第22話『ドレスのサイズ直し』
文化祭まで、あと七日。
放課後の家庭科室では、玲奈のドレスのサイズ直し作業が始まっていた。
机の上には、昨日試着した白とピンクのフリルドレス。
胸元の部分だけ、丁寧に糸がほどかれている。
家庭科部の部長が真剣な顔で言った。
「胸の部分、少し広げるね」
美咲が横から覗き込む。
「玲奈、昨日より大きくなってたりして」
「な、ならないよ!」
玲奈は真っ赤になった。
家庭科部の女子たちは笑っている。
「でも玲奈、スタイルいいよね」 「ウエスト細いし」
玲奈は恥ずかしくて俯いた。
その時、部長が言った。
「念のため、もう一回サイズ測ろう」
「えっ!?」
玲奈は驚く。
「ま、また?」
美咲が笑う。
「衣装ぴったりにするためでしょ」
部長はメジャーを持ってきた。
「じゃあ玲奈、まっすぐ立って」
玲奈はドキドキしながら立つ。
メジャーが胸の上を通る。
「……」
部長が数字を見る。
「やっぱり昨日より少し変わってる」
「え!?」
美咲がびっくりする。
「玲奈ほんとに成長してるじゃん」
玲奈は顔を真っ赤にした。
「そんな急に変わる?」
部長は笑った。
「まあでも大丈夫」
「ここ少し広げれば綺麗に着れる」
玲奈はほっと息をついた。
「よかった……」
家庭科部の女子たちはすぐ作業を始める。
ミシンの音が家庭科室に響いた。
カタカタカタ……
部長が言う。
「玲奈、もう一回試着してみて」
「う、うん」
玲奈はドレスを持って更衣スペースへ向かった。
数分後。
カーテンが開く。
そこには――
ドレス姿の玲奈。
胸元もちゃんと閉まっている。
スカートがふわっと広がっていた。
美咲が目を丸くする。
「……」
「玲奈」
「な、なに?」
「めちゃくちゃ可愛い」
家庭科部の女子たちも声を上げる。
「ほんとだ!」 「モデルみたい!」
玲奈は恥ずかしくて頬を押さえた。
「そんなことないよ……」
その時。
ガラッ。
家庭科室のドアが開いた。
「先生ー」
入ってきたのは翔太だった。
そして玲奈を見る。
「……」
一瞬、固まる。
玲奈は慌てた。
「し、翔太!?」
翔太は目を逸らした。
「わ、悪い」
でももう一度ちらっと見る。
そして言った。
「……似合ってる」
玲奈の顔がまた赤くなる。
美咲がニヤニヤする。
「ほらね」
翔太は頭をかいた。
「これなら」
「優勝いけるだろ」
玲奈は少し照れながら笑った。
「が、頑張る」
翔太はドアの方へ歩きながら言った。
「本番楽しみにしてる」
そう言って家庭科室を出ていった。
女子たちはまた騒ぎ出す。
「今の聞いた!?」 「完全に玲奈応援してる!」
玲奈は胸の奥が少し温かくなった。
文化祭まで――
あと七日。
玲奈のドレスは、
ついに完成した。




