四百十六話 同じランクだが……でも違う
「これ、あげるよ」
「……えっ? こ、これってスキル書……ですよね」
安い物でもルーキーがそう簡単には手が出せない代物。
しかし、物によっては大金を払ってでも欲しいと思ってしまう、冒険者にとっては有難い本だ。
「あぁ。こっちが土魔法のスキル書でこっちが硬化のスキル書だ」
「そ、そうですか……そ、それで何故それを俺に?」
「何故って言われてもなぁ・・・・・・何となく、君と相性が良いと思ったからかな」
グランの武器はその強靭な肉体。それを更に強化できる方法はこの二つだとソウスケは思った。
ただ、それだけが理由では無かった。
(今のうちに多少の恩を売っておけば、後々役に立ってくれるかもしれない)
今出会ったばかりの人物に、スキル書をタダで渡すほどソウスケはお人好しでは無い。
半分は善意的だが、もう半分は打算的なもの。
「でも、俺は今お金とか思って無いんで流石に受け取れませんよ」
硬化のスキルはルーキーでもお金を貯めれば買える程の価値だが、魔法スキル系の書は同じ属性でも物によるが基本的に金貨数枚を超える価値がある。
少しづつお金を貯めているグランではあるが、流石に二つを買えるほどのお金は貯まっていない。
「別に金は要らないって。何となくって言っただろ」
「けど……やっぱり流石にスキル書をタダで受け取るのは……」
タダより怖い物は無い。
そう思っている訳では無く、単純にグランはスキル書という高価の物をタダで受け取るのは良くないと考えているだけ。
(いくら特異的な体を持ってるとは言っても、この世界は油断出来ないから出来れば受け取って欲しいんだけどな)
打算的な気持ちはあるが、それでも善意的な気持ちがあるソウスケは是非ともグランにこの二つのスキル書を受け取って欲しい。
「そうだなぁ……タダが嫌なら、もし俺が困ってる時があったらその時は助けになってくれよ。それでどうだ?」
「そ、ソウスケさんが困ってる時、ですか。そ、それなら……そうですね。ソウスケさんが困ってる時には是非力になります!」
勢い良く返事を返し、グランはソウスケから二つのスキル書を受け取る。
ただ、グランは心の中でソウスケにそんな時が来るのか少し疑問に思っていた。
確かにソウスケは自分とあまり年齢は変わら無さそうでランクも変わらない。
しかし自分と違って態度に余裕がある。それもただの余裕では無く、強者の余裕だ。
(ソウスケさんっていったい何者なんだろうな? 自分と同じランクならスキル書なんて自分で使うか売ってお金にするかのどっちかだと思うんだけど……も、もしかして貴族の子供だったり???)
自分とは明らかに差のある装備。
その時点で自分との差が解かる。
しかもソウスケは身に付けている装備に振り回されているようにも見えない。
(と、というかさっきスキル書を亜空間から取り出したよな。もしかしてアイテムボックス持ちなのか??? いや、もしかしなくてもアイテムボックス持ちか。そ、それは凄く羨ましいな)
冒険者なら誰もが欲しいと願うアイテムボックスというスキル。
同じ効果を持つ収納袋という魔道具も人気だが、そう簡単に手に入る物では無い。
「今もうここで読んじゃいなよ。俺がここでモンスターや人が近寄ってこない様に見張っておくからさ」
「えっと……そうですね。お言葉に甘えさせて貰います」
スキル書とは高価な物であり、既に読み終えて効果を失ったスキル書をコレクションとして収集する者もいる。
なのでグランとしてもそのような高価な物を持っているとバレると面倒ごとに巻き込まれるかもしれないので、できれば誰にも知られずに読み終え、処分したかった。




