第0話 ≪Before the Fire。夜明け≫
銀河の町は一度壊れかけたことがある。いずれ戦士である愛香はカゲを作り出すものの『アンシン』と戦い、立派に勝った。だが、愛香がいなかった間、町はカゲで混乱していた。そのうち、妹である愛音は怪我をして、びっこを引くようになった。
絶望した愛香は、自分からカゲとなり、デリュージョンと名乗った。そして銀河の町以外の戦士を抹殺した。地球を守る者がなくなった人たちは神に祈った。だが、愛香を愛していた神は地上の命を捨て、彼女のそばを守った。
神と最強の戦士。二人の辞書に不可能という言葉はない。無敵の二人と、デリュージョンを従う幹部は、連戦連勝だった。
おとぎ話は絶望と塗り替えた。デリュージョンの支配の下、誰もが苦しんだ。だが、数か月前、三人の戦士がその最後のページを書き換えた。新たな時代の戦士、マジプロの登場であった。
彼女らにはカゲを浄化する力があった。デリュージョンの妹・愛音とともに、三人のマジプロは愛香の心を取り戻した。だが、まだ愛香は自分の罪から抜け出せないままだった。
一番暗い時間。それは夜明け前。
第0話 ≪Before the Fire。夜明け≫
「愛香、愛香…。」
愛香は自分を呼ぶ声に目覚めた。目の前に神がにこり笑っていた。
「愛香、今日の朝御飯は君の唇にしたいな。」
神をぼうっと見ていた愛香は微笑みを浮かべ、後ろから枕を持ち上げた。ニコニコしながら、愛香は神と自分の間に枕を置いた。
「え、愛香?」
目を開いた愛香は、全力で枕をぶっ殴った。
「変態避けパンチ!」
「ぐっ!」
後ろに押された神は泣きべそになった。
「酷いじゃない、愛香!」
「もう、わけわかんない!神君、スケベになったんじゃん!」
「スケベ…って違う!僕は愛香が、愛香だけが大好きで!」
「うるさいっ!」
「げっ!」
神はまた殴られ、倒れてしまった。
「私、遊んでるわけじゃない!みんなに許され、町で暮らすため精一杯なんだ!みんな私を受け取ってほしいから!」
町に戻った愛香は、町のみんなを尋ね、頭を下げ、なんども誤った。
「そんなことやめてよ、愛香。」
神は愛香が頭を下げることを見たくなかった。愛香には幸せにいて欲しい。ただそれだけ。
「愛香の妹はもう愛香を許した。マジプロのやつらもおなじさ。愛香が誤るひつようなんて…。」
「あるわよ!」
愛香が大声を出した。
「みんなにわかってもらいたい…。私の本当の気持ちを!」
そう。それは四人のマジプロがそろってから一ヶ月の話。それは、今まで愛香が頭を下げた数とも同じ。
「今まで、本当にごめんなさい!」
今日も愛香は町のみんなに誤っていた。
「みんなにつらい思いをさせたわね。」
愛香は頭を下げた。かつて悪のボス、デリュージョンだった彼女は罪深き魂の出来事を許されるため、毎日頑張っていた。
町の人々は愛香から紙袋をもらった。中には愛香が一所懸命つくったお菓子があった。
「申し訳ありません。」
町から出られなかった人には外国の本をプレゼントした。自由に羽ばたく鳥もあげた。でも、どうやっても家族を失った者と合わす顔がなかった。
「あの日、愛香は町を守るため頑張った。わかってくれないやつらが悪いんだ。」
愛香が悩んでいると、神は後ろから彼女を抱きしめ、きっと大丈夫と言ってくれた。
「大丈夫。絶対みんな許してくれる。」
ありがたい言葉だけと、ただそれだけ。罪悪感は消えなかった。
ついに今日、愛香はお詫びを入れるため被害者の家族とあった。
「許してほしいとは言いません。ただ、私になにかできることがあるなら…。」
愛香は重ねてお詫び言を言った。彼女を、いや、彼女の後ろにいる地球の神を見ていた女性が愛香に近づいてきた。
愛香は唇をかみしめた。きっとせめてくると思ったから。だが、近づいてきた女性は愛香の肩を軽く叩いた。
「気にしないでください。」
「え…?」
愛香はびっくりした。それは当然のこと。愛香はかつて、妹の怪我を見て狂ってしまった。妹を守ってくれなかった人に牙をむいた。なのに、家族を失った者たちに簡単に許されるわけがない。
(なにかおかしい…。)
帰り道。はしゃいでいる神とは違い、愛香の心は落着き、深く沈んでいた。
(大切な人を失ったのに、こんな簡単に許されるなんて。)
愛香の瞳がひらめいた。
「やはりありえない!」
「愛香?愛香!」
愛香は町へと走り出した。愛香のそばでいた神は驚いて、早く愛香を追いかけた。
「なあ、愛香。帰ろうよ。太陽も落ちてるし!」
「帰りたいなら一人で帰れば?」
「僕が愛香をおいていくわけないだろう!」
地球の神は愛する女の前では一人の男だった。いつもなら、人の心を自分勝手に塗り替えて、操り人形のようにしたが、愛香だけにはそんなことできなかった。
「帰ろうってば。」
「しっ。」
町へ戻ってきた愛香はざわざわしてる人たちを見て、耳をすませた。そしたら、驚くべきの真実が聞こえてきた。
「なぜあんなやつよゆるしたんだ!」
妻を失った男が叫んだ。
「あいつは人の心を闇へ閉じこんだ悪魔なんだ!さきもやつの技にやられて、自分から命を…!」
「おだまり!」
年を取るたび知恵を得た女性は、息子に大声を出した。
「『あれ』がまたデリュージョンになったら、どうなると思う。」
「また、闇に落ちたら…?」
「そう、その時は町ごと消えるんじゃ!」
一瞬、愛香の息が止めた。そばにいた神はどうすればいいかわからないままだった。
「歯向かうことはできん!われらにできるのはうなずくことだけ!」
「そんな、そんな…!」
男は泣き出した。いや、彼だけではない。聞いていた愛香の目からも涙が流れた。
「受け入れてくれたと思ったのに…。」
つらい真実に胸が痛い。
「私が怖いから…?」
「違うんだ、愛香。あんなやつらのいうことなんて聞くなよ!」
「あなた、知っていた?」
神は口を噤み、目をそらした。
「そう、神だもんね。地球のこと、わからないわけないよね?」
つらかった。今まで黙っていた彼が、裏切り者のようで。いや、町を裏切ったのは自分だ。だからいま、固く鋭い罪に心を刺されてる。
「ひどい、ひどいよ神君!」
「愛香!?」
「ついてこないで!」
愛香は走り出した。神だって男。好きな女を放って置くわけない。だから空をとび、一所懸命愛香を追いかけた。
「もう、一人にさせてよ!」
「そんなこと、できるわけないだろう?」
走り続けた愛香はいずれ小さな丘の上にいた。息切れする愛香は、誰かを見て足を止めた。
「おや、これは女帝ではないか。」
「えっ?」
愛香の前には先の男がいた。
「あなたは…。」
「お前のせいで、俺のさきを失った!」
「ごめんなさ…。」
「誤るな!」
男が叫んだ。
「お前にそうする資格はない!」
男が愛香を攻める姿を見ていた神は、腹が立った。
「影になる者は全部心の痛みを持っていた人だ!お前の妻が弱かったことを、愛香のせにするな!」
「ちょっと、神君!」
「弱い…?」
男がつぶやいた。
「ふざけんな!さきを失った俺は、何年も苦しんでいた。なのに影なんかならなかった!お前のいうことは嘘だ!」
「あら、そうかしら?」
「は…?」
男は後ろを振り向いた。そこに妄想帝国の幹部、フィルムが笑っていた。
「フィルム!?」
「久しぶりです、デリュージョンさま。」
フィルムが微笑んだ。愛香は後ずさりし、後ろに下がった。
「何しに来た!」
神がフィルムの前を立ちふさがった。
「あら、恋に落ちて地球を見捨てた神様まで。」
「見捨てる…?」
愛香がつぶやいた。
「そうです、デリュージョンさま。あいつはー。」
フィルムが話す前、神はエネルギーを詰め込んだ玉を彼女に撃った。
「だまれ。」
「ふん…。ずいぶんロマンチストだね。」
木の上に逃げ出したフィルムがひそかに笑った。
「まあ、いいか。今日はいい絶望の匂いを探したから。」
フィルムは男にウィンクした。男は慌てて、指先で自分を刺した。
「絶望って、俺が…?」
男の足元に集っていた影が呻いた。それを見た男は、いずれ笑い出した。
「そうか。俺もやっと、さきのもとへ…。」
「だめよ、あんた!」
でも、愛香よりフィルムが早かった。
「飲み下せ、デッカゲ!いでよ、カブッタカゲ!」
「カブッタカゲ!」
絶望した男はカブッタカゲとなった。目の前で現れた魔物を見て、愛香はこぶしを握った。
「また、救えなかった…。」
愛香が歯を食いしばった。
「私には、何もできないっていうの…?」
「愛香、そんなことじゃ…!」
神は愛香の肩をつかんだ。愛香が再び闇に落ちるのが怖いから、一所懸命説得した。だが、フィルムのほうが早かった。フィルムが投げた黒いエネルギーが神に近づいた。
「くっ!」
神は愛香を守るため前へ進み、フィルムの攻撃を反射した。
「今夜は私と遊んでくれよ、にいちゃん!」
「愛香に手出しはさせない!」
神がフイルムを止める間、カブッタカゲは丘を駆け下りた。
「カブッタカゲ!」
カブッタカゲは自分の絶望を集め、大きなエネルギーを生み出した。それを町へと撃つ瞬間ー。
「マジプロ!インターセプト・ザ・アタック!」
町の中心で大きなシールドが現れた。シールドは咲き誇るように町の中心から広がった。
「カゲェ!」
攻撃を消されたカブッタカゲがもがき始めた。
「エリミネート!」
「はいっす!」
空回りしたエリミネートは、インターセプトのシールドを踏み、その力でカブッタカゲをぶっ倒した。
「大丈夫っすか?」
空から降りてきたエリミネートは、愛香に近づいた。
「怪我はなしっすね、よかったっす。」
「放っておいて。私なんか、犯罪者だし…。」
「愛香さん。」
愛香を見ていたエリミネートが、両手で愛香の頬を包んだ。
「いったっ!」
「しっかりするっす!」
びっくりした愛香に、エリミネートがさけんだ。
「いま落ち込んでどうするっすか?まだまだやりたいことたくさんあるんじゃないっすか!」
「私のやりたいこと…。」
愛香が手を胸にあてた。
「みんなにちゃんと誤りたい。再びみんなを守っていきたい…!」
「そうっすよ、愛香さん!」
エリミネートが愛香の手をつないだ。
「ここで立ち止まるともったいないっすから!」
「そうよ、伯母さん!」
空からクラッシュが降りてきた。
「これからいっしょに生きていくんでしょ?」
「愛子…。」
「私は伯母さんとたくさん笑って、いろんなものを見ていきたい!」
一転したクラッシュはそのままカブッタカゲを飛び蹴った。
「あなたもよ!大切な人を失っても、私たちは生きていかなければならない!」
「カ、カゲ…。」
カブッタカゲが迷ううち、クラッシュが連続キックを決めた。
「帰ろう、私たちの町へ!」
ぱっと笑ったクラッシュが手を差し伸べ、大きなエネルギーの輪を作った。
「マジプロ!クラッシュ・ザ・シャドウ!」
インターセプトが浄化された男を支えた。目を覚ました男は三人のヒロインをみて辛そうに、でも確かに微笑んだ。
「そう、俺も、生きていく…。」
「ちっ!」
戻ってきた男を見て、フィルムは妄想帝国に戻ってきた。
「本当に、ごめんなさい!」
愛香は男をみて、頭を下げた。
「でも、それでも、私たち、生きていくしかないから…!」
「ああ、そうだな。」
男が手を差し伸べた。愛香は涙を抜いた後、彼の手をとった。
「きさま誰の手を取るのだ!」
「もう、神君!意地悪しないで!」
銀河の町は平和を取り戻した。なくしたことは多かった。戻らなかった。でも、みんな希望を胸に抱いた。
あの炎が、再び火をつける前には。