第54話『翔太、女装で登校!クラスでバカにされる』
秋も深まり、校門前の木々は赤や黄色に色づいていた。
翔太は今日、初めて女装で登校する日を迎えていた。
制服はブレザーで、スカートもパッドも準備済み。
玲奈や美咲と同じ制服で、スタジオでの練習も重ねてきた。
「翔太くん、大丈夫?」
玲奈が玄関で声をかける。
「う、うん…緊張するけど…やってみます」
翔太は深呼吸をして、スカートの裾を整える。
美咲も笑顔で励ます。
「最初はみんな驚くかもだけど、自然に笑えば大丈夫!」
校門をくぐると、クラスメイトたちの視線が一斉に翔太に向けられた。
「え…翔太?!」
「な、なんで女の子の格好してるの?」
教室に入ると、男子たちはくすくす笑い、女子たちは驚きと興味が混じった視線を送る。
翔太は胸の膨らみやスカートを意識しながら、机の間を歩く。
(落ち着け…自然に…!)
心の中で何度も自分に言い聞かせる。
しかし、空気は緊張したままでは終わらなかった。
男子の一部がからかう声を上げる。
「おい、翔太、スカートめくれそうだな」
「パッド入れてるの見え見えじゃん」
翔太の顔が赤くなる。
「ち、違う…そんなことない…」
しかし、声は震えてしまう。
そのとき、玲奈が前に出る。
「翔太、気にしないで!みんなはただ驚いてるだけだから」
美咲も隣で力強く言う。
「そうだよ。みんな、翔太は翔太だよ!」
クラスの女子たちが次々と声を上げる。
「翔太くん、可愛いよ!」
「うん、ブレザー制服似合ってる!」
少しずつ周囲の雰囲気が変わり、からかいの声が減っていく。
しかし、男子の一部はまだ面白がってざわつく。
翔太は胸の膨らみを手で軽く隠しながら、少し俯く。
(やっぱり…恥ずかしい…でも、頑張る…!)
玲奈がそっと手を握る。
「大丈夫、翔太くん。私たちも一緒だよ」
その瞬間、翔太は少し自信を取り戻す。
授業が始まり、教師も驚きながらも温かく見守る中、翔太は少しずつ自然な動きと笑顔を見せる。
周囲の視線に慣れるにつれ、心も落ち着き、クラスメイトたちとの距離も少しずつ縮まっていった。
昼休み、クラスの女子たちが声をかけてくれる。
「翔太くん、放課後の文化祭練習も一緒にやろうよ」
「うん、頑張ろう!」
翔太は笑顔で答える。
(怖かったけど…やっぱり、挑戦してよかった…)
午後の授業が終わる頃には、少しずつだが、翔太の女装はクラスに受け入れられ始めていた。
玲奈と美咲と並んで教室を出ると、夕日の光に照らされながら、翔太は誇らしげに胸を張る。
「今日の挑戦、成功…かな」
心の中で小さくつぶやく翔太。
初めての女装登校は、まだ周囲の目が厳しい中での挑戦だったが、彼の自信と勇気を少しずつ育てる一歩になったのだった。




