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 牢屋に戻ったヴィセ、ベーゼ、マールの三人はしばらく退屈そうに髪をいじったり、備え付けの鏡を眺めていたりしていたが、それにも飽きてきたようである。


「ちょっと」

「ねえ」

「ねー」


 三人は同時に声を掛けあった。


「私、ちょっと思う事があってよ。貴女達に話してあげてもいいのだけど?」

「ふん、あんたも?」


 ヴィセの言葉に対して、ベーゼが応える。


「下らない話だったら止めてよね。まあ、なんとなく分かってるけど」

「あれれー?お二人さんとも同じくかな?」


 マールもニヤニヤ笑いながら鉄格子の向こうに声を出す。


「今日の下らない授業でー、あの獄卒女は能天気お馬鹿だって分かったもんねー」

「話早いじゃない。あたしもそれ言おうと思ってたのよ」

「オホホ、どうやら意見は一致したようね」


 三人の悪役令嬢達はそれぞれ相手の姿も見えないにも関わらず、同時に不敵な笑みを浮かべてみせた。



「あんなお馬鹿さんなら出し抜くのも容易いわ~」

「ほんと。どこまでお目出度い頭してんのかしら。うざいくらいね」

「イヒヒッ、本当に頭お花畑。あれなら攻略は簡単だね」

「オホホ。ねえ、ここから抜け出す足掛かりが見出だせた事だし、一時的に手を組まないかしら?」

「ま、捨て駒が多い方が良いのは確かだし」

「乗ったー」



 今ここに、目的を果たすための悪役令嬢三人による正式な同盟が結ばれた。


 彼女らの目的。それは地獄からの脱出、または支配。いづれにせよ、こんな監獄から抜け出して自由になる事である。


 そのために邪魔な障害は全て排除せねばならない。その第一の障害は問題にならないと三人は判断していた。




「まずはあのお馬鹿を倒しましょう。どうやって料理しようかしら?」

「馬鹿だけど力は強そうね。どんなにへっぽこでも人外であるのは確かね」

「この間みんなでボコボコにしたのにピンピンしてたもんねー」

「となると、あの獄卒どもを倒す方法を調べなければいけないわねえ」

「どうやって?」

「はいはーい。あたし、アイディアあるー」


 マールが残忍な笑いを含ませて声を落とす。


「あの馬鹿ならさ、あたしらがちょっと協力的な態度とれば何でも答えてくれるよ。だから、あいつの弱点とか、鬼?の弱点を聞けばいいんじゃない?」

「へえ、面白そうじゃん」

「いいわね~。なら、明日はみんなでおだてたり、真面目で積極的な態度でもとるのが良さそうね」



 三人は邪悪な声と思惑を交わし、次の日からの打ち合わせを行った。




 能天気でお人好しの世間知らずな獄卒を、出し抜く。それは簡単なように思われた。




 次の日、麗羅は確かに大変な目に逢う事となる。


 ただし、それは麗羅が想像もしていなかった事はもちろん、令嬢達が予想していたのとも違った形であったが。



お疲れ様です。次話に続きます。

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