表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/15

剣を振るう理由

 ログインの光が過ぎた直後、蒼の視界には懐かしい景色が広がった。

昨日、ツバキと別れた山道。VRの世界とは思えないほど繊細に再現された木立の影と、さざめく風。耳元には、小鳥の囀りが混じっていた。


 


そして──そこにいた。

ツバキは、昨日と同じ場所で、まるで“一歩も動いていない”かのように立っていた。


 


「……うわ、マジでいる」


 


蒼は思わず声に出していた。NPCなら当然だが、ツバキはプレイヤーのようにも、そうでないようにも見える。

ログアウトした形跡もなかった。


 


「おぬし、来たか」


ツバキは静かに振り返った。その目には眠気も戸惑いもない。まるで“今もこの世界で呼吸していた”かのように自然だった。


 


「……ログアウト、してなかったの?」


「ろぐ……? いや、わしはここにおったぞ。昨日も、今日も」


蒼は苦笑するしかなかった。


(この没入度……すげぇな。たぶんログアウトって概念もロールで封印してるんだな)


(昔のMMOで“寝落ちロール”する奴いたけど……この人、たぶん“生活の全部をロールで包んでる”系だ)


 


「相変わらず本気だね、剣士殿」


「ふふん、拙者の剣に“怠け”は存在せぬゆえな!」


ツバキは胸を張る。あまりにも自然で、ちょっと可愛い。

この反応すら演技なのだとしたら、相当レベルが高い。


 


(よし、今日は一歩踏み込んでみるか)


蒼はひとつ深呼吸して、ゆっくりと歩み寄った。


 


「じゃあ今日も付き合おうか。君の旅に、少しだけな」


 


──この時、彼はまだ“この旅が命をかけたもの”だとは知らなかった。


 


──To be continued…


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ