七十七話見かけによらず
(・・・・・・やっぱりさっきはやり過ぎてしまったのか? そんな派手には倒していないと思うんだけどな。まぁ、困った時のお爺ちゃんだよな)
架空のお爺ちゃんを使い、ソウスケは難を逃れようとした。
「俺はこの街に来るまで元冒険者のお爺ちゃんと一緒に暮らしていたんですよ。その時にモンスターや人との戦い方を教えてくれたんですよ。だから、対人戦の素人が相手ならあれくらいは出来ますよ」
実際ソウスケ自身はこの世界に転移するまでに格闘技の経験があった訳では無いが、知識はそこそこあった為、急激に上がった身体能力により技、戦い方を実行に移す事が出来た。
「へぇ~~~そうだったんですね。あっ、だったら最初に答えてもらったスキルの数は実は嘘だったりしますか?」
メイの見た目によらない鋭さにソウスケだけでなく、セーレも目を見開き驚いた顔をしていた。
(・・・・・・この人、見た目より鋭いんだな。どう答えようかな・・・・・・いや、恐らくメイさんの質問にポーカーフェイスは崩れたと思う。だったら今更嘘をつく必要は無さそうだな)
メイなら自分の情報をばらす様な事はしないだろうと信じ、ソウスケは本当の事を話した。
「はい、メイさんの言う通り俺はあの時嘘をついていました。本当の数を言うとメイさんが大声を出して読み上げてしまうと思ったんで」
ソウスケが言わなくていい情報まで言ってしまった為、その言葉が矢になりメイの心臓にグサッと刺さった。
「うっ! ひ、否定できない所が悲しいですね。けど、確かにソウスケ君が持っているスキルの数が五個以上だったら大きな声を出して驚いていたはずです。それにしても、初めてギルドに来たのに、よく嘘をつこうと思いましたね。別に脅すわけでは無いですけど、後が怖かったりしなかったんですか?」
「そうですね・・・・・・別にそこまで怖くは無かったですね。別にばれたからといって、ギルドが自分を追い出す様な事はしないと思ってましたから。それと嘘をついた件ですけど、お祖父ちゃんから人をそう簡単に信用するなって言われたんですよ。俺自身、今まで人とそんな会った事が無かったんで、会話の中での駆け引きとかが得意って訳じゃないんですよ。だから、最初に自分の情報はさらけ出さないようにしようと思ってたんですよ」
今まで駆け引きなどやって来た事が無いソウスケは、相手と話している時に誘導的に自分の情報を喋ってしまわないかがかなり心配だった。
そんなソウスケの言葉を聞いて、メイは自分がソウスケから信用されたんだと思い、ソウスケの個人情報を絶対に漏らさないようにと心に誓った。
そして三人で雑談をしながら歩くこと約三十分、ようやくセーレの家の前にたどり着いた。
「いやぁ・・・・・・中々立派な家ですね」
「そうかしら。まぁ、冒険者時代からあまり無駄遣いはしないタイプでしたからね。冒険者を辞める時に本当に必要が無いと思った物などを売ったら、そこそこのお金になりましたからね」
「はぁ~~~~、本当に羨ましいです。私もこんな立派な家に住みたいです」
家は二階建てになっており、庭もそこそこな広さがある。
家の建築、土地代を考えれば一億以上はしそうだなとソウスケは思った。
「さぁ、中に入ってください」
「お邪魔しま~~~す」
「お、お邪魔します」
家の中に入ると、玄関は小さくなっており、ソウスケの目に直ぐにリビングが写った。
日頃から掃除されている為か、特に散らかった所はなく、暖炉もあり、とても快適な空間になっていた。
「適当にそこら辺でくつろいでいて下さい。あ、先にワイバーンの肉を貰っておきますね」
セーレはソウスケからワイバーンの肉を受け取ると、鼻歌を歌いながらキッチンへと向かった。
ソウスケとメイはソファーに座りゆったりとくつろいでいた。
「メイさんは料理をするんですか?」
「うん、料理は結構するよ。いずれはお父さんとお母さんの元を離れるんだからね。料理ぐらいは出来ないとって思って、ここ数年は自分で料理を作る事が多くなったね。とは言っても、冒険者時代から料理を作っているセーレさんには負けるけどね」
はははと苦笑いしながらメイはキッチンで料理をしているセーレを憧れの目で見ていた。
メガネ美人でスタイルも良し、仕事も料理も出来るとなれば、同性からはそういった目で見られるんだなとソウスケは思った。
(おそらく戦闘的な実力もかなり高い、冒険者からもさぞかし憧れの存在なんだろうな・・・・・・年下の女性の冒険者にお姉様って呼ばれてそうな気がするな)
そんな場面が容易に想像できてしまい噴出してしまうと、どうしたのかと尋ねて来たメイにソウスケが突然吹いた理由を話すと、メイもその場面が簡単に想像できてしまい吹き出してしまった。
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