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完璧な人…?

僕は今、よく分からないことに巻き込まれている。


「坂本……霧島さんの事幸せにしてやれよ……」


「俺も席が隣だったら可能性あったのかな……くそっ…!」


「霧島さんおめでとう…!もしかして、最初に告白した相手って……」



教室に入るなり男子に捕まり、これだった。霧島さんは祝福されている。

そして霧島さんがこっちを見る顔は少し申し訳なさそうにしながらも、内心嬉しいのが見て分かる。


「いや〜……ごめんね?凛くん。ここまで大騒ぎになる筈じゃなかったんだけど……」


「何やらかしたの……」


「何もやらかしてないさ!ただ女子に付き合ってる事言って、なんとなく広めてもらおうと思ったら思ったより大事になっちゃって……」


教室は僕達のことで大騒ぎになっている。

霧島さんと付き合ってるのはいいけど、注目されるのは凄く恥ずかしい。

霧島さんもそれを分かってる筈なのに、僕を目立たせてくる。



「凛くん。良かったら今度私の家に来てくれないかな…?」


授業中、霧島さんは僕に小声で言う。


「いいですけど……何でですか…?」


僕がそう返すと、霧島さんは一瞬言葉に詰まり、そして、少し恥ずかしそうにして話す。


「凛くんを道具みたいに扱うのは申し訳ないんだけど……掃除して欲しいなって……」


その言葉を聞いて僕はハッとする。

霧島さんは実は掃除等があまり得意ではなく、一度僕の部屋に来た時に、僕の部屋を見て驚くほどだった。


「分かりました…今日ですか?」


「うん…頼むよ」


僕は放課後、霧島さんの家に寄って掃除をする約束をした。

霧島さんの家がどんな感じなのか気になって仕方がない。

あまり綺麗ではないらしいけど、女の子らしい部屋なのか、カッコいい感じなのか僕はワクワクしていた。


そして放課後、霧島さんの家に着く。


「言っておくけど、一人暮らししてるから、ある程度だらしないのは許して欲しい。」


「え、一人暮らし!?でも、これ一軒家ですよね……?」


霧島さんの財力に僕は少し恐怖を感じる。

そう言えば霧島さんはお嬢様なんだったな……というかそもそも一人暮らしする娘に一軒家与えるなんてどんな両親なんだろうか…‥


「君があの高校に通うって分かったからね。親に頼んで何とか了承を貰ったんだ」


「え?」


霧島さんの僕への執着が強いように見えたが、それはきっと僕の自意識過剰なんだろう。

じゃないと霧島の思考がほぼストーカーと同じになってしまう。

僕は深く考えることはせず、家に入る。


最初は比較的綺麗だなと思っていたが、そんな考えはすぐに砕かれる事になる。


「あの……これ、キッチンですよね?」


「一応……」


入ってキッチンを見ると、大量のゴミが貯められていて、使用できる場所はごく僅かしかなかった。


ゴミの種類もカップ麺ばかりで、皿は殆ど未使用の状態で収められている。


霧島さんの方を向くと露骨に目を逸らす。

正直僕の方が目を逸らしたくなる光景なのだが。

この人はお嬢様で、学校では勉強や運動何でも出来る完璧な人という印象だったのにこんな光景を見たらそんな印象は微塵も残らない。


「まさか…三食カップ麺を?」


「カップ麺は時間がかからないのに美味しいから……つい……」


「しかも何でお湯注ぐ場所付近だけ綺麗にしてるんですか!」


「だって……注ぐ時にゴミが入ったら食べれないだろう?」


「そもそもこんなにゴミ溜めないでくださいよ!何で捨てないんですか…!」


「今までは両親や手伝いがやっていてくれてたから……」


霧島さんの普段の姿がどんなものなのか僕は分からないけど、なかなかのだらしなさに呆れてくる。正直これ以上普段の霧島さんを知るのが怖い。


そして本題だった霧島さんの部屋を恐る恐る開ける。


「あの……霧島さん?」


「本当にすまない……」


霧島さんの部屋は苺柄の壁紙に、ベッドにウサギのぬいぐるみ、クマの抱き枕など可愛らしいものがあり、とても女の子らしい部屋だった……下さえ見なければ。


下には大量のゴミがあり、一応ゴミ袋で纏められたりしてるものはあるけど、それでも足の踏み場がない。


「何でゴミを纏められて捨てる事ができないんですか!」


「申し訳ない……」


正直この部屋だけを綺麗にするとなれば、数時間はかかる。キッチンや、他のところも合わせれば一日で終わるのかすら怪しい。


「正直、部屋だけでも夜まではかかりますよ」


「そんなにかかるのか………」


「なら、しなくても良いよ…自分で掃除するから」


霧島さんはかなり申し訳なさそうな顔をする。

もしかしたら夜まで片付けさせるのに抵抗があるのかもしれないけど、自分で掃除させても綺麗になる気がしなかった。


「掃除道具、どこにあるんです?」


「いや、でも流石に……」


「霧島さんに掃除させたって終わると思えませんし、それに明日から休日ですから、時間はかかるかもしれないですけど、なるべく早く済ませますよ」


そう言うと霧島さんは掃除道具を取ってくる。


「本当に大丈夫?私の為に無理をするのは…」


「無理じゃないですよ、これを放置する方が無理です」


そう言いながら僕は掃除を始める。


最初は霧島さんは僕を見て少し慌てているけど、僕はお構いなしに作業を進めていく。


「そこでうろちょろしてる暇があったら霧島さんも手伝ってください!無理させたくないんじゃなかったんですか!?」


「あぁ、すまない…!手伝うよ…!」


ゴミを纏め、掃除機をかけ、雑巾で床を綺麗にしていく。

最初は足の踏み場もない床も、完全に綺麗とは言い切れないけど、何とか入れるくらいにはなったし、キッチンや他のところも片付けた。


それに思ったよりも霧島さんの手際が良く、掃除も早めに終わった。


「凄いよ凛くん!!本当にありがとう…!」


「あの、とりあえずゴミ、ちゃんと捨ててくださいよ……捨てる日も間違えないように」


「分かってるよ…!それにしてもまさかここまで入りやすくなるなんて……!」


霧島さんはすごく喜んでいる様子だった。

ここまで喜ばれると普段どうやって部屋に入ってたのかも気になってくるけど、霧島さんの笑顔を見ると僕は少し嬉しい。


「これは睡眠の質も凄く良くなるだろうね……今までは少し空気が悪かったけど、これで気持ちよく寝れる」


「今までこの部屋で寝てたんですか…!?」


「…?そうだが…」


学校で会う霧島さんと家にいる霧島さんがかけ離れすぎて想像できない。

今まで学校で会った霧島さんがあんな部屋で寝てたなんて……


「あ!凛くん……!時間が……!」


霧島さんに言われ、時計を見ると時間はすでに9時半になっていた。


「申し訳ない……!こんな時間までやらせてしまった……」


「んー……霧島さんが良いなら泊まろうと思ったんですけど……」


僕がそう言うと、霧島さんは曇っていた顔から一気に晴れた顔へと変わる。


「本当かい!?けど、大丈夫なのかな……?」


「家族には帰れないかもって伝えてますし、今から連絡すれば大丈夫ですよ」


「なら!料理を振る舞お……う…」


「カップ麺しか作れないのに何振る舞うつもりなんですか…?」



しかし食材も特になかったのでカップ麺を食べることにした。

普段食べる事が少ないカップ麺だが、いざ食べてみると美味しかった。


「普通に美味しいですねこれ……」


「そうだろう!数分で出来るのにこの美味しさ…ハマってしまうだろう…!」


「まあでも三食全部これは普通にしんどいです……」


「………そうか」


霧島さんは少しでも自分の食生活を庇おうとするので僕がそれを否定すると、彼女は残念そうな表情をする。

僕はそれを気にすることなく食事を済ませた。


「ご馳走様でした。お風呂入りたいんですけど、借りても良いですか?」


「あぁ大丈夫だよ。湯が入るまで時間がかかるから少し待ってくれ」


しばらく待ち、お湯が沸いた、すると霧島さんが僕をからかってくる。


「凛くん。もしかして私と一緒に入りたいのかな?」


「そんな訳ないでしょ……」


正直な話、掃除の疲れもあって、少しでも休みたかった。

霧島さんのからかいにあまり反応しなかったのが僕の間違えだったのかもしれない。



それはシャワーで体を流している時だった。


ガララ…


「彼女ちゃんが来ましたよ〜」


「はぁ!?」


突然風呂場の扉が開き、霧島さんが入ってくる。


一瞬後ろを振り返りそうになったが、風呂に入ってきてる事を考えると後ろを振り向いてしまうのは流石にまずいと何とか思い止まる。


「何入ってきてるんですか!?」


「時間も勿体無いし、折角お泊まりなんだ、少しでも一緒にいたいだろう?」


「理由になってない!」


そう話している間に霧島さんの腕が僕の体に触れる。


「すらっとしてて、女の子みたいだね……本当に男の子か、分からなくなるよ」


「あの……裸じゃないですよね……?」


僕は霧島さんにそう聞く。正直裸であってほしくないと言う願望もあった。

僕の動揺が霧島さんに伝わったのか、僕を更にからかってくる。


「凛くんはどっちがいい……?」


「着てたほうがいいに決まってるじゃないですか!」


「あれ、そうなんだ、間違えちゃった」


「え!?」


霧島さんの姿を見ずに、声だけで情報を埋めようとする僕を霧島さんは惑わせてくる。


「凛くんの恥ずかしがってる顔、鏡で見えてるよ…?とっても可愛い……」


「な!?」


僕はそう言われ咄嗟に鏡を見てしまう。するとそこには霧島さんの姿が見え、

僕の体で大事な部分は見えてなかったとはいえ、肩や顔が見えていた。


「はぅ…!?」


「まぁ水着着てるけどね……ってあれ…?凛くん?凛くーん?」


僕は霧島の肌に耐えきれなくなって倒れてしまい、次に目が覚めた時にはベッドの中だった。


自分が倒れてしまって、ベッドまで運んでもらっていたことを知ると、少し狭い事に気がついた。

そして横を見ると僕の腕を抱き枕代わりにして寝ている霧島さんがいた。


「……ん!?」


霧島さんの顔はとても近くて、吐息が聞こえてくるほどだった。

さらに僕の腕も彼女の胸に当たっていて、今まで感じた事のない感触が僕の腕に残る。


「ん……?あれ……おはよう…?」


僕が慌てていると、霧島さんが起きてしまう。


「今何時……?……まだ2時じゃん……」


「ちょ……霧島さん……僕を抱き枕にしないで……!」


「えぇ……いいじゃないか別に……運んであげたんだから……」


霧島さんは眠そうに再び眠りにつこうとする際に、僕は気が付いてしまった。

風呂場で倒れて、今僕はベッドの中にいる。

ここには霧島さんしかいない訳で、僕は裸で倒れたのに、いま服を着ている。

これが何を意味するのかを僕は理解してしまい、また恥ずかしさで倒れてしまう。


「あれ……凛くん…?寝ちゃった…?」


倒れている僕をお構いなしに抱き枕にして、霧島さんも眠りにつく。

僕は朝起きた時、またこの事を思い出すが、深く考えるとまた倒れてしまう為、忘れる事にした。

再び書き始めましたのでどうぞよろしくお願いします!


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