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八十七話見様見真似

ソウスケから二度拍手を送られたミレアナは照れながら謙遜していた。


「い、いえ。そんな大した事ないですよ。たまたま奇襲が上手くいっただけですから」


「謙遜するな。動きに全く無駄が無かった。それに最後の魔法はオリジナルだろ」


ソウスケが自分の魔法を独自で考えた物だと見抜いた事に驚きながらも、ミレアナはソウスケならば見抜けても可笑しくはないかと思った。


「はい、最後の一撃は一応私のオリジナルです。射程距離は短いですけど、威力はそこそこあって詠唱は必要ないので、接近戦では使い勝手が良いと思ってます」


「確かにお前の言う通り、接近戦では使い勝手が良さそうだな」


一度自分で試してみようと思い、ソウスケは近くにあった木に近づき右手を前に出した。

ミレアナはソウスケがこれから何をするのか分からず首を傾げていた。


(風の魔力を中心に集める、圧縮する・・・・・・中心に向かって重力が働いているイメージでやってみるか)


ソウスケは風の魔力をイメージ通りに集めていき、右手の前には込められた魔力の量からは考えられない程小さくなっていた。


この時点でミレアナはソウスケが何をしようとしているのかに気づき、自分の技がオリジナルだと見破られた時以上に驚いた顔をしていた。


「まさか、私の技を・・・・・・」


「よっ!!!」


圧縮した風の魔力を前に向かって解放すると、ソウスケの目の前にあった木は弾け飛び、真っ二つになってしまった。

だが、放たれた風の魔力は勢いが衰えず、ミレアナの射程距離を大きく超えてもう二本の木を真っ二つにしてしまった。


その結果を見たソウスケはやってしまったという表情をしていた。


「あら~~~~~、少し魔力を込め過ぎたか? 結構大きな音がしたからな、たくさんの魔物が寄ってこないと良いんだけどな」


頭をポリポリとかきながらも、ソウスケは心の中でなんとかなるだろうと思っていた。


そんな軽い考えをしているソウスケとは真逆で、ミレアナは心底驚いていた。


(た、確かにソウスケさんなら一発で成功しても可笑しくはないと思いますけど、まさか本当に成功させるなんて・・・・・・それに威力と射程距離も私とは比べものにならない)


ソウスケの言葉通り、技に込めた魔力の量はミレアナよりソウスケの方が多かったが、そこまで差があった訳ではなかった。

だが、完成度はソウスケの方が高かった。技を考え着いたミレアナではなくソウスケの方が。


「そ、ソウスケさん!!! い、今どのようなイメージをしながら風の魔力を放ったんですか!? 是非教えてください」


興奮気味に顔を近づけて来たミレアナに対し、ソウスケは自分の顔にミレアナの顔が当たらない様、仰け反る態勢になっていた。


「あーーーーー、とりあえずそれも宿に帰ってから話すよ。ほら、纏めて話した方が効率が良いだろ」


自分で言っておきながら何の効率だよ、とソウスケは心の中で自分にツッコんでいた。

ミレアナは何故かそれで納得し、ソウスケから顔を話して先程と同様に期待に満ちた顔になっていた。


「確かにそうですね。楽しみに待ってます」


「お、おう。取りあえずこいつら三体の血抜きを済ませてしまおうぜ」


「っと、そうでしたね。こいつら習性や行動は本当に屑ですけど肉はそこそこ美味しいですからね」


ミレアナの屑という言葉に、やはりオークにはそういった感情を持っていたんだなと分かり、ソウスケはあの世にいったオーク三体にドンマイと言葉を送った。


(まぁ、最悪な容姿をしている種族に生まれてしまった時点で色々とゲームオーバーだよな。・・・・・・もしかするとイケメンなオークとかいたりするのか? いや、そもそもモンスターの顔ってそこまで個体差がある物じゃないだろうし、流石にそんな奇跡の存在はいたりしないか)


あり得ない事を考えながらもソウスケはオークの血抜きと解体を進めた。


そして三十分後、ようやく三体のオークの血抜きと解体が終わり、ソウスケはアイテムボックスの中に骨や肉、魔石等をしまった。


「ソウスケさんは、アイテムボックスのスキルまで持っていたんですね。それに三体のオークが解体したとはいえ全て入るなんて・・・・・・かなり容量が大きいんですね」


「ああ・・・・・・確かにそうだな」


ソウスケ自身、アイテムボックスにどれだけの量が入るのか分かっていないため、曖昧な返事で返した。


「さてと、次それなりのモンスターを見つけたら俺が倒すから、反応があったら教えてくれ」


「分かりました。直ぐに伝えますね」


二人はもう一度Dランク以上のモンスターを探すため、身体強化を使い森の奥へ進んだ。

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