れててさ。思い切って染めちゃった! どう? 似合ってる?」
ビビは自らの長髪を見せつけるようにかきあげた。ムラなく綺麗に染まった黄金の糸を雫が伝う。
「リュートが見たらなんて言うか……」
「アニキは似合ってるって言ってくれたよ」
「え、あんたらいつの間に……。この前会った時は何も言ってなかったわよ?」
「特に言う必要もないと思ったんじゃない? ってか、仲直りしたのは随分前のことだよ」
苦笑いをしながら、確かにそうか、と首肯した。
「ああ見えてリュートって重度のシスコンだものね。ずっと放っておくわけないか」
「あたし達としては放っておいてもらっても構わなかったんだけど。キモいし」
「久しぶりに会ったら拍車かかってたよね……キモ……」
ビビとティーネは二人揃って苦い顔をする。
「あ、あのー……」
どこか申し訳なさそうで消えてしまいそうな声。クローディアはおっかなびっくり手を挙げた。突然の発言で皆の注目の的となり、その視線を集めた当の本人はそれに対し少しばかり怯える。
「その……会話から察するに、お二人はリュートさんの妹さんなのでしょうか……」
即座に返答はなかった。何かを必死に考えているようである。問いかけられた二人は質問者の顔をじっくり見て頷いてから、二人で挟み込むようにして抱き付いた。
「……!」
「くーちゃん! 初めまして! あたしはリュートアニキの妹で双子の姉ビビ! 噂はアニキから聞いてるよ! ホントにかわいい!」
これは初めましての人がする行為なのであろうか。クローディアの顔は彼女の胸に半分くらい埋まってしまっている。
「アタシは同じくリュートアニキの妹でさらに双子の妹でもあるティーネ! 食べちゃいたいくらいカワイイね! よろしく~!」
一体何をよろしくするんだろう。
「ちょ、ちょっと!」
それを見かねたフェリたんは強引にくーちゃんから二人を引き剥がした。
「クローディアは繊細なんだから、いきなりそういうことしちゃダメよ!」
圧死寸前だったロリっ娘の目は渦を巻いていて、クラクラしている。
「ぶー……フェリたんのケチ……。あ、もしかして嫉妬してる? アタシ達の気が違う方に向いちゃったから」
「んな訳ないでしょ!」
「もー、照れちゃって~。可愛いんだから~」
そんなやり取りをしている脇でビビはきちんと謝っていて、それをクローディアは快く許した。
ポニーテールとツインテールがじゃれ合っているのを見て、レンが一言。いや、二言。
「桃源郷! 酒池肉林!」
「前者は良いとして、後者はどうよ。ってか、いつまでこのままいるつもりだ。いいから早く俺の膝の上からどいてくれ……」
お疲れ様です!
そして来ました、50回! 特に何もありませんけどね笑
本当は適当に曲でも作ろうと思ったのですが……MTRがない! という事態になりまして止む無く中止しました。
別にパソコンでも作れるのですが、ちょっと、いや、かなり面倒なので避けた次第であります笑
さて、本編は50回という区切り? を迎えたわけですが、まだ終わりそうにありません。
物語のラストは考えてあるんですけど、書いているうちに間のストーリーが止まらなくてですね……笑
どうかこの自分勝手な創作に最後まで付き合っていただけたらと思います。
では、また。




