第30話『開幕!女装コンテスト』
午後2時。
学校の中庭に作られた特設ステージには――
たくさんの人が集まっていた。
「すごい人…」
玲奈はステージ裏で小さくつぶやいた。
文化祭の人気イベント。
女装コンテスト。
観客は生徒だけじゃない。
保護者や卒業生、近くの人たちまで集まっていた。
ざわざわ……
ステージの司会がマイクを持つ。
「皆さんお待たせしました!!」
「文化祭名物!」
「女装コンテスト!!」
歓声が上がる。
「うおおお!!」
玲奈は控室で深呼吸した。
(落ち着いて…)
今日は――
ピンクと白のフリルドレス。
ふわっとしたスカート。
薄いメイク。
鏡に映る自分は、ほとんど女の子だった。
その時。
後ろから声がした。
「緊張してる?」
振り向くと――
玲央だった。
そして玲奈は目を見開いた。
「え……」
玲央の姿は――
長いウィッグ。
黒いロングドレス。
ナチュラルなメイク。
完全に美女だった。
玲奈は思わず言った。
「……お兄ちゃん?」
玲央は笑った。
「何?」
「変?」
玲奈は首を振る。
「変じゃない」
「綺麗すぎる」
玲央は少し笑った。
「玲奈も可愛いよ」
そこへ美咲が走ってきた。
「二人とも!」
「出番もうすぐ!」
翔太も後ろから来ていた。
そして玲奈を見て――
少し固まる。
「……」
玲奈は少し不安になる。
「どう?」
翔太は少し視線をそらして言った。
「……可愛い」
玲奈の顔が一気に赤くなる。
「っ!」
玲央がニヤニヤする。
「青春だね」
「お兄ちゃん!!」
その時――
司会の声が響いた。
「さあ!」
「エントリーNo.1!!」
最初の出場者がステージに上がる。
観客が盛り上がる。
何人かが終わり――
ついに。
「次!」
「エントリーNo.7!」
「玲奈さん!!」
美咲が叫ぶ。
「玲奈いけー!!」
玲奈は深呼吸した。
(大丈夫)
(楽しもう)
そして――
ステージに出た。
観客がざわつく。
「え!?」 「可愛い!」 「女子じゃないの!?」
玲奈はドキドキしながら歩く。
ライトが当たる。
ステージの真ん中でポーズ。
拍手が起きる。
玲奈は少し笑った。
(楽しい…!)
ステージ裏に戻ると、美咲が抱きついた。
「めっちゃ可愛かった!!」
翔太も言う。
「普通に優勝候補」
玲奈は照れた。
「ほんと?」
その時。
司会の声が響く。
「続いて!」
「エントリーNo.8!」
「玲央さん!!」
玲奈は振り向いた。
玲央は軽く手を振る。
「行ってくる」
そして――
ステージへ。
数秒後。
観客がどよめいた。
「え!?」 「モデル!?」 「美人すぎ!!」
玲奈は思わず笑った。
「やっぱりすごい…」
翔太も苦笑する。
「ラスボスじゃん」
玲奈の文化祭。
そして兄妹対決は――
いよいよクライマックスへ。
(第31話へ続く)




