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出会い

プロローグ


僕の名前は「東 拓馬」。平凡な中学3年生。

あ、いいや平凡な中学生ではなかった。僕は毎日両親から虐待を受けている。そして今日も一つ二つとあざを作るのだろう。もう恐怖にはなれ今はただめんどくさいという気持ちだけしかない。

「はあ…生まれてこなければよかった…」

そんな独り言をつぶやきながら自宅の扉をゆっくりとあけた。靴を見る限り二人は家にいる。

 「ただいま」

 もちろん返事はない。そのほうが好都合だ。そのまま僕は二階にある自室へと足音を立てずに足を運んだ。かるっていたスクールバッグを置き、制服を脱いでハンガーにかけた。「そしてやっと学校終わった」とため息をつきながら机についた。

さて読書でもするかと本を本棚から一冊とった。

 本を開き文字に目を向けた瞬間扉が開いた、思わず振り向いた。そこにいたのは片手にビールを持った父親だった、姿が確認できたので素早く目をそらした。こんな奴と目なんか会わせたくない。

「帰ったなら帰ったっていえよ」

「す、すみません」

「まあいいが、ちょっと酒を買ってきてくれないか?」

「え?」

「なんだ?」

「いやお酒って僕みたいな未成年は買えないよ…」

「はあ?」

僕は殴られた、急にだったから痛みはあまり感じなかった。そしてバランスを崩し椅子から転げ落ちた。やっと痛みが伝わってきた。立ち上がろうとするもそいつは僕を蹴とばした僕は壁に背中から打ち付けられ、思わず吐血した。少量だが床に飛び散った。

「酒を買ってこい」

「はい…」

「おい早く立て!」

そしてもう一度僕をけった。そんなことしたら余計に立てないだろ…。気が済んだのか知らないがそいつは部屋から出て行った。出て行ったのを見計らい僕は立ち上がった。本が傷ついてないのを確認して本棚に戻した。あいつのせいで本を読む時間が無くなった。

そして飛び散った血をふき取った。

また殴られるのはめんどくさいのでしょうがなくお酒を買いに行くことにした。自分では年齢が低いので買えないのでいつも高校生の先輩に頼むことにした。その先輩は中身はいいのだけどその歳でお酒を飲んでいる。

「もしもし先輩こんにちは」

「うっす、どーした~?」

「少し相談があって…、いいですか?」

そういって僕はそれまでの経緯を話した。

「なるほど~、いいぜ今からもっていくから」

「お願いします!」

「ええと、ビールは一本、二百十一円だから五本で一〇五五円ね。拓馬も拓馬で大変だな…。本当に大変になったら俺の家に来い。しばらく泊めてやるから」

「はい!ありがとうございます!じゃあいつもの場所で!」

「オーケー、気を付けてこいよ!」

「はーい!」

僕は先輩との電話を終わらせて支度にとりかかった。タンスを開き普段着ているパーカーとジーンズを取り出し、それに着替えた。

自転車に乗って急いで駅に向かった。僕がついたと同時に電車は出発してしまった。まあ、次の電車まで五分だし。僕は立って待つことにした。

しばらく待つと電車はいつの間にか来ていた。



 それから30分後無事に会えることができた。どうやら先輩を待たせてしまったらしく少し申し訳ない気分になった。

「あっ、先輩こんにちは!待たせてすみません!」

「待ってないよ。しかし酷いあざだな…」

「こんなの平気ですよ!」

「それならいいのだけど…。あ、これ例のもの」

「ありがとうございます!本当に助かります!」

 僕はお酒もらいお金を渡した。先輩は申し訳なさそうにお金をもらった。申し訳ないのは僕のほうなのに…。

「よっし、またなんかあったら言ってくれよ?」

「はい、ありがとうございました!」

「それはいいとしてどっか食いにいかないか?俺のおごりで」

「ええと、すみません気持ちは嬉しいのですが…」

「あっ、そかそか!失言だわ…」

「いえいえ僕のほうこそすみません!じゃあそろそろ行きますね!」

「おう!気を付けてな!」

僕は先輩と別れ駆け足で向かった、父に怒れるからだ。

しばらく走って赤信号に引っかかってしまった。ああ!はやくはやく…!右手につけていた腕時計を見ると七時二分になっていた。どっちにしても虐待確定だ。

そう思って時計から目を離そうとした瞬間急に暗くなった。暗くなったというか陰がかかったという感じだった。

僕は思わずその陰のほうを見た。

 そこにはうさぎ型の大きな怪獣がいた。その怪物は酷く恐ろしく額あたりにもう一つの目があった。それ以外は普通のペットと同じだった。

「あ、あああああああああああ!」

叫んでしまった、周りが一斉にこちらを向いたが気にせず走った。ビールのことを気にせず思いっきり走った。しかしその怪物も大きさが大きさなのですぐ僕に追いついた。なんで僕ばっかり狙うのだろうかそんなことを思いつつ僕は走った。

急に目の前にあった陰の形が変わった、僕は即座に振り向くと怪物は手を振りかざそうとしていた。

「ああ、終わった…。まあでも虐待よりましか…。」

僕はその場で立ちで立ち止まった。目をつむりなるべく恐怖心を感じないようにしたがどうにも震えが止まらない。僕は覚悟を決めた。

「ふぁいあ~」

そんな気の抜けた声が聞こえた、瞬間に怪物の気配が消えた。目を開けて周りを見渡すとうさぎは遠くのほうに飛び右腕が焼け落ちていた。

「え…」

「やあやあ、どうしたんだい!?」

どこからか今さっきの声が聞こえた。あたりを見回してみたがその声の持ち主はいなかった。

「やあやあ俺はこっちだよ!ほら上見て上見て~」

「?」

頭上を見ると変な恰好をした少年がふわふわ浮いていた。少年といっても僕と多分歳が近く、髪は白髪である一定の部分は黒く染まっていた。服装は先ほど言った通りおかしく蝶ネクタイを付けた制服の上からフードつきのジャンバーを着ていた。

「わああああ!」

またしても変な声を上げてしまった。おそらくもう僕は手遅れなのだろう、次はだれも僕を見てくれなかった。それと今気づいたのだけど多分この変な恰好の奴も、あの怪物もほかのひとからは見えていない。はい、僕の幻覚確定。

 その好奇心から僕はその子に手を伸ばし、顔に触れた。確かに感触はある。

「さ、触れる…」

「君は新手の変態さんかな」

僕の幻覚のくせに生意気だな…。

「まあ、いいや~。てかてかあいつ倒さないとね~!」

「え?待ってお前は誰なんだ!?」

「あー、後からね~!」

そういって彼はそいつのほうへと素早く飛んで行った。


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