第25話『スイーツカフェ接客特訓!』
文化祭まで、あと四日。
放課後の教室では、スイーツカフェの接客練習が行われていた。
机は並べ替えられ、簡易カフェのような形になっている。
入口には手作りの看板。
「スイーツカフェ Sweet Time」
美咲が手を叩いた。
「はい注目!」
クラスの女子たちが集まる。
「今日は接客の練習するよ!」
玲奈はエプロン姿で立っていた。
白いフリルエプロンに、ピンクのリボン。
髪には小さなカチューシャ。
まるで本当にカフェ店員みたいだった。
美咲が言う。
「男子はお客さん役!」
後ろにいた男子たちがざわつく。
「えー」 「めんどくさ」
その中に翔太もいた。
腕を組みながら言う。
「俺ら実験台かよ」
美咲は笑った。
「そう!」
「ちゃんと接客できるかチェックするから」
男子たちは椅子に座る。
「いらっしゃいませ」の練習が始まった。
女子たちが順番に接客する。
「いらっしゃいませ〜!」
しかし――
「声小さい!」
「笑顔!」
美咲のダメ出しが飛ぶ。
そして次は――
「玲奈!」
玲奈は少し緊張していた。
(ちゃんとできるかな……)
男子のテーブルには、翔太が座っていた。
「……」
玲奈の心臓がドキドキする。
美咲が言う。
「スタート!」
玲奈は深呼吸した。
そして言った。
「い、いらっしゃいませ」
少し小さい声。
翔太が言う。
「聞こえない」
玲奈は慌てる。
「い、いらっしゃいませ!」
翔太はニヤッと笑う。
「うん、いいじゃん」
玲奈は少し安心した。
「ご注文は……」
メニューを差し出す。
翔太はわざと悩むふりをする。
「おすすめは?」
玲奈は少し考えた。
「ショートケーキ……です」
「玲奈が作ったやつ?」
「う、うん」
翔太は言った。
「じゃあそれ」
玲奈は嬉しそうに言う。
「かしこまりました!」
その様子を見ていた美咲が言う。
「玲奈、いい感じ!」
「ほんと?」
玲奈は少し照れた。
すると翔太が言った。
「でもさ」
「え?」
翔太は玲奈を見る。
「笑ったほうがいい」
「え?」
「接客は笑顔だろ」
玲奈は少し驚いた。
でもゆっくり笑った。
「……こう?」
翔太は一瞬固まった。
「……」
そして目を逸らした。
「……うん」
小さく言う。
「それいい」
後ろで見ていた男子が言った。
「翔太顔赤くね?」
「うるせー!」
教室に笑いが起きた。
玲奈もつられて笑った。
文化祭まで――
あと四日。
スイーツカフェの準備も、
いよいよ本番に近づいていた。




