まくのなるの
あの戦いを僕らは無事に終わらせた。
みつはあの寝たふりのお詫びと今回の僕の功績をたたえ「まくのなるの」でポテトをおごってくれるらしい。
今はそこに向かってる最中でやけにみつの機嫌がよかった。
ここ数日で分かったことはwizardの効果は僕の場合2日間続くらしく、その間はとても明るい気分なのだが48時間たつとぴったりその効果はなくなってしまう。
みつの場合も少し個人差があるせいで1日と半日で暗くなってしまう。
その時のみつは本当に暗く僕が押さえないとリストカットしてしまうくらいなのだ、いつ自殺してもおかしくなかった。
僕は本当に心配なのだ。
「ねえ、みつ」
「んー!?」
「お前って結構女の子っぽいね」
「んー、そうかな?」
特に今の表情もそうだった、こんなに人のことを見るのが初めてだったせいかな…?
おかげで男子と女子の見分けがつけれなくなってしまってたようだ。
「というかさ、僕1、2回位しかまくの行ったことしかないから詳しく教えてくれよ」
「ええ!?そうなの?まくのなるのは簡単に言えばハンバーガーショップだよ」
「ハンバーガーショップね、楽しみだ!まあ親にいろいろと虐待されてたからかな…」
「んん、ほらほらあそこのМのマークの看板が目印だよ」
そういってみつがその看板を指さした。正直言ってどこにあるかわからなかった。
本読んでばかりいるせいで視力が低いのだ。
「あー、あれね」
「そうそう!あれ、ほんとにどこにあるのかわかる…?」
まあそのうちつくだろうし今はわからなくていいだろう、そんなことを考えていたが見事に見破られてしまった。
本当にみつは不思議な奴だ。
「ごめん、実をいうと目が悪くてわかんなかった…」
「しょうがないなwあの赤い奴だよ見える?」
今僕らは少し高いところにある駅から見下ろしているんだけどどれがどれかわからない。
何故か一生懸命になって探しているけどわからない
「ほら、あれだよあれ」
「あーあれね」
「違うwあれはエネウォスだよwww」
なんと!僕はエネウォスというガソリンスタンドの看板を指指していたのだ。
「え!?そうなのww」
思わず僕も大笑いしてしまった。
多分こんなに笑うのは本当に7年ぶり位だ。
そうやってだべりつつも僕らはまくのなるのに到着した。
昼間なのでドライブスルーがこんでおり、駐輪場も少しだけこんでいた。
店内に入ると「てゅろろんてゅろろ」という謎のメロディーに歓迎された。
中を見渡すとやはりこんでいた。レジも結構こんでいて、席も見た感じあいていなかった。
少し店内を回ってやっと席を見つけたがカウンター席しか空いてなかった。
少し狭かったが僕にとっては初めてだったので座れるだけで本当に嬉しかった。
「じゃあ拓馬はここに座ってて、僕がおすすめのやつ買ってくるから」
「おう!おいしいのをよろしく!」
「飲み物はコラ・コーラでいいよね?」
「うん!」
「少し時間かかるかもだから怒らないでね」
「うんうん」
僕の言葉を最後まで聞くとみつは早足でレジのほうへと向かった。
ついでに僕はすこし店内を観察した。ファースト店だけあて親子が多かった。小さい子達の手にはホープセットのおまけが握られてた。
この子たちもいずれ病んでしまうのかな。
しばらく待っているとみつが小走りでこっちに返ってきた。
手には二つのお盆がありその上にハンバーガー、ジュース、ポテトが一つずつ乗っていた。
「はいお待たせ―!こっちが拓馬のやつだよ」
「ありがとう!本当にいい匂いだ!」
「でしょ~?これがたまらないんだよ。ちなみにそれはビックマクロセットっていう!これがまたおいしくてね」
「なるほど!」
みつもすわり、ハンバーガーの包み紙をめくった。
「よし!頂きます!」
「あ、僕も。頂きます!」
同じく僕もハンバーガーにかじりついた。
なんだこのおいしさ僕は、連続で二回、三回とかじりついた。
本当にうまい、少し口の中に入れすぎて顔がリスみたいになっていた。
少しコーラを飲む、うまい!
こんなにおいしい食べ物は久しぶりだった。
「拓馬、ポテトも食べてみなよ」
「うん」
僕はポテトに手を伸ばした、二つほど握り口の中に抛りこんだ。
「!」
「うまいでしょ?」
「うん!これは最高だ!」
それから30分もしないうちに僕は完食した。
本当においしくてすぐに平らげてしまった。僕は少し大きくなったお腹をさすりみつの方を見た。
どうやらみつは先に完食していたらしくにやにやした安定の人相でこちらを見ていた。
頬杖をやめ、きれいな姿勢でこういった。
「デザートほしくない?」
「ほしいです!」
みつはまた駆け足でレジに向かい、駆け足で戻ってきた。手にはソフトクリームがあった。
「はいこれ!」
「え、いいの?これ高そうだけど…」
「安心して!これワンコインで買えるから。ちなみに100円ね」
「おお!」
それを聞いた僕はそれに視線をうつした、きれいな曲線を描き上に向かってまかれていたアイスは僕からしたらものすごく魅力的だった。
何のためらいもなく少しなめてみる。
舌に甘さと冷たさが伝わった。本当に最高だった。
「これすごいおいしいでしょ?」
「ああ、これは画期的だ」
「でしょでしょ?」
僕らは食事を済ました後外に出た。
入店する前は普通に見えたまくのなるの。出た直後にもう一度見ら本当に神々しかった。
やるな、まくのなるの…。