悪魔は嘲笑うⅢ
心底嫌そうに黒条がそう答えると、陸相の後方に控えていた憲兵達が、俄かに騒ぎ出す。
「黒条閣下は何を仰っているのだ?」
「ことの重大さを理解しておられないのではないか?」
黒条の返しには、少し離れた席で赤真宮の看病(膝枕)をしながら、陸相たちに「めんどい奴が来た」というような表情を向けていた、千鶴宮も困惑した表情をしている。
差し詰め、「アイツは何を言っているんだ?」というような顔でこちらを見つめている。
「…貴官は、自分の立場を理解しているのか?」
普段の温厚さを残しながらも、厳しい口調で黒条に陸相が問う。
「ええ。私に国家転覆罪の容疑が掛けられていると」
「それなら…」
何故…という前に、店の戸が再び開かれ、陸相の言葉を遮る。
入ってきたのは、二人の男。
黒い軍服に身を包み、右胸には紫色の飾緒を、両肩には紅い肩章を身に着け、左肩から右脇にかけて赤地の大綬を佩用した、所謂大礼装姿の二人組だ。
しかし、男たちは入店しても、こちら側に向かってくることなく、洗練された動きで戸の左右に立ち、お互い向き直ると、右腰に提げられた軍刀を抜いて、捧刀の姿勢を取る。
そしてそこで、もう一人女性が、開かれたままの戸から入ってくる。
服装は、先に入った男達とほとんど同じで、黒い軍服に紫色の飾緒、紅い肩章、赤地の大綬だが、左胸にメダル型の勲章が上段三個の下段二個、右肋に華を模った勲章を身に着けた、見るからに男達の上官らしい女性だ。
その女性は、淡い桜色長髪をたなびかせながら、こちらに視線を向けると、次の瞬間には、陸相の右横に立っていた。
「陸相閣下、ご無礼をお許し下さい。お上の御定です」
「…お上はなんと?」
瞬暗移動でもしたように唐突に表れた女性に驚くことなく、厳しい面もちで、陸相が問う。
そして、その問いに一つ頷きで返すと、陸相だけではなく、黒条と僕に聞こえるように、はっきりとした声でもって女性が言う。
「夜叉人閣下と黒条閣下は至急参内せよ…との仰せです」
この発言には、流石に陸相も面食らたような表情になった。
「お上は…陛下は正気なのか?」
言葉を発した瞬間、女性が腰に提げた軍刀を陸相に見えるように掲げる。
「渡良瀬閣下、発言にはご注意を。現在の小官は少佐の階級ではありますが、場合によっては陸相であらせられる閣下であったとしても、斬らねばなりません」
僕の知っている彼女とは違う、色のない声を女性が発した。
そして、陸相から向き直り、女性が僕と黒条へと視線を向ける。
「こちらにはついてきてくださりますね?両閣下」
お読みくださった皆様ありがとうございます!作者の琴乃葉楓です!
さて、そろそろ舞台が動き出しそうな本作品ではございますが、一話からお読みいただいている読者の方々は、そろそろ察していらっしゃるかもしれません…
そう!本作品はスタート前に攻勢を決めず、一話一話を思いつきで書いているのです!!
はい…。そのため伏線などは一切用意しておらず、というか用意できず、他先生方が書いていらっしゃる作品に比べ、読みごたえもないものとなっております。
作品としては未完成であり、改善点も多いのですが、それでも、最後までお付き合いいただけると嬉しいです!
また、コメントや誤字脱字の報告などもお待ちしているので、どうぞよろしくお願いしますm(__)m
以上、琴乃葉楓でした!




