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九十五話試験内容と目的

部屋の中に入って来た試験官の男と女の冒険者は、全員がいるのを確認してから自己紹介を始めた。


「俺の名前はブライドだ。冒険者のランクはDで、今回の試験で接近戦の担当をする。まっ、そんなに緊張せずに試験に挑んでくれ。適度な緊張は必要かもしれないが、緊張し過ぎると本来の実力は発揮できないからな」


「私の名前はリーナよ。ランクはブライドと同じくDで、今回の試験で遠距離使いの担当をするわ。ブライドが言った通り、あまり緊張し過ぎると自分の力を全て発揮することは出来ないわ。少しだけ肩の力を抜くようにしなさい」


ブライドとリーナが受験者達にアドバイスを送るが、受験者達はDランクという冒険者として一人前と呼ばれる人達が前にいる事で、先程まで顔を真っ赤にし怒鳴り散らしていたレイガでさえ顔を強張らせていた。


しかしその中でソウスケとミレアナだけが普段通りの表情をしていた。

ソウスケに至っては真面目に話を聞いている振りをしながら、話を殆ど聞かずに全く関係ない事を考えていた。


「今回の試験内容は知っている奴もいるかもしれないが、試験官の俺達と摸擬戦をするのが試験内容だ。勿論摸擬戦は一対一で行う」


「あなた達はこれからぶつかる壁の中に人型のモンスターが複数いるわ。体格が私達と丸々一緒と言う事は殆ど無い筈だけど、中には武器を使ってスキルも使用してくるモンスターもいるのは知っているわよね? その時の為にある程度対応出来るのかどうかを見極めるのも一つの目的よ」


人型のモンスターと聞いて、ソウスケはダンジョンで戦ったオークやリザードマンを思い出した。


(確かにあいつら基本的に何かしらの武器は持っていたよな。剣術や槍術に棍術の技を使ってたし、確かに戦い方は変わって来るだろうけど、対人戦慣れていた方が利点はあるだろうな)


リーナの説明にソウスケがウンウンと頷いていると、ブライドが二つ目の説明を始めた。


「そして、まだ先の話だけれど盗賊、人と命を懸けて戦う時が来る。そういった時にある程度人と戦うと言う事に慣れておかないと、かなり厳しい状況になる。何せ相手は犯罪者だ。俺達冒険者や騎士や兵士に捕まればお先は真っ暗、だから死にもの狂いで俺達に襲い掛かって来る。という訳で駆け出しのお前達には辛いかもしれないが、クエストを受けない休みの日にこれから向かう訓練場で、同じパーティーメンバー同士で摸擬戦を日頃からやっておいて欲しいと思っている」


ブライドの説明を聞いた受験者たちの表情が更に緊張したものになった。

ソウスケも表情にこそ出ていないが、内心では盗賊等と対峙した時に相手を殺した事で動きが鈍ったりしないか心配していた。


(盗賊とかと対峙した時に見逃すという選択肢はない。寧ろ殺すという選択肢しかないだろうな。そうしないと、罪も無い人達が再び犠牲になってしまう)


ソウスケ自身は見ず知らずの人でも絶対に助ける!! という程の正義感を持っている訳でも無いが、態々目の前にある被害の原因を見逃す様な真似はしたくないと思っている。


(多分、相手がよっぽどの実力者でない限り俺の攻撃で死なない奴は盗賊の中にはいない筈だ。有名な盗賊団なら別だけどな。というか、手加減をしても死ぬ奴は死ぬだろうな。血の匂いや内臓とかに関しては慣れてきたからそこら辺は大丈夫だろう)


後は人とモンスターの違いが自分にどう影響するかだなと思いながら、ソウスケはまた試験とは関係ない事を考え始めた。


「っと、この話はまだお前達には少し早かったかもな。だから、そこまで緊張した顔になるな」


「バカ、そんな話をルーキーにすれば嫌でも緊張するに決まっているでしょ。それで評価についてなんだけど、別に私達に勝たないとFランクに昇格できないという訳ではないわ」


昇格の条件を聞いた受験者たちの顔に緊張感が減り、逆に少しだけ希望の光が差している状態になっていた。


「というか、そう簡単にGランクのあなた達に勝たれたら私達の立つ瀬がないわ。まぁ、少し例外はいるかもしれないけどね」


リーナはソウスケ達の方を見ずに言ったが、意識はソウスケ達の方へ向いていた。

そんなリーナの言葉にソウスケは二人に対して感心していた。


(Dランクっていうと、冒険者になって一人前になって少し自信がついていて、言い方が悪いと少し調子に乗っているかなって思っていたけど、そうでも無さそうだな。というかミレアナにすげぇーー視線が集まっているな)


例外という言葉を聞いた受験者たちは受験者の中で唯一、一人しかいないエルフ(ハイ・エルフ)のミレアナがそうなのではと思い、ソウスケを除いた全員が視線を向けていた。


しかし、多くの視線を向けられているミレアナは何故多くの視線が自分に向けられているのかが分からず、ソウスケの方を見て首を傾げ理由を尋ねた。


ソウスケは大した理由はないと小さく呟き、前を向くようにミレアナに促した。


「じゃ、そういう訳でこれから訓練場に向かうぞ」


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