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本日、3本投稿の予定です。

 

 購買所には色んな物が売ってる。もちろんケーキだって。



「えっとー、この鬼苺ケーキに、冥界チョコレートケーキ、あとこっちの黄泉の抹茶ケーキに──」



 今日はお祭りだっ。奮発して何個も買おうっと。



 なんて言ったって、あの悪役令嬢達が倫理観のテストで得点を得たんだ。


 奇跡って起こるんだなあ。




「お待たせしましたー。お持ちになるお時間はどのくらいですか?」

「あ、ほんの5分くらいです」

「では、このままでもよろしいですか?」

「はい」



 さあ、今日は午後の予定を変更してティータイムにしよう。ちゃんと頑張った三人にはご褒美をあげないと。



 ケーキを持って教室へ向かう。



「んふふ、やれば出来るじゃん三人とも。それとも~。私の指導力が良かったのかな~?」



 あ、そうだ。シャーリーに渡しておいた三人の資料も資料室に返さないと。



 一旦進行を変更。事務所へ戻る。

 既に朧とシャーリーは居なかったけど、資料はシャーリーの机に置いてあった。


「よし、と」


 これを返して来よう。



 ケーキを持ったまま資料室へ。

 部屋の明かりが点いている。誰か居るみたい。



「失礼しまーす」


 驚かさないように声を掛けてから入ると、本棚の裏から物音がした。


 そのまま行ってみたら、なんという幸運。

 いらっしゃったのはリューゲ先輩だ。何か資料を調べていたらしく、ファイルを棚に戻していた。


「あっ、リューゲ先輩でしたか」

「やあ、お疲れ、麗羅ちゃん」



 ニコニコと何時もの優しい笑みをくれるリューゲ先輩。


「あの、先輩も何か調べていたんですか?」

「ん?うん。少しね。はは、僕も法執行獄卒だからね。罪人のデータは細かくチェックするようにしているんだ。どんな事態にも対応出来るようにね」

「なるほど。流石の心構えですね」


 やっぱりリューゲ先輩は努力家だ。キャリアは私より遥かに上なのに、未だに初心に帰って事前調査を怠らない。見習わないと。


「ところで、麗羅ちゃん。その手に下げてるのは?」

「あ、これはケーキです。今日はお祝いですので」

「お祝い?何か祝日だったけかな?」

「あ、いえ。はは、すみません。私が勝手に決めたお祝い日なんです。私の担当と指導の努力が実ったそのお祝いの」

「担当の努力?」

「実はですね──」



 私は、あの三悪女の成長ぶりを話してみた。

 救いようのなかった三人の悪女が、僅かにだけど更正の兆しを見せた事を。



「という訳なんです」

「アハハハ。麗羅ちゃんらしいなぁ。でも、そっかあ。あの三人がかあ。なんか信じられないなあ」

「そうですよね。私もそう思います。でも、結果は出てるんです。だから少しは褒めてあげなくちゃって」

「そっか、そっか。なら、また後で話聞かせてもらおうかな。ほら、そろそろ午後の業務開始の時間になるよ」

「あ、ホントだ。では、リューゲ先輩。また後で。失礼します」

「うん。またね」




 リューゲ先輩と別れて教室へと向かう。




 教室に着いた。テンションも上がってきた!


 ──ガラガラガラ──



「ブラボー!ワンダホー!ファンタスティック!エクスレント、ミラクル!パンパカパーンッ!三令嬢は道徳的レベルが上がった!」


『············』


 ポカーンと口を開けて私を見る三人。ちょっと派手にお祝いし過ぎちゃったかな。



「みんなっ、聞いたよ!模擬試験の点数上がったんだね!凄いよっ!やれば出来るんだよ!さあっ、今日は午後の授業はナシにしてティーパーティーだ!いぇ~い!」



 未だにポカンとしてる三人の前にケーキの箱を置く。



「さ、お祝いのケーキだよ!今日は奮発したんだ!食べよ食べよっ」


「······貴女って元気よね」

「ていうかさ、本当にあたしらより年上?」

「ここまで頭パンパカパーンだと逆に尊敬してくるかも」





 午後のガラリとした広い教室。


 その真ん中に、机を寄せ集めて四人で紅茶を囲めば、なんだかちぐはぐな青春の一枚画みたい。



「はい、ヴィセお嬢様。お茶のお代わりです」

「あ、あら。ありがとう」

「ベーゼお嬢様、こちらのケーキを取り分けしますね」

「え、ええ。どうも」

「マールお嬢様。はい、ジャムもどうぞ」

「う、うん。ありがと」



 今日一日、私がメイドになってやろうじゃないか。悪の三姉妹に仕えるスーパーキャリアメイド麗羅の誕生だ。



 私のあまりの完璧なメイドぶりに、流石の三悪女もたじたじじゃないか。



「あんた、随分機嫌がいいわね」

「そう?おーっほっほっほ!そうかもね~!」

「あら。誰の真似かしら?止めて下さる?」

「いひひひ!そんな事言わないでよ~!」

「ちょっと!あたしはもっと可愛いもん!」

「あはははっ!知ってるわよ、そんな事!」

「あんたねぇ、喧嘩売ってんの?」



 なんか呆れてるような三人。


 でも、不思議と嫌そうには見えない。

 私が勝手にそう思ってるだけかもしれないけど、この三人ともなんだかんだ言って結構一緒に過ごしてきた。


 短いけど濃密な時間を。


 もしかしたら、今度こそ本当の信頼関係が出来てるのかもしれない。




「て言うかさあ」


 マールが紅茶をすすりながら、チラっと上目遣いで言う。


「あたしらの点数10点とかそんなもんだったじゃん。なのになんでそんなに喜んでるの?」

「喜ぶに決まってんじゃん。あれだけ絶望的だった貴女達の倫理観が少し良くなってるって事なんだから。うんうん、努力は報われる。これ、世の真理だよ」

「でも10点じゃない」

「成長は点数の数字だけで決まるんじゃないよ。前に進んだかどうかだよ。私は、少しでも前に進んだのなら、それは立派な成長だって思えるなあ。だから、みんなにはこれからも頑張って貰えるように、今日はお祝い!」

「······貴女って、親馬鹿になりそうねぇ」



 まだケーキはある。お茶だって。



 たまにはこうやって皆でのんびりするのも悪くない。



 こうやってると······友達みたい。



 ふふふ。流石に、少し花畑かなあ。



お疲れ様です。次話に続きます。

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