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「ほ、本当にごめんなさい!麗羅さん!」

「あはは······いえ、仕方ないですよ」

「で、でも。お忙しい身であるのに、こんな事で時間を······」



 ペコペコ謝るメナエルさんの頭を見てるとこっちが悪い事した気になってくる。

 うーん。天使ってやっぱ天使なんだなあ。何というか憎めないって言うか健気でいじらしいと言うか。



 私は今、聖堂奥の一室に閉じ込められてる。

 閉じ込められてると言っては少し語弊があるけど、まあ大体そんな感じだ。

 一応、応接間らしくて、ソファとテーブルが存在している。



 実は、さっき警備をしている天使に呼び止められてしまい、私は不法入国者である事が判明した。


 もちろん、私はそんな犯罪者じゃない。ではなぜそんな理由で捕まってるかと言うと答えは簡単で、メナエルさんが私の入国の申請手続きを忘れてしまったからだ。


 結果、私は鬼だし、ここは天国だしと言う事で、一応きちんと確認と手続きを行ってからじゃないとこの部屋からは出してもらえないという話になったのだ。



 付き添いのメナエルさんは責任感でずっと謝っている。




「うぅ、私のドジ、マヌケっ。アホ天使っ。麗羅さん、本当にごめんなさい!」

「いえいえ、私もよくミスしたりしますもん。仕事って、そうやってうっかりする事ありますよね。よく分かりますから気にしないで下さい」

「そう言って頂けると助かります······」

「それより、私が気になるのはあの三人なんですが······彼女らも不法入国扱いに?」

「あ、いえ。亡者は基本的に出入り自由なんです。よっぽどの事がない限りは地獄の亡者だろうと不法入国にはなりません」



 それを聞いて安心した。


 あの三悪女じゃ、ちょっと連行されただけで暴れ出してとんでもない騒ぎになる可能性大だからな。



「三人とも大人しくしてるかなぁ」

「大丈夫だとは思いますが、心配ですよね。あ、そうだ」


 パチンと手を叩くメナエルさん。


「監視鳥を使って三人の様子を見ましょうか」

「監視鳥?」

「天界の使い魔的な鳩です。私達天使の代わりに地上の様子とかを見てくれるんです。鳩が見ている光景はこちらの──」


 そう言いながら、メナエルさんは側の机の引き出しからゴロっと水晶を取り出してテーブルの上に置いた。


「こちらの水晶に映ります。人間界で言うところの監視モニターとか言う物ですかね。これで三人の様子が見れますよ」

「それは助かります。やっぱり目を離してると心配で」

「では鳩を飛ばしますね」


 ピュッという口笛と共にどこからともなく鳩がやってきてメナエルさんの肩に止まる。


「聖堂内に居る三人の亡者を見つけて。令嬢風の姿をしていて、地獄から来てるからすぐ感じとれるはず。お願いね」

『クックルルル』


 指示を伝えられ、鳩君は一声鳴いてから飛んで行った。



「では、こちらを」


 二人で水晶を見守る。


 ややして、鳩の目線が広い聖堂の高すぎる天井すれすれを移動している映像が映し出される。


「どの辺りでしたっけ?」

「えっと、もっと奥ですね。そう、そこの右側、ベンチの所」


 メナエルさんの誘導により鳩は三人が待っている場所へと向かった。


 ところが、三令嬢が待っているはずのベンチに人影が無い。


「あれ?居ませんね?」

「確かにここのはずなんですけど······」



 居ない。


 あ、なんだろう。なんか嫌な予感が······。



「もう少し辺りを調べてみますね」



 水晶の光景が周りを映しだす。



「えーっと。それらしい人影は······あ、あれかな?」

「あ、それっぽいですね」


 遠目に見える数人の集団。それらしき輩だ。



 鳩が動いてその目標に向かって進む。



 さあ、果たしてあの三人だろうか。



 映し出された光景は──



「······あっ!!」


『ちょっと!遅いわよ!早くしなさいよ!』

『は、はい!ただいま!』

『ねー、髪編んでー』

『喜んでー!』

『オーッホッホッホ!次はお菓子よ~!さあ、探すのよ私のために!』

『はいっ!』


「な、な、なななっ······」


『オーッホッホッホ!さあ!メイドなら私をとことん満足させてみなさい!』

『ほらほら!あたしが求めるのは最高のメイドだけよ!なってみなさい!』

『メイドなら主人の言う事には絶対服従だよね~』


『はっ、はっ、はいっ!』



「こ、これは······」

「············」


 ──パクパクパクパク──



 あ、声にならない。


 どうしよ、目の前が真っ暗だ。


 水晶に映し出された光景。それは悪の三姉妹が見知らぬメイドさんを酷使しているという地獄絵図。



 おそらく、この状況はあの三悪女がそこら辺に居た善良なメイドさんを捕まえて無理矢理にコキ使っているのだろう。



『オーッホッホッホ!さ、早くお茶を淹れなさいな!』

『はいっ、お嬢様!』

『その次は歌を歌うのよ。あたしは歌には少しうるさいから覚悟しなよ』

『心得ております!』

『ねー、あのお店の人形持って来てよ』

『はい、すぐにお持ちしますね!』





「あの悪女どもおおおお!」


 ──ガターンッ──



「わあっ!麗羅さん?!あ、駄目です!まだ手続きが──」



 メナエルさんが何か言ってたけど、それどころじゃない!


 天国の善人を、地獄の罪人か苛めたり傷つけたとなれば大問題!最悪、国際問題にまで発展しかねない。




 早くあの三人の悪行を止めなくては!



 ドアを開け放ち、急いで元の場所へと向かった。

お疲れ様です。次話に続きます。

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