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二百四十八話単に見込みがありそうだったから

「よぉ、怪我は無いか?」


後ろで座り込んでいる貴族の子供にソウスケは手を差し出す。


「あ、ありがとうございます!」


「おう、どう致しまして。別にそんな畏まる必要ないぞ。歳なんて二、三歳ぐらいしか変わらないからな」


「で、でも流石に高ランクの方に敬語を使わない訳には・・・・・・」


高ランクという言葉にソウスケは首を傾げてミレアナとザハークの方を見る。

すると二人共ソウスケの事を苦笑いに成りながら指さす。


(・・・・・・あぁ。俺達の事を言っているのか。別に見た目はそんな派手と言うか風格があるとは・・・・・・いや、ミレアナは確かにそういった風格は備わっているよな。それにザハークみたいな従魔がいるなら尚更)


自分は中級以上の冒険者に見られていないと思っているソウスケだが、顔が少し幼いだけで装備しているローブや武器に間近で行った戦闘などから、低ランクの冒険者にはとうてい見えなかった。


「俺別に冒険者のランク高くないから。それで・・・・・・コボルトとブラウンウルフの素材とか魔石は君たちに譲るよ」


「ッ! い、いや。流石に命を助けて貰ったのにモンスターノ素材や魔石まで頂けないっすよ!!」


体育会系な男子がソウスケの提案を低姿勢で慌てて断る。

しかしソウスケにとって魔石は多少欲しい物だが、コボルトやブラウンウルフのランク程度の魔石はそこまで需要がある訳では無い。


「大丈夫だって。俺ら金に困ってる訳でもコボルトやブラウンウルフの討伐依頼を受けてる訳でもないからさ」


「ソウスケさんがこう言っていますので大丈夫ですよ」


「そういう訳だから君たちが遠慮する必要は無い」


貴族の男子三人はミレアナの容姿とスタイルに顔を赤くし、ザハークの強面な顔に少し後退りしていた。


「えっと・・・・・・それでは、お言葉に甘えさせて貰います」


「おう。俺ら暇だし解体手伝うよ」


流石にそこまでして貰う訳にはいかないと三人は思い、ソウスケを止めようとするが時既に遅くゼルート達はコボルトとブラウンウルフの解体を始めていた。

ゼルート達に今更止めて貰うのも失礼だと判断して直ぐに解体に取り掛かる。


「あ、あの! 今回は本当に有難うございました!!!」


「あ、ああ。何度も言うが、そこまで頭下げる必要は無いからな、マジで」


ソウスケはそこまで傲慢な性格ではないため、助けた相手にそこまで誠意は求めない。

だが、ソウスケの様な性格は冒険者の中では稀なため、三人の対応は間違っていない。


そして何を思ったのか、ソウスケは魔法袋の中から二冊のスキルの書を取り出した。


「フォルス、だったか? これあげるよ」


「なっ! さ、さささささ流石にこれは受け取れませんよ!!!!」


ソウスケが魔法袋から取り出したスキルの書は脚力強化と風魔法が習得できる物だった。


「いやぁ、なんというか俺達がさっきの戦いに割って入るまで素手で戦っているの見て結構やるなと思ってさ。そんでこの二つのスキルが有ればもっと強くなれるんじゃないかとも思った」


ただただ本当にそう思ったからこそ出た言葉。

ソウスケにとって打算もクソも無いセリフだった。


しかし三人は何か裏があるんじゃ無いかと思えてならない。


このままではソウスケが差し出したスキルの書をフォルスが受け取らないと思ったミレアナは横から会話に加わる。


「ソウスケさんはこういった性格なのですよ。それに、先程も申した通り私達はお金に困ってもおらず、そのスキルの書が必要という訳でもありません」


「ソウスケさんがお前にそれらを渡す理由は・・・・・・単純にもっと伸びる、強くなるきっかけになれば良い。そんな感じですか?」


そんな理由があるのかと思ってしまう内容だが、ザハークの回答は正解であった。


「そんな感じだ。良く分ったなザハーク」


「あなたの従魔なので」


コボルトとブラウンウルフの素材を譲られた時と同様に、断ろうにも断れない雰囲気だったのでフォルスは恐る恐る手を震わせながら二つのスキルの書を受け取った。


「あ、ああああ有難うございます!!! い、いつか絶対に恩を返させて貰います!!!!」


「・・・・・・わかった。楽しみに待ってるよ」



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