第14話『新しい下着を選ぶ日』
放課後の教室。
窓から入る春の風で、カーテンがゆっくり揺れていた。
玲奈は机に座りながら、少し困った顔をしていた。
「どうしたの?」
隣の席の美咲が声をかける。
「……うん」
玲奈は少し恥ずかしそうに言った。
「この前、病院行ったでしょ?」
「うん」
「それでね……」
玲奈は制服の胸元を少し押さえる。
「下着が、合わなくなってきたみたい」
美咲は「ああ」と納得したように頷いた。
「サイズ変わったんだね」
「たぶん……」
体育のときも、少しきつく感じていた。
動くと違和感がある。
「それなら」
美咲が立ち上がる。
「買いに行こう」
「えっ、今?」
「うん。放課後デート」
「デートって……」
玲奈は思わず笑ってしまった。
二人が向かったのは、駅前のショッピングモール。
夕方で、人がたくさんいた。
「ちょっと緊張する……」
玲奈は小さく言う。
「大丈夫」
美咲は笑う。
「普通の買い物だよ」
二人は下着売り場に入った。
棚にはたくさんの色や形の下着が並んでいる。
「すごい……」
玲奈は少し驚いた。
「こんなに種類あるんだ」
「あるよー」
美咲は慣れた様子で見ていく。
「動きやすいのとか、スポーツ用とか」
「へえ……」
玲奈は少し真剣に見始めた。
そのとき、店員さんが優しく声をかけてきた。
「サイズでお困りですか?」
玲奈は少しドキッとする。
「えっと……」
美咲が代わりに答えた。
「最近サイズが変わったみたいで」
「そうなんですね」
店員さんはにこやかに言う。
「よかったら、フィッティングルームで確認できますよ」
数分後。
玲奈は試着室の前で深呼吸した。
(なんかドキドキする)
でも――
今のままだと、学校生活でも困る。
「行ってくる」
「いってらっしゃい」
美咲が親指を立てた。
しばらくして。
カーテンが開いた。
「美咲……」
「どう?」
「これ、楽かも」
玲奈は少し安心した顔をしていた。
「さっきのより動きやすい」
「よかったじゃん!」
最終的に、玲奈は動きやすいタイプの下着をいくつか選んだ。
レジを出ると、外はすっかり夕方だった。
「なんか……」
玲奈が言う。
「ちょっと大人になった気分」
「わかる」
美咲は笑う。
「成長ってやつだね」
二人は帰り道を歩く。
風が吹いて、玲奈のスカートが揺れた。
「ありがとう」
玲奈が言う。
「今日付き合ってくれて」
「当たり前」
美咲は肩を軽くぶつけた。
「友達だからね」
夕焼けの空を見ながら、玲奈は思う。
体も、生活も、少しずつ変わっていく。
でも――
一人じゃない。
玲奈は小さく笑った。
「また買い物付き合ってね」
「もちろん!」
二人の笑い声が、夕方の街に優しく響いた。




