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ブレイク

「今のうちにやっちゃってください!」


 真っ赤な炎が、地に落ちた鳥を包み込んでいる。攻撃には絶好の機会。


「……――」


 フェリシアはまだ動けないらしい。声も出せていなかった。


「分かった! 思う存分殴ってくるぜ! 食べ物の恨みは恐ろしいぞ!」


 そう言い残して駆けていったレンだが、急に足を止めてつぶやく。


「……あれ、めっちゃ熱いんじゃないか?」


 目の前には炎々と燃えるワワッグの山。

 レンは拳にナックルダスターという武器を付けているものの、その他は心許ない装備。フェリシアが身に着けているような鎧なんてない。上半身は黒いTシャツに灰色のパーカー、その上にジージャンという着こなしで、下は黒のジーンズ。こんな火炎の中に飛び込んでしまったら、間違いなく黒焦げだ。

 激しく燃える炎の前で躊躇しているレンの後ろから、声が聞こえる。振り向くレン。


「レン! そいつらそこに固めておいて! 一掃する!」

「固めておくって……?」


 もう一度ワワッグ達の方を向くと、焦熱地獄から抜け出そうとしているのが一羽。

 フェリシアは小さな声で、また何かの呪文を唱えていた。先の詠唱より時間がかかっている。


「そういうことね!」


 レンは走って、その脱獄者の前に立ちふさがった。炎の中から抜け出したワワッグの角を素手で掴み、ジャイアントスイング。


「地獄へ送る!」


 燃え盛る炎の中に再び放り込み、レンは叫ぶ。


「フェリシア!」


 呪文を唱え終えたのか、彼女の剣に妖艶な火が纏っていた。


「任せなさい!」


 フェリシアは全速力で火の中へと飛び込む。迅速に斬撃を加え、彼女はすぐさま火中から出てきた。


「本当にきれいね。殺すには惜しいわ」


 彼女の背後で炎はさらに激しく燃え上がり、その後、それは一瞬で鎮火する。焼け跡では、無残な姿のワワッグ達が息絶えていた。

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