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転機

そう聞こうとした。

 何かが変わったからがすごく軽くなり興奮した。まさかと思いそいつのほうを見た。そいつは笑いをこらえているのか小刻みに震えていた。そして笑いをこらえながら再度

「よっwよーこそwizardの世界へwww」

やっぱりだ!僕は自分の服装を見た。そこにはバッチがついていた。

そこから服がだんだんと変化していった。

もともと着ていた黒色のパーカーが白くなり丈が伸びていた。フードをかぶり少しそいつと似たような感じに出来上がっていた。

なんだろう…、なんだろうこの感情…。

少し体がそわそわする、腹の奥から何かが渦巻いているような感覚だ。

「うあああああああああああ!」

僕は思わず大声で叫んだ、我慢できずに叫んだ!

そして僕は彼のほうを満面の笑みで見た、どうやらうるさかったらしく彼は耳をふさいで迷惑そうな顔をしていた。

「これすごおいねええええ、あはははははははははははは!」

「す、すごいよねこれ」

「うんうん!あははは」

僕は彼を押しのけ人ごみの中に飛んで行った。本当にすごい簡単に魔法使いになれるなんて!なれるなんて!

「あ、ちょっと君!ちゃんと俺の話来てよ!」

はっきり聞こえていたが僕は聞こえないふりをした。こんな最高な気分は本当に初めてなのだ。彼の話を聞いている暇などない。

僕は今までの鬱憤を晴らすために何百キロもを超える速度で街の中を駆け抜けた。

大声で笑っても見えていないから誰もこっちを見ない。

今の自分に対し優越感を感じ僕はある場所へと向かった。もうわかると思うが自宅だ。きっとなんでかはわかるだろ?僕は今まで多くの体罰を受けた。

精神が病むまで、病んで病んで、痛んで、泣いて、苦しんで、悩んで…我慢した結果神様が僕にチャンスを与えてくれたんだ。このチャンスは無駄にしない。

見えない恐怖、痛みを存分に味あわせてやる。

あまりの楽しみさに僕は思わず笑みをこぼしてしまった。殺したら思いっきり大笑いしてやる。

 そんなこと考えていたらいつの間にか家についた。玄関の扉の取ってを力いっぱい引いた。

「あ、しまった…」

そういえば家の鍵しまってなかったんだ。鍵を開けなければ…。

僕は焦りながらポッケに手を突っ込んだ、本当に興奮していたんだろうな、何度か手を入れるのに失敗した。

やっと手を入れることに成功した。自分の体温で少し暖かくなっていた鍵を取り出した。そういえばこの服って少し変わっているけど、内装は変わっていないんだな。

そんなことを思いつつ鍵を刺そうと扉のほうに視線を向けた。

 不思議なことに扉があいていた、目の前にいつもの背景が広がっていた。いや、実際は扉があいたんじゃなかった。

今さっきの僕の引きで扉が後方に飛んでいたのだ。思わず顔をしかめてしまった。だってほんの数時間間前までクソ親にぼこぼこにされていたのにいまじゃ扉を壊せれたのだから。

 そのまま僕は靴を脱がず家の中に上がった。気持ちを抑えるために深呼吸をしながらリビングに向かった。コツコツという自分の靴の音がとても心地が良かった。

 いよいよ扉の前に来た。

「はあ、はあはははははははあはあはああああは、あはははははははは」

興奮で息が荒くなった、自分でもわかるくらい荒かった。このまま発作で倒れるんじゃねえの?w

ゆっくりと手を取ってに伸ばす。さらに笑みと呼吸と緊張が強くなった。

取っ手をつかんだ。

「あああああああああああ。があああああぐああっ、あああ」

ただ取っ手をつかんだだけだと思ったのになぜか高電流が流れた。不思議と体はそのままの格好から動くことができなかった。なるほどこれが電気の力か。

僕がこの状況でも笑ったり、耐えたりできるのはおそらくこのwizardのおかげなのだろう。

 しばらくすると僕は気を失いかけていた、流石にwizardの姿でもだめだたったか…。

気絶する瞬間みつの姿が目に映った。彼は少し迷惑そうな顔で僕を見ていた。

そしてこう言い放った。

「依存したらダメで…」

そこまでしか聞こえなかったが大体何を言おうとしていたか分かった。

少し僕は彼をなめていたようだ、実際には本当に魔法の使い方がうまかった。

そのまま僕は倒れた。

  




しばらくして僕は目を覚ました。当たり前なのだが変身は解けていた。おなかには毛布がかかっていた。起きたばかりで頭が回らなかった。

でもひとつわかることがあった。

それはここが自宅ではないってことだった。部屋の内装は見た感じ普通だった。

四角い机があって、本棚があって、ベッドがあって、ぬいぐるみがあった。

ん…?

女の子の部屋…?と思わず思ってしまった。けどどう考えてもここに来る経緯が当てはまらない。

僕は酷い頭痛を我慢し、ふらふらしながら立ち上がった。

ふと気絶する前の記憶を思い出す。

そういえばそうだった僕は電気を何故か食らったんだった。

が、しかしどこにもそれらしい傷はないし自分はこの酷い頭痛以外何ともなかった。

 くらくらしつつも僕は前に進んだ、一歩一歩が本当にきつかった。

窓の外に視線が言った、景色からするとここはおそらく二階だ。もしかすると誘拐かもしれない。ここから飛び降りて逃げるのもありだろう。でもさすがにそんな勇気は僕にない。

ということで家の玄関から堂々出ることに決めた。

部屋の扉を開けると思った通り廊下が広がっていた。普通の民家のような構造で階段の近くにトイレがあった。廊下の途中にいろいろと部屋があったがすべて扉が開いており誰かいる様子ではなかったので無視。

そのまま階段を下った。途中テレビの音が聞こえた。

確実に人がいる、僕は息を殺し階段を下った。

降り終るとその階段は直接リビングにつながっていた、何も考えずに降りていたため気づかずそのまま降りるところだった。

警戒しながら顔をだし、周りを確認した。いざとなったら階段を駆け上がりそのまま窓を飛び降り逃げる。そう覚悟した。

 そこにいたのは黒髪と白髪の両方を持った男だった。ソファーに座りくつろいでいた。

二階に引き返そうとしたが僕はあることに気付いた、そいつはみつだった。今さっきまではその髪色が逆だったのにどういうことだろう。

それはともかく誘拐とかじゃなくてよかった…。

というか意外に女子力高いな…。ある意味気持ちが悪い。

なんてことを思いながらしばらく見ているとあちらは僕がいることに気付いた。じわじわと口の形を変えいつもの笑顔になった。

「やあやあ起きたんだね、拓馬君」

「ああ、誘拐されたと思ったよ…。まったく…」

「あーごめんごめん!どうしても気絶させないといけなかったから。まあこっちにすわりなよ」

僕はそいつの隣にずっしりと座った。彼は相変わらずの笑みを浮かべていた。

「気絶って、やっぱあの電気お前だったのか!」

「俺の名前はみつであってお前じゃないよ」

「ああ!わかったよみつ!」

「そうそうそれでいい」

「みつ!」

「はいい!なんでしょう!?」

「僕のあのバッチはどこにある?」

「だーめ」

「は!?あのバッチをくれたのはお前だろう?」

「うん、俺だよ。でもダメ」

「なんでだよ!」

「依存するなっていったのに君は聞かなかったじゃん」

「依存してない!」

「いつものストレスを俺にぶつけないでよ、どう見たって拓馬君は依存してたよ。自分の行動振り帰ってみなよ」

「…」

僕は黙ってしまった、流石にこれでは言い返せない。他人の力を自分のものと勘違いし飛び回ったりしてたからだ。でもどうしてもやりたいことが僕には一つあった。

「頼むから僕の両親を殺させてくれ!」

頭を下げ懇願した。

数秒間下げていたが何も反応がなかった、僕は顔を上げみつの表情をうかがった。

彼は少し難しそうな表情で僕の目を見ていた。

もう一度頼むことにした。今度は度彼の顔を見て頼んだ。

「僕はあいつらが本当に憎いんだ、頼む殺させてくれ!」

「無理、これは人を殺す道具じゃないの」

「…」

「人を殺すために使うんなら僕は君にこれを渡さない」

「…」

僕は何を言い返せばいいのか全然分からなかった。言い返したとしても絶対に論破されてしまうと思ったからだ。

そんな僕を見て彼はしぶしぶこういった。

「あのさ、あれだったら俺の家に住んでもいいよ?」

「え?」

僕はいつの間にか下げていた視線をみつのほうに向けた。

こんないい話はない、もちろん僕の答えは

「よろしくお願いします!」

「うんうん、多分君のことなんて両親は気にしてないと思うからさ」

「うわ、それちょっと傷つく。まあそうだねあいつらは僕にご飯も出してくれない…。」

「ああ、ごめんごめん!これからは俺がちゃんとご飯作るからな!」

「うんよろしく!本当にありがとな!」

そんなこんなで僕はみつの家でしばらく暮らすことにした。

みつの言うとおりきっと僕は両親から何とも思われてないし、思われたくもない。

だからきっと警察に通報したりとかはしないだろうし、何かあったらすぐに家に戻ればいい。

「あれ?」

「ん―?何かほかに不満でもあるの!?」

「いやそういうわけじゃないけど、このことってみつの両親に言わなくて大丈夫なのか?」

「うん、俺の両親はもういないから大丈夫だよ!」

みつはそのことを笑顔で教えてくれた。

彼もwizardなりに病んでいるのだなと思うのと同時に申し訳なさが這い上がってきた。

「ごめん!そんなことを気にせず聞いてしまった!」

「いやいいよ、もう犯人捕まったし俺にはまだ両親の母と父がいるからさ」

「ああ、そうか…」

「というか、ハイこれ」

彼から鍵と先ほどのバッチをもらった。

「ありがとう」

「いいけど、バッチの使い方は間違えないでよ~?あと鍵はなくさないでね!鍵変えるお金なんてないからさ」

「わかった、本当にいろいろありがとな」

「まあいいよ、僕もそれなりの友達がほしかったからさ」

それから僕らは握手を交わした。

これから僕らの共同生活が始まる、そんなことを考えたらわくわくしてきた!

普段僕は学校で一人で絵を過ごしているからこんなことは楽しみなのだ。

それと言っておくが一応みつ以外の友達は一人いる。

ああ、楽しみだ。


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