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その差は何か

男子二人でドリクラをプレイしたあの夜。

思い出しただけで涙が止まりません。

 フェリシアは刀身に滴る血を払い、剣を鞘に納める。

 食い気味に重なっていく白い吐息。火照る頬に流れる汗が寒さで冷え、妙に心地良かった。

 地に張り付けられた三人を見て、フェリシアは血相を変える。


「大丈夫!? しっかりして!」


 首筋を触り、脈と体温を確認する。死んでいるわけではないが、その状態は極めて危険だった。震える紫の唇で必死に何かを伝えようとするイッキの目は虚ろで、今にも消えそうな淡い光が揺ら揺らと輝く。


「俺が三人共運ぶ! フェリシアは先に戻って、色々と用意しといてくれ!」

「三人共って……」


 レンは真っ直ぐ彼女を見つめて頷いた。


「……分かった。頼んだわよ」

「おう!」


 モンスターの亡骸を覆う雪は降り続く。灯が消えないよう、レンは全力でその中を駆け抜けた。




「レンって言うんだよね。んー、でも何だか他のみんなもそう呼んでるみたいだし、違う呼び方がいいなー……。うーん、そうだ! ハニーって呼ぶね! ハニー!」

「いやぁ……。金髪の子にハニーって言われると、なんか某プロダクションの眠り姫思い出しちゃうから……」


 細く長く綺麗に纏められた金色の髪が左右で左右に揺れた。風呂上がりの女性は妖艶な雰囲気を放っている。

 乾いているといっても、そんなにすぐに括っては髪が痛むのでは、などと普段気にしないようなことを気にして気を紛らわしていた。


「じゃあ、あたしはダーリンって呼ぶね。ダーリン」

「なんで好きになっちゃったのかなぁ……」


 シャンプーの香りが鼻孔をくすぐる。時たま当たる髪の水滴がレンをさらに強張らせた。

 全く身動きが取れない。少しでも動いたら当たってしまう。というか、もう当たっている。


「そ、それにしても……いやー、本当に無事でよかった! お前が死ぬんじゃないかと思って、本当に焦ったぜ」

「足手まといにも程があるよな。すまない、ありがとう。助かった」

「礼ならフェリシアに言ってくれ。俺は何もしてない」


 レンは首を後ろに向けようと思ったが、すぐにやめた。

 階段付近で腕組して不機嫌そうに立っているフェリシアにイッキは視線をスライドさせ、表情だけで感謝を伝える。話しかけると殺されそうだったから。


「そうだな、じゃあ代わりにと言ってはなんだがこの言葉を贈ろう」


 イッキは柔和な笑みを浮かべる。生を噛みしめ、感謝の意を忘れないよう、胸の内にそれを大切に大切にしまった。そして、


「死ね!」


 罵倒した。


「何その状況! キャバクラ? 金髪美女専門店? 夢のような空間だな、おい! ドリームだな! 全然ピュアじゃねぇよ! くたばれ! このコロッケ野郎が!」

「な、なんでコロッケ……」


 レンは微動だにせず呟いた。


「でも、そうなると金髪ロングは……」


 ビビの胸に目が行く。鎧を纏っていた時は気付かなかったが、わりとでかい。弓を扱う時に邪魔になるから、押さえ付けて抑えてあったのだろう。そして、今、その豊かな膨らみはレンの腕に押し付けられている。


「全然ハーフじゃねぇ! つーか、逆だろ! ロングとツインテ!」


 ティーネはそれを聞いてよく分からないが何故かむっとした。

 双子でも全ては似ない。本当に世の中分からないことだらけだ。


「ねー、ハニー。今日は一緒のベッドで寝ようね?」

「ふぇ!?」

「ダメよ、ダーリン。今日はあたしと一緒でしょ?」

「ふ、ふえぇ……」


 両脇の二人がレンをプレスする。さらに後ろからも物凄い重圧がかかっていた。


「の、のー! のーせんきゅー!」


 レンはたちあがり、イッキの方へずかずかと歩いていく。


「今日はイッキと夜を明かすって決めてたんだ! だから無理!」

「え……」


 本当に嫌そうな顔をしてイッキは身を反らした。


「あーいうの、ぼーいずらぁぶって言って、あれを見た時はホモォ……って言わなきゃいけないんだよ!」

「ほ、ほもぉ……」


 少し離れた所で現場の様子を窺うクローディアにアルムはおかしなことを吹き込む。

 頬を膨らませて拗ねる双子は事前に示し合わせたかのような完璧にタイミングで後ろを向いた。


「いやー、でもまさかだよね」

「うんうん、ホント偶然」

「「ね、フェリたん!」」


 その言葉を向けられたフェリシアは不機嫌顔から一変。驚きと焦りが入り混じった表情をして、むせこんだ。


「も、も、も、もしかして……ビビとティーネ!?」

お疲れ様です。作者です。

またどうでもいいことを書きますので、読み飛ばしていただいて結構です。

さて、この作品は一応バトルものであります。作者的にはあまり重点を置いていないのですが、バトル必須のファンタジーものです。

しかしながら、作者はその辺の描写がどうも苦手でして、読者様に思い描いている映像が伝わっているか微妙なところだと思います。

努力はしているんです。けど、どうも上手くなりません。やはりそういうジャンルの本を一度読んでみた方がいいんでしょうか? 悩ましい……。

さて、次回は記念すべき第50回です。だからと言っていつもと何ら変わりありませんがね!

では、また次話で!

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