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七十五話・・・・・・話にならないな

「こ、このくぞガキ!! ぶっ飛ばされたいみたいだなぁ!!!」


ソウスケのナチュラルなディスりにより完全にブチ切れてしまったガキ大将冒険者は、ソウスケに向かって全力で殴りかかって来た。


自分に襲い掛かって来る拳を見て、ソウスケはそれをどう対処しようか迷っていた。


(ダンジョンの中で、レベル十後半から二十後半のモンスター相手に闘っていたから、正直言ってもの凄く遅く感じるな。しかも超テレフォンパンチだし、簡単に避けられるな。避けた後にカウンターを一発入れれば・・・・・・いや、それは後にするか)


自分にゆっくりと向かって来るテレフォンパンチに対して、ソウスケは避けずに受けて後ろに吹っ飛んだ。

吹っ飛びはしたが、パンチのタイミングを見極め力を受け流したので見た目は派手に吹っ飛んだように見えるが、ソウスケにダメージは全くと言っていいほどなかった。


だが、ガキ大将冒険者は自分に一撃で五メートル程吹っ飛んだソウスケを見て気絶したと勘違いし、再びナンパを再開した。


「へっ、大口叩いていた割には大した事なかったな。ルーキーのくせに調子に乗っているからこうなるんだよ。さぁ、邪魔者もいなくなったし二人とも俺達と夕食に行きましょう」


自分達を再びナンパしてくる冒険者達には目もくれず、二人は吹き飛ばされたソウスケの方を見ていた。

セーレはソウスケの実力をある程度把握しているのであまり心配していないが、万が一という不安はあった。

メイはソウスケの本当の実力を知らなかったため、慌てた表情になりソウスケの安否を確認したようとソウスケの元へ向かおうとした。


周りで見ていた冒険者も流石にやり過ぎじゃないのかと思い、笑い声が消えてソウスケの容態の事を話しあっていた。


「・・・・・・ふぅ、わざと喰らってみたけど、全く痛くなかったな」


思いっきり殴り飛ばされたソウスケが何事もなく立ち上がったのを見たギルドの中にいる人達は、予想外の結果に殆どの人が驚いた顔をしていた。若干涙目だったメイでさえ驚きの表情に変わっていた。


中でもソウスケを殴り飛ばしたガキ大将冒険者が一番驚いていた。口を大きく開け、ギャグマンガの様に目が飛び出そうになっていた。


自分の渾身の一撃を喰らった人がケロリと何事もなく立ち上がったのだから無理もないだろう。

だが、驚きの表情は自分の一撃をわざと喰らい、そして全く痛くないと言うソウスケの言葉により、再び怒りの表情に変わった。


「さて、と。あんたは俺に今一発拳を入れた。あんたが最初に手を出したんだ。だから、これからは正当防衛として俺も手を出させてもらう」


ゆっくりとソウスケは歩き出し、ガキ大将冒険者達の方へと歩き出した。

ソウスケの冷めた声を聞いた冒険者達は思わず後退りした。ガキ大将冒険者も思わず後ろへ下がってしまった。

だが、無駄に高いプライドがある故にそこで頭を下げる、謝罪の言葉を述べるという選択肢は取らずに再びソウスケに殴りかかった。勿論テレフォンパンチで。


「だからよぉ・・・・・・そういうのが調子に乗ってるって言ってんだよぉ!!!!」


もう一度自分に向かって迫って来るテレフォンパンチに今度はわざと受けるような真似はせず、後ろに半歩下がって躱した。

そしてソウスケはガキ大将冒険者の鳩尾を狙い、そこそこ手加減をしてリバーブローを放った。


手加減をしたとはいえ、二人の間には大きくレベルが離れているため、ガキ大将冒険者にとっては悶絶物だった。

ソウスケのリバーブローを避ける事が出来ずもろに喰らったガキ大将冒険者は、その場に声を出せずにうずくまる様に膝から崩れ落ちた。


だが、そこでソウスケは手を緩めずに右膝を腹にぶち込んだ。勿論手加減をして。


「っ!!!!!!」


二撃目の腹への衝撃に、ガキ大将冒険者冒険者は後ろへ倒れ込んでしまった。

倒れ込んだ後も鈍く残った鈍痛が消えず、腹を抱え込みながら声を噛み殺しながら蹲っていた。


そんなガキ大将冒険者の横にしゃがみ込んだソウスケは先程と同じように、冷めた声で話し始めた。


「あのさ、俺はこの後に二人と夕食を食べようって昼間約束したんですよ。俺の方が先に約束したんですよ。多分セーレさんも同じような事言ったと思うんですけどね」


ソウスケの言葉が図星なのか、ガキ大将冒険者の仲間は全く関係ない方向に顔を向けながら口笛を吹いていた。


「その時点であんた達は諦めるべきだったんですよ、普通に考えて。そうすればこんな自分より格下だと思っていたルーキーに返り討ちに合う事もなかったのに」


ソウスケが最もな事実を言うと、大人しくなっていた周囲の冒険者がそりゃそうだと大笑いしながらエールを飲み始めた。中にはガキ大将冒険者をバカにする声も多かった。


そんな声にガキ大将冒険者は言い返したかったが、まだ腹に残る鈍痛の影響で大声を出す事が出来なかった。


「それで、これ以上醜態をさらしたいと言うならば殴り合っても構わないけど、まだやりますか?」


圧倒的な上から目線の言葉に、怒りにより血管がはち切れそうになるが、自分がたった二撃で沈められた事を直ぐに思い出し、一言も発さずにギルドから出て行った。

ガキ大将冒険者の後に続いて、その仲間達も慌ててギルドから出て行った。

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