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星降る丘の魔法工房  作者: 夜歩芭空(よあるきばく)


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5話 星の魔法陣

 裏庭で現れた五芒星はしばらくたって消えてしまい、何事もなかったように静かになる。  

「ねえ、ルクスこれっていったい?」

「わかんねえ。でもいやな気配がする」

「ルクスでもわからないなんて」

「オレだってわかんないもんはあるさ。今までこんなもの現れたことがなかったしな」

「そうなんだ?」

 この辺りが縄張りだと言っていたルクスでも見たことがないなんて。なにか得体の知れない事が起こりそうな気がする。

 そういえば草花達が囁いていた。何かを知っているのかもしれない。

「ねえ、先程、星の魔法陣だと言っていたけれど、皆んなは何か知っているの?」

【あれは星の魔法陣】

【そう、星の魔法陣】

「なぜ浮かび上がったのかはわからない?」

【しらなーい】

 植物達はそれ以上は話してはくれない。


「イロハ、お前は決してひとりになるな。オレ様から離れるんじゃねえぞ」

「あら、私を守ってくれるの?頼もしいわね」

「おう!オレはイロハのオトモダチだからな!」

 胸をはるチビドラゴンの可愛さに思わず頬が緩んでしまう。

「ふふ。ありがとうルクス。あなたは私の大事なお友達よ」


 その後、裏庭の変化はない。ルクスからはあまり近づくなと注意をされたが、そこには毒に効く薬草が多く群生している。魔獣が出るなら毒消しは作っておいたほうがいいだろう。

「…どうしようかしら」

「どうした?何か困りごとか?」

 ハーブティーを飲んでいたシュバルツが声をかけてきた。彼は二日に一度は見回りをかねて彩葉の工房にやってくる。

「うん、ちょっとね。ハーブの在庫もなくなってきて、そろそろ補充をしなければならないんだけど」

「それは怪しい光を放ってた付近なのか?魔獣の件といい、この周辺で何かが起こっているのは確かだ。危険でないと調査隊が判断するまでは、じっとしていてほしいのだが」

 シュバルツには裏庭が光ったことは伝えてある。隊に報告をして近いうちに調査隊が来るように手配してくれたらしい。

「心配してくれるのは嬉しいけど、裏庭にも貴重な薬草はあるのよね」

「では俺が警護しよう。この後はもう戻るだけだから時間はあるんだ」

「あら。じゃあ手伝ってもらえる?私もシュバルツが来てくれるなら心強いわ」

「わかった。連れて行ってくれ」


  小屋から少し離れた裏庭のあたりは以前よりも草の色が濃くなっている気がした。魔法陣の作用が何かあったのかもしれない。

「こんにちは。毒消しのハーブはどこにあるかわかる?」

【あの木の根元だよ】

「ありがとう」

「…イロハ。それは…大丈夫なのか?」

「え?なんのこと?」

 シュバルツは、彩葉が植物共感の力で会話をしているところを始めて見たせいか驚いていた。

「えっと、わたし植物と話ができるの」

「そんなことが出来るのか?」

「ええ。植物たちは物知りで、いろいろ助けてもらって感謝しているのよ」

「体は大丈夫なのか?」

「体?どういうこと?」

 シュバルツが言うには彩葉が植物共感を使っている間、彩葉の手から緑色の光があふれ、それが植物から周辺へ吸収されているように見えたのだという。

「なにそれ?知らなかったわ」

 では、ひょっとして気づかずに自分の魔法が周りに影響を与えていたのかもしれないのか?その可能性に気付くと彩葉は青ざめた。

「と、とりあえず、薬草を摘んでしまいましょう」

「わかった。俺も手伝う」

 籠いっぱいに薬草を摘んで工房に戻ると行商人のミャオが来ていた。


「ほぉほぉ。店にいないと思ったらお二人でデートでしたか?」

 ニャヒヒとにやけた顔でミャオがからかう。

「もう!そんなんじゃないわよ。薬草を摘みに行ってただけよ!」

 彩葉が頬を染めて反論する。シュバルツが抱えていた籠を奪い取るようにして、中身をミャオにみせる。

「へ~え。何か変わった薬草でも見つかりましたかにゃ?」

 ミャオの目がきらりと光る。

「こら!どら猫!せっかく二人が良い感じなのに邪魔すんなよ!」

 ルクスが飛んできてミャオを叱る。そういえばあれほど自分から離れるなと言っていたのに、シュバルツと出かけるときには、彩葉の傍にはいなかった。

「ルクス、何言ってるの?」

「はは。なんでもないぞ。オレはただ彩葉に幸せになってほしいだけだぞ」

「にゃるほど?ところで何かあったんですかにゃ?」

「この近くで少しばかり異変がおこっているのだ」

 シュバルツが最近起こった出来事をミャオに説明する。

「にゃんですと、調査隊がやってくるのかにゃ」

「魔獣の危険性も考えてこの周辺は徹底的に調べてもらおうかと思っているの」

「そ、それは…困るにゃ」

「ああん?何が困るっていうんだ?どら猫め!」

 ルクスがぱたぱたとミャオの周りを飛びながら睨みつける。

「い、いやあ。せっかくお客さんが増えてきたのに、大規模な調査なんかがはじまったら客足が遠のくじゃにゃいですか。おいら、この工房が気に入ってるんですよ。あちこちの村で宣伝しまわってるし。いつ来るのかだけでも教えてもらいたいにゃ」

「それもそうか。調査隊がくるのは来週あたりのはずだ」

「そうにゃんですね…」

「それよりもミャオ、新しい素材とか今日は持ってきてくれてないの?」

「ありますよ!それに今回はイロハ特性のポーションの人気が高かったですしね。またいくつか作って欲しいにゃ」

「わかったわ。在庫を取ってくるから素材と交換してね」

 イロハが小屋に入るとルクスがシュバルツに耳打ちをする。

「おい、お前騎士なんだから、イロハの護衛になれよ。調査隊ってのが来るまでにも、何か起こるかもしれねえだろ?」

「俺に警備隊をやめろと言うのか?」

「やめなくてもいいけどさ、毎日来るようにできないのか?」

「それならなんとか出来るかもしれない」

「あの猫獣人にも気をつけろ。あいつはなんか隠し事をしている匂いがする」


   

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