四百九十一話 上から捜索
「さて、早速調べてみるか」
翌日、朝食を食べ終えたソウスケは軽く屈伸運動を行う。
「ソウスケさん、捜査はお一人で大丈夫ですか?」
「あぁ、俺一人で十分だ」
身体強化のスキルを発動し、脚力強化系のスキルも使用。
ついでに蛇腹剣のスキルも同時使用した結果、現在ソウスケの脚力が常人を遥かに上回るものとなった。
「せーーー……のっ!!!」
ソウスケは真上に思いっきりジャンプし、地上から遥か高い位置から火山付近全体を見渡した。
「ん~~~……もしかして、あの辺か?」
それらしき場所を発見したソウスケは真下に風の魔力を放ち、落下速度を落としながらゆっくりと地上に降りた。
「向こうの方に、現在冒険者と戦っている個体が見えた」
「既に他の冒険者と……どんなモンスターでしたか?」
「体はザハークより二回り……いや、三周りは大きかったか? おそらく熊かゴリラのモンスターだと思う。毛は赤く……腕が六つあったのが特徴的だったな」
「腕が六つ……もしかしたら、アシュラコングでしょうか?」
ランクAモンスターに分類されるゴリラタイプのモンスターであり、生息している地域によって毛の色が変わる。
特徴はソウスケの言う通り、その六つの腕。ただでさえ他のモンスターよりも高い腕力を持つ腕が六つ。
そして毛の色によって得る能力も変わってくる。
「アリス、そのアシュラコングってのはどれぐらい強いんだ」
「私も話でしか聞いたことがありませんが、六つの腕が繰り出される攻撃はどれも強力であり、巨人系のモンスターにも引けを取りません。そしてその巨人族を大きく上回るスピードで動き、敵を粉砕する。えっと……冒険者の間では、タンク殺しと呼ばれているかと」
「巨人系のモンスターと同等……それに速い。それにプラスしてタンク殺しって……絶対の攻撃を受けるなって事だよな」
タンクは相手の攻撃を受け止める、もしくは受け流して相手の攻撃から仲間を守るのが役目。
そんな防御力に特化した者が一撃で殺されてしまう程に、アシュラコングの強さは洒落にならない。
「……ソウスケさん、速く行こう。他の冒険者に取られては都合が悪いだろう」
「……はっはっは! 確かにそうだな」
ザハークの言葉は最もな言葉だ。
だが、本音はそうでは無く……ただただ自分の力がぶつけられる強敵と戦いたい。
「ただ、場所がちょっと遠いからな……」
ソウスケ達三人が本気で動けば大した時間は掛からないが、リアス達を一緒に連れてではそこまで速く動けない。
(俺達は三人の護衛なんだから後から着いて来いなんて言えないし……訊くだけ訊いてみるか)
ソウスケはリアス達三人に速く動くための提案を出す。
それを聞いた三人は少々頬を赤くして慌てる。
だが、三人は自分達の脚の速さではソウスケ達のトップスピードには追いつけないと解っている。
なのでその提案を受け入れ、ソウスケがアシュラコングを見つけた場所へと移動を始める。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
移動中、リアス達は全く喋らない。
三人はソウスケ達にお姫様抱っこされながら移動している。
思春期真っ只中である女子三人は少々恥ずかしさはあれど、ソウスケからの提案を受け入れて現場に辿り着くまで一言も喋らずに黙っている。
(さ、流石に恥ずかしいですね。殿方にお、お姫様抱っこなど……そ、ソウスケさんが良い方というのは解っていますが)
(じゅ、従魔とはいえ、モンスターにお姫様抱っこをされる時が来るとは……で、ですがこの鍛えられた筋肉が直に当たる感覚は……少々毒かもしれませんね)
(な、なんか良い香りが……あ、頭がくらくらしてきます)
お姫様抱っこの感想は三者様々であり、悪い気はしていなかった。
「……ちょっと暑くなってきたな」
身に着けているマジックアイテムのお陰で暑さを感じていなかったソウスケだが、アシュラコングが他の同業者と戦っているであろう場所に近づくにつれて徐々に暑さを感じるようになる。
「そうですね。戦うのに支障は無さそうですが……周囲の気温を変化させる程の力を持っているという事ですね」
「ふっふっふ、本当に……楽しめそうな相手だ」
そして目的の場所に辿り着くと、そこには倒れている冒険者が二人とその二人を庇う様に戦っている二人の冒険者がいた。




