三百五十九話 数が多ければ難しい
「鉱石の採掘依頼も多いけど、モンスターの討伐依頼も結構多いな」
「鉱山の中にモンスターはいるでしょうし、鉱山ばかりに集中していては森の中のモンスターの討伐が疎かになってしまいますからね。気持ち金額が高めな気がします」
ソウスケは他の街とアインドのギルドのボードに張り付けられている依頼書を比べ、確かにミレアナの言う通り値段が少々違うことに気が付いた。
「そうだな。ギルドとしても森がモンスターで溢れかえるのは阻止したいんだろうな。それに、この金額ならルーキーには有難いんじゃないか?」
「金が多ければ食うのと寝ることに困らないって事か」
「そういう事だ。まっ、その他もろもろ金は必要だが、少しでも報酬金額が多い依頼を受けたいルーキーにとってはまず鉱山に行くよりも森でモンスターを倒して経験を積むだろうな」
「しかしソウスケさんはそういった選択をせず、いきなり鉱山に行くのだろう」
「分かってて言ってるだろザハーク」
ルーキーにとって有難い依頼であっても、金に困っていない珍しいルーキーのソウスケはボードに張り付けられている依頼をもう一度確認する。
(いきなり適正ランクの高い依頼は俺の冒険者ランクでは受けられないから、大人しく低ランクの依頼を受けるか)
新米の鍛冶師が初めて扱うのに適している鉱石、鉄鉱石の採掘。
報酬金額は高くないが、焦らずじっくり欲しい物を採掘していくと決めたソウスケは依頼書を受付嬢の元に持っていき、受理を終えた後は直ぐに鉱山へと向かった。
鉱山の入り口では冒険者ギルドの職員がいつ、どんな冒険者がどんな理由で鉱山に入ったのかは記録しており、ソウスケは特に警戒する事無く自身のランクと理由を伝えて鉱山の中へと入った。
職員から明かり用の松明を貰ったが、ソウスケとしては手が塞がるので邪魔でしかなかった。
「ソウスケさん、それどうするんですか?」
「どうするって言われてもなぁ・・・・・・三本も貰っても正直要らないからな。ランタンを持ってるって伝えれば良かったな」
盗賊から奪った品物の中には高級品では無いが、こういった場面では使える品々が多少なりとも存在した。
「手が塞がるから松明は使わず、こいつを明かりにしよう」
両手から四つのライトボールを生み出し、前後の端に二つ浮かせる。
攻撃用の魔法に使用するのが普通だが、暗闇の場所では明かり用としてライトボールファイヤーボールが使われる事が多い。
この技能は熟練の魔法使いでなくとも、魔法を覚えて一年ほど経てば誰でも使えるので珍しくは無く、同業者に見られても変に思われる事は無い。
「相変わらず器用ですねソウスケさん」
「え? これって別にそこまで難しい技術じゃないんだろ」
「そうですが、基本的には一つか二つしか浮かばせないかと。それ以上は個人のセンスによって出来る出来ないが別れると思います」
ちなみにミレアナもファイヤーボールを使って同じ事が出来る。
ただ、ミレアナの記憶の中では同年代の中でも自分と同じ事が出来た者は多くは無かった。
「それが出来れば、魔力操作の技能が上がるのか?」
「多少なりとも上がるとは思いますよ」
「そうか・・・・・・なら試してみるか」
今のところモンスターは現れず、暇だと感じているザハークは両てからまずは二つのウォーターボールを生み出し、そのまま持続する。
探索すること十分、鑑定を使い続けながら壁を見ているソウスケはようやく掘るべき場所を見つけた。
予め掘るのはソウスケとザハークと決めており、ミレアナは見張り役として周囲を警戒する。
購入していた採掘様のハンマーを使って掘り始めた。




