第1話 ボクっ娘神の声
2019/07/14冒頭加筆しました。
化け猫の大群を俺たちは追う。
「《妖術 氷雨》!……ごめんなさい、射ち漏らしたわ!」
化け猫たちに白髪の少女が氷の雨を降らせる。
「いいや、大丈夫だ……《位置の眼》!」
地面に、光り輝く線がマス目状に走る。
地図を針で三か所刺し、頭の中に浮かぶ座標を呟く。
「(x=675,y=458)(x=682,y=457)(x=675,y=460)か」
「スキル《座標指定(x=675,y=458)(x=682,y=457)(x=675,y=460)》、魔術《流星》!」
ズドン。
地図を針で指し示したその場所に光の玉が落ちる。そこに動くものがないことを確認してから、俺は肩の力を抜く。
倒れたでかい化け猫達から光の粒が舞い上がって、血だらけの普通の猫に戻った。今はもう、あまり心も痛まない。慣れだ慣れ。
側に落ちていた石を皮袋に入れる。
「よっし」
こんなことをしている俺を、一年前の俺が見たらどう言うだろうか?
「行くぞ、氷鈴」
「ええ、晴翔」
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『やあやあこんにちは、みんなのアイドル、神様だよー』
蝉の声響く夏休み。ある日、俺はそんな声で目が覚めた。
『ボク、この世界の全てのものにスキルを与える事にしました!いえーい、ぱちぱちぱちー』
『スキルってのはぁ、付与される普通じゃない力のことなんだ。
つまり、筋骨隆々の男と華奢な女の子が戦ったとしても、スキルによっては女の子のほうが勝つこともあるんだね』
『そして!ボクはしっかり安全装置も付けました!まじボク有能!
人間でいう五歳になったら活性化するようにしたんだ。だから、赤子が自分のスキルで死んでしまうことはないんだ』
『注意事項なんだけど、スキルを与えるために、すこーしだけ体の構造を弄ったんだ。でも、医療や治療に影響はないようにしたよー』
一体この声はどこから聞こえているんだ?辺りを見回しても誰もいない。
『スキルは、一定の大きさ以上のもの全てに1つから3つ、セットで与えたよ。もちろん、これから生まれてくるものにも与える』
『ボクが適性を考えてやった、不公平はない。しかし、それを活かせるかは自分次第だ』
『スキルを与える全てのものに個別で話すのちょっと疲れてきたからそろそろ本題に入ろう』
『いやあね、ボク思うんだよ。人間、傲慢すぎない?ってね』
『なんかさ、懲らしめられる姿も見たいわけ。勧善懲悪を見たいんだよ』
『と、いうわけで。頑張って生き延びてね、』
『人間♪』
……はぁ?