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本日、2本投稿の予定です。
私達は三手に別れた。
シャーリーは極罰所へ備品の管理などの調査に行き、朧は各所の監視カメラなどの記録を調べてくれている。
そして私は資材室へ来ている。今は管理人さんは休憩中で居ない。
「えっと······この辺りかな」
無駄かもしれないけど、資材の出入記録を調べてみようと思ったのだ。獄卒達が書いた記録書を見ていく。
「う~ん。やっぱ無いかあ」
各獄卒の納品されたマナ霊の数は正確に記されているけど、流石に使った資材の量は省略されてる。
「これじゃあ分からないなあ」
何故、資材室へ来ているか。
私の考えはこうだ。
あまり考えたくはないけど、誰かがあの三人を陥れようとしていたとする。
誰が?どうして?というのはまだ分からないけど、仮定としてそうしておく。
では、その方法は?
その答えが今回の騒動だ。誰かが、どこからか資材等を盗み出し、三人が居ないタイミングで部屋の中へ配置したのだ。結果、三人は脱獄を企んでいたと疑われている最中。
そう、真の犯人の思惑通りに。
私はこの資材室の記録を調べて、資材の不審な流出がないかチェックしてるのだ。
三人の牢獄から発見された盗品の大半はこの資材室に存在する。つまり、真犯人はここから持ち出したと考えるのが妥当だろう。
となれば、犯人は私と同じ指導教官の獄卒である可能性が高い。
資材室の資材は、持ち出す量こそ厳密に取り締まられないけど、その立ち入りは教官の獄卒と管理者の獄卒じゃないと入れない。つまり、持ち出す事が出来る獄卒は限られているのだ。
あとは所長くらいか。
もし、ヴィセ達の部屋から見つかった盗品がこの資材室から持ち出された物であったならば、犯人もここに来ているはず。
「えっと、全部で何人くらいかな······」
パソコンに向かってカタカタとやる。とある人間界から取り寄せたコンピューターを改造した物だ。これなら、資材の記録はもちろん、獄卒のあらゆる仕事の記録にアクセス出来る。
「えっと······私がこの指導を始めたのはちょうど10日前か。その前にマナ霊の材料とかを置いても意味ないから、犯人は私の指導が始まった後に持ち出した事になる。つまり、一番早く動いても10日前。この10日間の獄卒の出入りを調べれば······」
資材室への立ち入り記録を見る。これで、この10日間にここを出入りした獄卒が全部分かる。
「えっと、これをサーチにかけて、こっちをリストアップして······で、フィルターをかければ······」
結果的に出来上がった容疑者リストには約20人の獄卒の名前が連なった。
「だけど······うーん」
ここからどうしよう?
この20人の中の誰かが犯人かもしれないけど、そっからどうやって絞ればいいのか分からない。
20人の出入りは確定してるけど、誰がここから材料を持ち出して濡れ衣を着させたのか分からない。誰が、何を、どのくらい、いつ、持ち出したのかは記録されてないから。
ここまできて行き詰まりなんて·········。
「······待てよ············」
そっか。まだ方法はある。
──カタカタカタカタ──
まず、私と同じ指導内容だった獄卒のリストを作ればいいんだ。
犯人は辻褄を合わせるため、私が行っていた指導の内容に沿って資材を盗んだ。そう、リューゲ先輩が推理したように『善行奉仕活動中に物資を調達した』と思わせるため。
そして、犯人は怪しまれないよう自身の指導にかこつけて堂々と材料を持ち出したと考えられる。つまり、私と同じ内容の指導を行っていた可能性が高い。
資材室に来る獄卒の全てが同じ指導をしている訳じゃない。マナ霊以外にも作る物はたくさんあるのだ。という事は、この10日間に私と同じ指導を行っていた獄卒こそ、犯人候補だと言えるだろう。
資材室関係ではなく、教官の指導報告書にアクセスする。
「えっと、同じ時期に同じ内容の指導をしていたのは······」
絞れた。でも、これだけじゃまだ足りない。まだ絞りきれない。
「次は、納品されたマナ霊の量を──」
材料の消費量は記録されてないけど、それを元に作られて納品されたマナ霊本体の数は正確に記録されている。
「さらに、資材カウントの数値──」
毎日行われている資材の残数を記したカウント表を開く。
「よし、マナ霊一つに使われる材料の量はほぼ誤差が生じない。つまり、マナ霊の納品数=消費された材料の量になるから、その日の資材の減った数と比べて──」
そうやってどんどん犯人への焦点を絞っていく。
まず、1日の納品されたマナ霊の数を調べる。これで、その日にどのくらいのマナ霊が作成されたか分かる。
そして、次に在庫カウント。
これは毎日の終わりに記録される資材室の資材在庫の数字だ。この数字を調べれば、その日に消費された材料の数字が分かる。
そう、つまり。獄卒一人一人が使った材料の量は分からないけど、その日にみんなで消費した資材の量は分かるのだ。
マナ霊の納品数と、資材室の資材在庫の残数を照らし合わせれば、その日の資材消費量が正しいか分かるという訳。
例えば、マナ霊100個作るのに材料が1000必要だったとしよう。
1日の全獄卒のマナ霊納品数が100個だったら、消費された材料は1000という事になる。
でも、もし。納品されたマナ霊は80個なのに、消費された材料が1000の日があったら?
それはすなわち、20個分の材料が不正に流出している可能性があるという事になる。
──カタカタカタカタ──
「············あっ!」
あった。数字が合わない日が。
納品されているマナ霊の量と、消費されている材料の数字が合わない。その差は大きくないけど、明らかにおかしい結果となっている。
「よし······!10日間全てを調べて·········」
分かった。
直近5日間の数字が合わない。つまり、誰かがこの5日間に不正に材料を取得しているんだ。
「そして、最初に調べたこの指導報告書の記録と照らし合わせれば······!」
ヴィセ達の部屋から見つかった盗品と同じ材料を使ってマナ霊等を作成する指導をしていた獄卒は、私を除けばこの5日の間で僅か4人。
「そして、この5日間の間に連続でマナ霊作成等の指導をしていたのは──!」
獄卒は毎日必ず同じ指導をするわけじゃない。
この数字の合わない5日間全てで、作成指導を行っていた人物こそ、おそらく真の犯人。
──カタッ──
エンターを押す。
「─────え?」
お疲れ様です。次話に続きます。




