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面倒事


 土日は本当に終わるのが早い。

そしていつの間にか月曜日が始まっていた。

みつに貸してもらっている部屋のベッドからゆっくりと立ち上がり、まだ寝ぼけている頭で僕は制服に着替えた。

 一階に降りるとみつはすでに僕と自分の分の朝ごはんを作りニュースを見ながら待ってくれていた。

「おはよう…」

「おはよw髪の毛すごいことになっているよ」

「あ、うん。うん」

「おーい、起きてますか?w」

僕はその弄りを無視し洗面台に向かった。

鏡を見るとすごい髪の毛のたった自分がいた。

櫛を取り出しとくが髪質が悪いせいで途中引っかかってしまった。

自分は少し髪が長いので少し時間がかかってしまった。

 引き続き顔を洗う、蛇口をひねると冷たい水が出てきた。

それを救い上げ顔をばしゃばしゃと洗った。

不思議なことに目ぱっちりと覚め、今が7時45分だということに気付いた。

この時間は結構ぎりぎりで急いで食事を飛び出し学校に向かった。

wizardの力を使おうと思ったが依存してはいけないので我慢し、とにかく走った。

 学校についたときの時間は8時2分と僕にしては珍しく危うく遅刻してしまうところだった。

靴箱に靴を入れ急いで三階の3年4組の教室へと向かった。

 扉を開けると一斉に視線がこちらに向いたがみんな一瞬で僕から視線を外した。

でも唯一僕から目を離さない子がいた。

その子はクラスの委員長である伊藤 雪だ。

クラスの委員であるだけであって皆から熱い信頼を向けられてる女子だ。

偽善なのか、素なのかわからないが皆が僕に酷いのに対し彼女だけは優しく接してくれる。

その子が今まで僕の唯一の支えだった。

「おはよう、今日は遅かったね」

「少し寝坊してしまって…」

席に向かう途中小声で話掛けてきてくれた。


 一時間目が終わり僕はいつものように引き出しから本を取り出した。

しおりを取り出しさて読もうとした。

「おい拓馬あ!」

あ、僕は別クラスの今上、山下、山田の三人に呼ばれた。

一瞬クラスはシーンとなるがすぐににぎやかさは戻った。

もちろんツレションではない、あのクソ親みたいに僕でストレスを発散するのだ。

僕は文句を何一つ言わずについていくことにした。

「拓馬、お前最近調子にのってないかああ!?」

「のってないです…」

早速一発けりを入れられた。

痛い。

「すみません…。乗ってました…。」

「だよな、何伊藤と仲良くしてんだ?」

「いや僕は…」

顔を僕にぐいぐい近づけ僕に対し威圧をしてきた。

クラミティに比べてはあまり怖くなかった。

「僕はああ?」

「すみません、無視するようにします…」

まさかの回答に自分ですら驚いてしまった。


 僕はあいつらの後にトイレを後にした。

折角治りかけていた膝の痣、けられたせいでさらに悪化してしまった。

膝をおさえ教室へ向かった。

休み時間はまだある、僕はこの土日に買った小説を読むことにした。

 教室に入る、みんな楽しそうに友達と話している。

男子はじゃれあい、女子は世間話&悪口、きっと僕の悪口もその中に含まれているのであろう。

伊藤は友達との会話を中断してまでも僕の方に来てくれた。もちろんあいつらとの約束を守るはずはない、別のクラスだから多分ばれないと思う

「拓馬君大丈夫?また何かされたんじゃない?」

「大丈夫だよ、ただのつれだよ」

僕は無理やり笑みを浮かべた、彼女は本当に優しい。

裏がないのかな…。

「ほんとかな…?何かされたら言ってね?委員長である私が助けるから」

そういって彼女は自分の胸をボンとたたいて自信ありげに僕に言った。

その姿は滑稽でありながらも少しかわいげがあった。

思わず僕は笑いをこぼした。

「僕のことは気にしなくていいよ、それより僕なんかと話していいのか…?周りから変な風に見られてないよな?それだけが心配」

「相変わらず周り思いなんだね。私のことだけじゃなくて自分の心配したら?」

「自分はもういいよ、ともかく僕のことは無視していいよ」

その時丁度チャイムが鳴った。

強制的に会話は中断され僕は席に着いた、机の置きっぱなしの本を片付け授業へと移った。


 午前の授業が終わり、給食を食べ昼休みが始まった。

「おい、拓馬こっちこい」

またあいつらだ普段は一日一回しか来ないのに今日は珍しい。

なんだなんだと思い席から立ちそのままそいつのもと向かった。

ドスっ

僕の腹に痛みが走る、一瞬息が止まった。

彼は何故かトイレじゃなくここで直接暴力をふるった、それほど怒っているのだろう。

「うう…」

僕は床に腹を抱え崩れた。

クラスのみんながこそこそと何かを言っていた。

伊藤は?と思ったが、案の定山下に言い返していた。

「待って!それは酷い!」

僕は痛みに耐えながらゆっくりと見上げる。

「伊藤…、別に何にもないからあっち行ってなって」

「拓馬君も拓馬君でなんで私に言わなかったの!?」

「いや、だって…」

その瞬間伊藤が僕の上に倒れてきた。

さらに腹に負担がかかる。

おそらくあいつらに押されたのであろう。

「きゃっ」

「伊藤、お前がこいつに構っている理由は自分の名誉のためだろ?俺らは知ってるぜ?」

「違う!そんな理由じゃない!」

伊藤はすぐさま僕の上から立ち退き言い返した。

「違うことはないだろ?」

山下の隣にいた山田がそういった。

「だってお前言ってたじゃん、それに名誉がほしいのは当たり前だろ?」

「言ってないよ!」

今井が聞いた。

「あのさ、お前まさかこいつのこと好きなのか?」

「…」

流石の伊藤もそれに対しての返答は難しかったらしく言い返せず黙り込んでしまった。

僕は痛みを我慢し、ゆっくりと立ち上がった。

心配になり伊藤の表情をうかがった。

なんと泣いていたのだ。

自分のせいで女子である伊藤を泣かせてしまった。

自分のせいという罪悪感が湧き上がってしまった。

目の前が歪み出した。立ちくらみがひどくなり僕はどうすることもできなかった。

そして僕は無意識のうちにその発言をした今井の顔面を殴っていた。

クラスがさらにざわつきだす。

流石に自分はこのことに対して自分にもそいつらにも腹が立った。

「痛いなああああああ、おい」

僕は三人からの猛反発を受けた、殴り返され地面に打ち付けられた。

「待って!待ってよ」

伊藤が泣き叫ぶ声が聞こえた。

そのあとも終わることなく僕は三人から何度も蹴られ、どんどん意識が薄れていく。

なんでここまでやるかなあ…。

次第に周りも騒がしくなっていく。

あ、大人の声が聞こえた。おそらく先生が来たみたいだった。

そこで僕の意識が途切れた。

   



 目が覚めた。

きっとここは保健室なのだろう、そういう匂いがした。

起き上がろうとしても肋骨部分が痛くて起き上がることができなかった。

それを我慢し僕はおもむろに立ち上がった。

立ち上がると折悪しくほかの部分も痛んだ。特に足がとても痛い…。

「あ、うう…」

とにかくゆっくりと進む。ゆっくりゆっくり足を引きづりながら。

その音に気付いてくれたのか保険室の川上先生が駆けつけてくれた。

ベッドの仕切りカーテンを開け僕の様子を伺った。

「ダメよ、まだ寝てなさい」

僕の肩をつかみベッドに戻そうとする。

それは困る。

「川上先生…それは困ります…。」

「何が困るのよ?あの件は担任の先生がきれいに収めてくれたから安心しなさい」

「…それでも」

「ダメダメちゃんと寝てなさい」

それでも川上先生は僕を優しくも強く押してきた、僕は痛みで力を出すことができずベッドに再び戻された。

「先生たちもわかっているよ、親に知られたくないんだよね」

「…はい」

「そこのところはちゃんと理解しているから今は寝ときなさい」

「はい…」

僕はそのままおとなしく寝ることにした、先生がそれを確認し再びカーテンを閉めた。

そんなわけないだろ!

僕は静かに起き上がり胸元に例のバッチを付けた。

僕の姿はさらっと変わった、そして無駄にテンションが上がった。

不思議なことに痛みが引いた。

 天井を伝ってゆっくり逃げ出す。

いくら姿が見えてないといい扉を貫通することはできないので意外に抜け出すのに少し時間がかかりそうだ。

先生は相変わらずパソコンをいじり、仕事をしている。

動く様子もなさそうだしちょうど出入り口の方を向いている。

こりゃ随分と待たされそうだ。

 ちょうど10分したくらいだろう、僕が一生懸命出る方法を探していると誰かが入ってきた。

ありがとう後輩君!

僕はそのまま保健室を後にした。

今日はこのまま帰ることにした。

疲れた、まさかこんな風になるとは。

まあどっちにしてもwizardになってしまったからにはクラミティを倒さなければいけないので今日はもう帰ることにした。



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