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二百九十三話 通じた

森の中をソウスケ達が探索し始めてから三日だ経つ。

しかし未だに幻の果実や花と思われる物は見つからない。


だがソウスケはその状況に対して特にイラついてはいなかった。

確かに襲い掛かって来るモンスターのレベルは低く、特に珍しいモンスターもいない。

それでも見た事が無い果物や傷を癒す薬草に毒として使える毒草などの群生地が多々見つかった。


ミレアナは見つけた毒草などを矢に塗って毒矢として使えないか真剣に悩んでおり、自身もソウスケの様に錬金術のスキルを覚えて毒や麻痺の効果を持つ液体などを調合出来るようになりたいとも思っている。


そして探索を続けて四日目・・・・・・ついに幻の果実と思われる物を目にした。

ついでに幻の花も。


だが、ソウスケ達の我前には一体のドラゴンがいた。


(こいつか。階層の実力に見合わないイレギュラーな強さを持つモンスターは。この山の中に入ったモンスターは戻ってこない・・・・・・何となく理由が解った)


四日目の朝から探索を始めたソウスケは途中からどこからとなく漂う匂いに釣られて動いている気がした。

その匂いが幻の果実、花の匂いなのかは解らない。

だがミレアナとザハークもその匂いに釣られて動くソウスケに異を唱える事もなく、二人もその匂いへと釣られていた。


「・・・・・・どうしようか」


現在ソウスケ達の我前(眼前?)に存在するドラゴンはソウスケ達に攻撃は仕掛けてこない。

このダンジョンの下層でも通用する力とスキルにレベルを持っているドラゴンだが、目の前の二人と一体には勝てるイメージが浮かばない。

それ故に迂闊に攻める事も出来なかった。


ドラゴンの外見からどんな名前のなのか気になったソウスケは鑑定のスキルを使って調べる。


(名前はブロッスドラゴン。花竜、いや・・・・・・華竜ってところか? 竜魔法は勿論持っているが花魔法まで持っているしそういう感じのジャンルだろう)


ブロッスドラゴンの外見からも花のイメージを強く表に出しているのがソウスケ達には解った。

一応ブロッスドラゴンからの敵意が感じないのでソウスケ達からも攻撃しようと構えてはいない。


「えっとだなぁ・・・・・・なぁ、ブロッスドラゴン。ここにある果実と花を幾つかくれないか」


ランクの高いモンスターなら自分の言葉が解るのではと思ったソウスケは自身の要望を伝える。


(ま、漫画とかでは良くドラゴンが喋るシーンがあったから話しかけてみたけどだ、大丈夫だよな?)


ソウスケの要望を聞いたブロッスドラゴンは周囲の果実と花を大量にソウスケへ渡す。

そしてソウスケの要望では無い自身の花弁の様な鱗と、どこからか生えて来た先に鋭い葉を持つ茎がの二本の角を斬り落としてソウスケ達の前へ置く。


いきなりの行動にソウスケ達は驚くが、ブロッスドラゴンが花魔法を使うと失った鱗と角は直ぐに復活した。


「この鱗と角もくれるって事か?」


ソウスケの言葉にブロッスドラゴンは静かに頷く。


「ここの場所を誰にも言わないからまた来ても良いか?」


二つ目の問いには直ぐに頷かない。

しかし十秒程考えた末にブロッスドラゴンは小さく頷いた。

目の前の少年なら言葉通り他の人間にこの場所を言う事は無いと直感的に思った。


目的の物を手に入れたソウスケ達はブロッスドラゴンに礼を言って山から下山を始める。


「あのようなドラゴンは初めて見ましたね。新種のドラゴンという訳では無いでしょうが、それでも個体数がそれ程多くないドラゴンだと思います」


「普通のモンスターの希少種並みに・・・・・・ザハークぐらい珍しいモンスターって事か」


「そうかと。私も故郷にいた時は森を駆け回ったり外の世界へ冒険に出た方たちの話をよく聞いていましたが、その中に華竜、ブロッスドラゴンと言う名のモンスターは聞いた事がありません」


ミレアナとしては今まで見た事も聞いた事もないモンスターを知れたのが嬉しかったのか、中々のご満悦な表情をしている。

しかしそういった事に興味が無いザハークはただただブロッスドラゴンの周囲に生っていた果実がどの様な味なのかが気になっていた。


「まっ、何はともあれ目標は達成したんだし地上に戻って数日だけゆっくりするぞ」


地上に戻る間に幻の果実、メリッシュを食べた三人は腰が抜ける程の美味さを感じ、メリッシュを食べている間は三人とも一言も喋らず味わって食べていた。

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