第24話『スイーツカフェの特訓』
文化祭まで、あと五日。
放課後の家庭科室には、甘い香りが広がっていた。
玲奈たちのクラスは文化祭で
**「スイーツカフェ」**を開くことになっている。
今日は、その試作の日だった。
机の上には材料がずらりと並んでいる。
小麦粉。
砂糖。
バター。
いちご。
生クリーム。
美咲がエプロンを結びながら言った。
「よし!」
「スイーツ作り開始!」
女子たちは一斉に動き出した。
「私パンケーキ担当!」 「私はクッキー!」
玲奈は少し緊張していた。
(ちゃんと作れるかな……)
その時、家庭科部の部長が言った。
「玲奈はショートケーキ担当ね」
「えっ!?」
玲奈はびっくりした。
「わ、私!?」
「うん」
部長は笑う。
「玲奈、手先器用そうだから」
玲奈は少し照れながら頷いた。
「が、頑張る……!」
スポンジケーキを用意し、クリームを塗る。
生クリームをホイッパーで混ぜる。
シャカシャカシャカ……
玲奈は一生懸命だった。
美咲が横から覗く。
「玲奈、泡立て上手」
「ほんと?」
「うん」
クリームがふわふわになる。
玲奈はスポンジにクリームを塗り、いちごを並べる。
最後にもう一度クリーム。
そして――
「できた!」
小さなショートケーキが完成した。
家庭科室に歓声が上がる。
「可愛い!」 「美味しそう!」
玲奈は少し照れた。
「ほんと?」
美咲がフォークを持つ。
「味見する!」
一口食べた。
「……」
「どう?」
玲奈はドキドキしていた。
次の瞬間。
「美味しい!」
「え!?」
周りの女子たちも食べる。
「ほんとだ!」 「普通にお店レベル!」
玲奈はびっくりした。
「ほんとに?」
その時。
ガラッ。
家庭科室のドアが開いた。
「おーい」
またしても翔太だった。
「文化祭の材料取りに……」
そこまで言って止まる。
机の上のスイーツを見る。
「……何これ」
美咲が言った。
「スイーツカフェの試作」
「玲奈が作ったケーキ」
翔太は玲奈を見る。
「マジ?」
玲奈は少し恥ずかしそうに言った。
「よ、よかったら……」
小さく切ったケーキを差し出す。
翔太はフォークで食べた。
「……」
数秒沈黙。
玲奈の心臓がドキドキする。
翔太は言った。
「……うまい」
玲奈の目が大きくなる。
「ほんと?」
翔太は頷いた。
「普通に店出せるレベル」
美咲が笑う。
「でしょ?」
翔太はもう一口食べた。
「文化祭、これ出すなら」
「客めっちゃ来るぞ」
玲奈は嬉しそうに笑った。
「よかった……」
家庭科室は甘い香りと笑い声でいっぱいだった。
文化祭まで――
あと五日。
玲奈の挑戦は、
少しずつ形になり始めていた。




