第26話『男子の衣装問題』
文化祭まで、あと三日。
放課後の教室では、スイーツカフェの準備が着々と進んでいた。
看板も完成。
メニュー表も完成。
スイーツのレシピも決まった。
しかし――
一つだけ問題が残っていた。
美咲が腕を組んで言う。
「……男子の衣装」
教室の男子たちがざわつく。
「え?」 「衣装?」
美咲は机の上のエプロンを持ち上げた。
白いフリルのエプロン。
「女子はこれ」
玲奈も同じエプロンを着ていた。
「可愛いメイド風カフェにするんだから」
男子たちは嫌な予感がした。
美咲はニコッと笑う。
「男子も衣装必要」
男子たちが一斉に言った。
「えええ!?」
「なんで!?」
美咲は当然のように言う。
「店員なんだから」
「制服必要でしょ」
男子の一人が言った。
「普通のエプロンでいいじゃん」
美咲は首を振る。
「ダメ」
そして宣言した。
「男子は執事風衣装!」
教室がざわつく。
「執事!?」 「恥ずかしい!」
玲奈は少し笑ってしまった。
(執事さんのカフェ……ちょっと楽しそう)
美咲は言った。
「でも問題がある」
「作れる人がいない」
そこで玲奈が言った。
「家庭科部なら……」
美咲の目が光る。
「それだ!」
数分後。
玲奈、美咲、そして男子数人は家庭科室に向かった。
ガラッ。
ドアを開ける。
家庭科部の女子たちが振り向く。
「どうしたの?」
美咲が言った。
「お願いがあります!」
そして説明する。
「スイーツカフェの男子衣装」
「執事服作ってほしい!」
家庭科部の部長が目を輝かせた。
「執事!?」
「いいじゃん!」
女子たちは一気に盛り上がる。
「絶対かっこいい!」 「黒ベストにしよう!」
男子たちは少し不安そうだった。
「マジで着るの?」
その時。
翔太が言った。
「別にいいんじゃね?」
みんなが翔太を見る。
翔太は肩をすくめた。
「文化祭だし」
そして玲奈を見る。
「玲奈があんな衣装着てるんだから」
玲奈はびっくりした。
「え?」
翔太は少し笑った。
「俺らもちゃんとやらないとな」
家庭科部の女子たちが拍手する。
「決まり!」
部長が言う。
「よし!」
「男子の採寸するよ!」
男子たちがざわつく。
「え!?今!?」
美咲が笑う。
「逃げるな〜」
家庭科室は一気に賑やかになった。
文化祭まで――
あと三日。
スイーツカフェは、
メイドと執事のカフェへと進化していた。




