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本日2本投稿の予定です。

 

「それで?具体的には何をするのかしら?」

「良い質問です、ヴィセさん。貴女達にはこれから、こちらの──」


 ──ドサリッ──


「材料を使って、地上を豊かにする『マナ(だま)』を作ってもらいます」

「マナだま~?」

「簡単に言うと、世界の生命力を高める花火玉だね。これをたくさん放つ事でより良い豊かな世界になるんだよ」



 私は材料をみんなの前に並べた。



「これが包装で、こっちがマナの詰まった玉。で、こっちが拡散させるための特殊な火薬。こっちが点火させるための紐。で、これが各部品をくっつける接着剤で、これが──」

「ちょっと!そんな一度に言われたって覚えらんないわよ!」

「あ、ごめんごめん。じゃあ、早速少しずつ一緒に作りながら覚えよっか」




 こうして、私と皆の作業が始まった。



 私の目的は、三人に話した通り、見ず知らずの世界の人々のために善行奉仕をしてもらう事だ。


 いきなり、かつての敵とも言える人々のために償いをするのは難しいんじゃないかと思った。


 だから、まずは他人のために頑張るという行為自体に慣れてもらおうと思ったのだ。


 その活動がこれ。マナ霊の作成。


 これを地上にばら蒔くと、自然に火が着いて弾ける。


 生きてる人間の目には決して移らない輝きとなって広がり、色々な事を起こす。


 例えば、雨が降らず乾いてしまった大地に恵みの雨をもたらしたり、例えば逆に雨続きの地に太陽の光を出したり。

 例えば、混沌とした戦場に煌めく虹の橋を架けたり。

 例えば悲しみに暮れ、愛する者を失った人の凍えるような夢の中に、その愛する者を呼び出したり。

 難病に苦しむ人にささやかな奇跡を起こし、希望を思い出させたり。



 人の生活。人の営み。人の世界。


 それらにささやかな喜びや幸せを与えるのだ。




「じゃあ、作っていこうか。あ、念のために言っておくと、貴女達のマナも消費するから気をつけてね」

「そのマナってのは何なのかしら?」

「霊的エネルギー。簡単に言えば、亡者の体力みたいな物だね。それを使って作成するから、少し疲れる作業になるかもしれないから頑張ろう」

「やだな~」



 ゆっくり、四人で一緒にマナ霊を作っていく。



「まったく。このあたしがこんな貧民がやるような作業する事になるなんてね」

「こーら。ベーゼ。これは大事な作業なんだからね。心を込めれば込めるほどこの玉は力を増すんだから」

「あら。なら、私達がやっても効果は見込めないわね~」

「そんな自虐的な事言わないのっ!」

「いや、事実なんじゃないの?」

「あ~んっ、この糊すぐくっつく~!」

「あっ、駄目だよマール。それはかなり強力な接着剤だから。こっちのはがし液かけないと取れないよ」



 なんやかんや言いながらも、玉がどんどん出来あがっていく。



「これ何個作んの~?」

「特にノルマは無いよ。でも、そうだなあ。四人居るし1000個くらいいっちゃおっか!」


『絶対、嫌』


「しゅん······」



 粛々と作業をこなしていく私達。


 そこでふと気がついた。


 三人が──ヴィセ、ベーゼ、マールの悪役令嬢達が大人しく作業をしているのだ。



 なんか普通にスルーしてたけど、これってかなり凄い事じゃない?




「······ふふ」

「ん?なーに気持ち悪い笑いしてんのよ」

「ごめんごめん。いや、なんて言うかさ。こんな事おかしいとは思うんだけど······楽しいなあって」

「はあ?」


 三人とも奇妙な顔をしていた。



「いや~。ほら、こうやってみんなで同じ作業してるとなんだか仲間みたいじゃん」

「呆れたわねえ。私が言うのもなんだけど、私達は罪人で貴女はそれを監視する獄卒でしょ?」

「そうなんだけどねえ。でも、楽しいんだあ」

「ほんとにさ、頭が花畑どころの話じゃないんじゃない?」

「かもねえ」

「こうしてる間にもあたしらが脱獄のチャンスを窺ってるとかって思わないの?」

「むっ!駄目だよっ!脱獄は断固死守するよ!」

「それくらいの気合いは必要ね」



 ゆっくり教えながらみんなで作り上げていく。


 懐かしい。学生の頃の学園祭とか思い出す。



「なんか学園祭とか思い出すなあ」

「ガクエン?何それ?」

「あら、マールさん。貴女の居た世界にはなかったの?」

「ない」

「ふーん。あたしの世界にはあったわね。魔法学園とか、騎士学校とか」

「へー。ねー、麗羅。学園って何?」

「えっとね。同年代の子供が沢山集まって勉強とか共同生活する場所だよ。友達がいっぱい居て楽しかったり、勉強が大変で辛かったり。そんな苦楽がいっぱいの青春の場」

「ふーん。なんか面倒くさそう」

「あたしも行かなかったわね。どいつもこいつもウザかったし」

「私は行ったわねえ。庶民も多くてうんざりしたわ~」

「ねえ、麗羅の学園生活ってどんなのだったの?」

「私の居たのはねえ、魔界の学校だったからね。回りは私のような鬼とか悪魔とかそういうのでいっぱいでね──」



 魔王の息子とか、留学中の魔女とか居て混沌としてたけど楽しかった。


 私の場合は訳あって転校を何回かやったけど、どこも魔界らしいカオスな学校だった。



 私の話を三人は興味深そうに聞いていた。やっぱり、モンスターとか悪魔とか神とかの同級生の話は気になるみたい。




 話込んでる内に、すっかり日も暮れてしまった。窓の外は夜らしく、真っ暗な闇の中をほんのりとした赤い明かりが漂っている。



「何時見ても悪趣味な光景よねえ」

「え?そうかな。良い夜だけど」




 作ったマナ霊を箱に詰めていく。



「ねーねー、何個作れたの?」

「うーん。後で数える感じかな。明日教えてあげるね」

「······今は数が分からないのね」




 三人を看守さんに引き渡し、私も事務所に戻る。

 仕事を終えて寮に戻り、簡単な料理を済ませてからちょっと一杯。


「く~っ、やっぱお酒は蜂蜜酒に限るっ」




 その日もすやすやなベッドで努の中へ。




 こんな日が続くと良いなあ。


お疲れ様です。次話に続きます。

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