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本日、3本投稿の予定です。

 

 ベーゼとヴィセの二人が両側から私を押さえ込み、その隙にマールがカーテンを掴んで私の体に巻きだした。



 ──ギュウウウッ──


「いたたたっ!痛い痛いっ、苦しいっ!」


 ドレスだと思われたそれは、カーテンを改造して作られたロープのような代物。



 私はそのロープにグルグル巻きにされ、そのまま椅子に縛りつけられてしまった。

 肺まで圧迫されてかなり苦しい。



「ちょ、ちょっと三人とも!何するの?こんなタチの悪い悪戯は止めなさいっ!」

「あらあら。どこまでお馬鹿さんなのかしら。私達が本当に改心したとでも思ったのかしら?」

「ヴィセ?ど、どういう意味?」

「はぁ。ここまでくると少し哀れね」

「ほんと。バカって死ななきゃ治らないわね」

「まあ、この鬼は死んでも治らなさそうだけどねー」


 三人の冷たい目。嘲笑とも、嫌悪ともとれる形容しがたい表情。私の事を世にも珍妙な物体でも見てるかのようだ。



 マールがスッと頬に手を添えてきた。


「馬鹿な獄卒。あたしらみたいな女を信じるなんてね。なんであたし達が地獄(ここ)に居るか一番知ってるのはあんたら獄卒でしょう?」

「う、ううっ!と、とにかくっ!ほどきなさい!今すぐ!」

「無理に決まってんじゃん」


 ──グイイッ──


「あいたたたっ?!」


 ベーゼがよりキツく締め上げてくる。


「あたしらはこんな所からさっさと出てくの。その為にはあんたは邪魔な訳」

「な、何度言ったら分かるの?!貴女達はちゃんと更正指導を受ければ真っ当な人生に戻れるかもしれないんだよ?!少なくとも、地獄からは出られる!こんな事したら、それすら不可能になっちゃうのに!」

「あら、ご心配なく。私達は自分達の力だけで出てくわ」

「なっ······!」



 どうして?



 どうして?どうして?


 なんでそこまで頑なに話を聞いてくれないの?なんで自ら過酷な選択を選ぶの?



「な、なんで?どうして貴女達はそこまでして自分で出てこうと?」



 思わず問うと、ヴィセもベーゼもマールも、急に神妙な面持ちになって言った。


「簡単よ。誰も信じてないからよ。自分以外はね」

「他人なんて所詮は踏み台でしょ」

「騙さなきゃ騙されるだけだからね。あんたら獄卒だか鬼だかよく分からない連中の言う事なんてこれっぽっちも信じられないもん」


「な············」



 じゃあ、さっきまでのは全部演技で、私を欺くための見せかけ?


 楽しくお喋り出来てたと思って、喜んでいたのは私一人だけだったの?




「そんなに······そんなに信じられないの?私の事が······」

「あら、それは違うわ。貴女を信じないんじゃないの。誰も信じないだけよ」


 ヴィセの言葉にベーゼもマールも頷いていた。その目は『お前が能天気なだけだ』と、物語ってるように厳しいものだった。



「ま、安心しなさいな。おぼこ、貴女はそれなりに従順だったし見逃してあげる」

「別にどうだっていいしね。最初は始末しようかとも思ったけど」

「うんうん。とりあえず、この腰にある棍棒。これは貰うけどねー」


 マールの手が私の罰棍に伸びる。


「!!だ、駄目だよっ!それはオモチャじゃないんだから!」

「知ってるー。武器でしょ?あたし達、これから脱獄しなきゃなんないから武器くらい無いとね」

「ちょっと、早くしなさいよ。グズグズしてらんないわよ」

「うっさいなー。手伝ってよ」

「チッ、仕方ないわね」


 マール、ベーゼの二人がガチャガチャとベルトの留め具を解除しにかかる。


「こ、こらっ!止めてっ、止めなさい!」

「おぼこ、うるさいわよ。あんまり騒ぐとこの棍棒を貴女で試すことになるわ~」

「こんな所で武器一つ手に入れたくらいじゃ脱獄なんて出来ないよ!それに、その罰棍は貴女達が使っても──」



 ──ガラガラッ──



 三人を必死に説得している時だった。


 途端に教室のドアが開けられ、人影が素早く入ってきた。



「え?」


「!!」

「あっ!」

「へ?」


 令嬢達三人も、その素早い動きに虚を突かれていた。



 滑り込むように入って、あっという間に目の前にまで迫った人物。


 それは、朧だった。手に、彼の使う罰棍が握り締められていた。



「っ!」


 ヴィセが近くの椅子を盾にしようとする。

 でも、それは全然間に合わない。


 朧が罰棍を振り払った。


 ──バシッ──


「?!!ぎゃああああああああっ!!!!」


 罰棍がヴィセの肩に命中した。

 その瞬間。体裁も理性も全て失ったように、ヴィセは絶叫とも言える悲鳴をあげた。

 そのまま崩れ落ちるヴィセ。


「!?」

「わっ?!」


 その光景にベーゼとマールも驚く。

 でも、そんな驚く二人に向かって朧は既に罰棍を振り上げていた。


 反応しきれないベーゼとマールを、朧は躊躇いなく打ち据えた。



「あがあああああああっ?!!!」

「あぁああああああああっ!!!!」


 二人も苦痛に悲鳴を上げ、そのままヴィセと同じく床に倒れた。


 三人の令嬢らが苦しげに喘いでいる。



「麗羅!」


 朧はそんな彼女らには目もくれず、笛を鳴らしてから、私の拘束を解いた。やっと圧力から解放された。


「どこか怪我はしてるか?何をされた?」

「だ、大丈夫。ただ縛られただけだから」

「······そうか」


 それまで余裕の無かった朧の表情がホッと緩んだ。


 そんな風に安心しかけた時だ。



「う、うぅ······」


 床に這いつくばっていた令嬢達が立ち上がろうとしていた。でも、罰棍の威力で相当苦しいみたいで立てないまま体を震わせていた。


「······」

「お、朧?」


 途端に朧が怖い顔になった。いつもの不機嫌──とはまた違う、憎しみに歪んだような表情になると、再び罰棍を握りしめた。


 そして、フラフラと立ち上がった令嬢達に容赦なく棍を振るった。



 ──バシイッ──


「あああああああぁぁっ!!!」

「ぁあああああああああ!!!」

「かっはっ············!!!」


 あまりにも悲痛な、耳を塞ぎたくなるような悲鳴が教室を震わせた······。


お疲れ様です。次話に続きます。

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