表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『スカートの中、秘密を隠して』  作者: 優貴(Yukky)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/155

第19話『バレてしまった秘密』

文化祭の準備が本格的に始まってから数日。

放課後の教室には、色紙やポスター、段ボールが散らばっていた。

玲奈は窓際で、文化祭のポスターに色を塗っていた。

「玲奈、そこもうちょっとピンク濃くして!」

「う、うん……こんな感じ?」

「うわ、可愛い!」

クラスメイトの女子たちはすっかり玲奈を女子扱いしていた。

自然に会話し、自然に笑う。

けれど――。

玲奈の胸の奥には、ずっと消えない不安があった。

(もし……全部バレたらどうなるんだろう)

女装している男子。

しかも、体まで女子みたいに変わり始めている。

それがクラス中に知られたら――。

玲奈は小さく息を吐いた。

その時だった。

ガラッ!!

教室のドアが勢いよく開いた。

「おーい、文化祭の飾り取りに来たぞー!」

入ってきたのは、隣のクラスの男子グループだった。

その中の一人、大島翔太が玲奈を見てニヤッと笑った。

「お、女装男子じゃん」

空気が少しだけ凍った。

美咲がすぐに立ち上がる。

「翔太、余計なこと言わないで」

「えー?だって有名じゃん」

翔太は玲奈をじっと見た。

視線が胸に向く。

「……てかさ」

「それ本物?」

玲奈の手が止まった。

「え……?」

翔太はニヤニヤしながら近づいてきた。

「胸だよ胸」

「パッドだろ?」

クラスの空気が一気に重くなる。

玲奈は慌てて胸を隠した。

「ち、違っ……」

翔太は腕を組む。

「男子なのにそんな膨らむわけないじゃん」

すると後ろから声がした。

「翔太、やめなよ」

玲奈の前に立ったのは美咲だった。

「玲奈困ってるでしょ」

「えー、別にいじめてないじゃん」

「興味あるだけ」

翔太はそう言いながら、さらに言った。

「てかさ」

「お前さ、男なんだろ?」

教室が静まり返る。

玲奈の心臓がドクンと鳴った。

誰も言葉を発しない。

翔太は続けた。

「女子更衣室使ってるって聞いたぞ?」

「それってヤバくない?」

その言葉に、クラスの数人がざわついた。

玲奈の頭が真っ白になる。

(どうしよう……)

(どうしよう……)

美咲が強く言った。

「翔太」

「もうやめて」

「玲奈は――」

美咲は少し言葉を詰まらせた。

玲奈の秘密を守りたい。

でも、どう説明すればいいのかわからない。

その時。

玲奈が小さく口を開いた。

「……私」

声は震えていた。

それでも玲奈は立ち上がった。

「私は……」

クラス全員が玲奈を見ている。

怖い。

足が震える。

けれど――。

玲奈はゆっくり言った。

「男……です」

教室がざわついた。

「え?」

「マジ?」

「ほんとに?」

翔太が笑う。

「ほら見ろ」

「やっぱ男じゃん」

玲奈は続けた。

「でも……」

涙が浮かんだ。

「でも……」

「私は女の子の服が好きで」

「女の子みたいに生きたいんです」

声が震える。

「胸も……最近本当に大きくなって……」

「自分でも……よく分からなくて」

教室は静まり返っていた。

玲奈は俯いた。

「気持ち悪いですよね……」

その瞬間。

バンッ!!

机を叩く音。

美咲だった。

「気持ち悪くない!!」

教室中が驚いた。

美咲は怒っていた。

「玲奈は玲奈じゃん!」

「優しいし、可愛いし、努力家だし!」

「何が悪いの?」

翔太は少し驚いた顔をした。

美咲は続ける。

「男子とか女子とか」

「そんなの関係ないよ!」

すると、後ろから声がした。

「……私もそう思う」

振り向くと、クラスメイトの女子が立っていた。

「玲奈、普通に友達だし」

「うん、私も」

「文化祭一緒に頑張ろうよ」

次々と声が上がる。

玲奈の目から涙がこぼれた。

「みんな……」

翔太は少しバツが悪そうに頭をかいた。

「……別に俺も」

「そこまで否定してるわけじゃねーし」

「ただ驚いただけ」

そして玲奈を見て言った。

「文化祭の女装コンテスト」

「出るんだろ?」

玲奈は小さくうなずく。

翔太はニヤッと笑った。

「じゃあ優勝しろよ」

「そしたら認めてやる」

教室に笑いが起きた。

玲奈は涙を拭いた。

胸が温かかった。

(怖かった)

(でも……)

(言えてよかった)

美咲が隣に来る。

「玲奈」

「うん?」

「絶対優勝しよう」

玲奈は微笑んだ。

「うん」

文化祭まで――あと二週間。

玲奈の挑戦は、まだ始まったばかりだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ