第一幕・完
最初は八匹のゴブリンだった。
まあ、数を見れば少し多いか…ぐらいの。翌日、ゴブリンは二十匹まで増えていた。
これには看過できず、ギルドに報告を入れた。
「たかが二十匹で大騒ぎするな」と門前払いされた。
たった一匹、切った破片から新しい個体が再生しようとした、何らかの異常が見られた。
――――
窓から差し込む西日。放課後の教室に、長い影が伸びる。俺も、夕闇に溶けるように長く、濃くなっていた。
だが、教壇に立ったその少年の足元だけは――。
「おーい、お前ら。……紹介するぞ、今日から編入することになった……」
先生の声が遠のく。 教室中の視線が集まる中、俺は「それ」を鑑定しようとして、戦慄した。
【鑑定不能(ターゲットが存在しません)】
白い光が差し込んでいるはずの床。 彼の足元には、塵一つの陰りも、輪郭の滲みもなかった。
(……あ? ……消し忘れたわけじゃねぇ。嘘だろ。あいつ……)
その少年には、「影」がなかった。
第一幕:完
【作者より:ご愛読ありがとうございました!】
最後までお読みいただき、本当にありがとうございます! カゲレナとお嬢様の物語、第一幕はここで一度幕を閉じさせていただきます。
この物語は、今後設定や描写をさらにブラッシュアップした「続編・改変版」として、装いも新たに別作品で再スタートする予定です!
異常繁殖する魔物の謎
影のない少年の正体
そして、カゲレナの真の進化……
これらをさらにパワーアップさせてお届けしますので、ぜひ新しい物語の門出もお見守りいただければ幸いです。
https://ncode.syosetu.com/n9946ln/




