プロローグ
【社畜】
会社に過度な忠誠を誓い、自身の意思やプライベートを犠牲にして働く人を揶揄する言葉。
そう、この私小鳥遊楪は華の新卒ながら社畜である。平日は残業続き、本来ならオアシスである休日にも家で仕事仕事仕事。かれこれ3週間まともに休めていない。笑える。
そんなある日のこと、
「毎日毎日、残業残業じゃそのうち死ぬよ……。」
薄暗いオフィスで、目の前でエラーを連発しているモニターと格闘していた楪の口から弱音が漏れた。
「同期ちゃん達からは仕事押し付けられるし、パソコンは不調だし、終電は逃すし……。」
散々だった1日に文句をつけ、心の中で中指を立てる。
眠気覚ましにカフェインを体内にぶち込もうと思い、コーヒーを買うために自動販売機へと立ち上がると、
「ああぁっ……………」
突然、頭を鈍器で殴られているかのような猛烈な頭痛が楪を襲った。と同時に楪は机に倒れ込む。
頭が酷く痛む。薄れゆく意識の中、楪は悟った。
(あぁ……私、死ぬのか……。)
目の前では憎きモニターが煌々と輝いている。
(勉強、仕事、人間関係に悩んでばっかって……くだらない人生だったな)
上司からのメールが楪のスマホを鳴らす。
(次の人生は平和な場所でまったり過ごしたいな……)
生きながらえようと抵抗する気も起きず、まるで眠っていくかのように楪の短い人生は幕を閉じた。




