二十話嘘も方便・・・・・・かな?
ソウスケはメガネ美人の後に着いて行った。
「申し遅れました、私は受付嬢のセーレと言います。以後、よろしくお願いしますね」
華やかな笑顔でそう言われたソウスケは、また顔を赤くしながら自己紹介をした。
「え、Hランクの冒険者のソウスケです。こ、こちらこそよろしくお願いします」
見事に腰を九十度に折りながら、自己紹介を噛まずに言えた。
その光景がセーレにはおかしく感じたのか、クスっと笑った。それを見たソウスケは自分におかしい所があったのかと思い、ますます顔が赤くなった。
「あなたの事はメルから聞いているわ。期待の新人ルーキーだってね」
セーレの言葉に、ソウスケはメルという人が誰なのか一瞬分からなかったが、直ぐに昨日、自分の冒険者登録を担当してくれた、童顔巨乳の受付嬢だと思い出した。
そして、セーレの期待の新人ルーキー、という言葉にソウスケは驚いた。
「そ、そうだったんですね。というか、その期待の新人ルーキーっていうのは何ですか? 自分はまだクエストを一つも受けてない筈ですけど」
そこをソウスケは疑問に思った。まだ、このギルドでクエストを受けてはいない、又、自分よりランクの高い冒険者と摸擬戦をして勝ったわけでもないのに、ソウスケは何故そんな風に呼ばれるのか、一切覚えがなかった。
セーレは、何故ソウスケがそのように呼ばれているのか、いまいちわかっていない様子を見て、理由を説明した。
「あなた冒険者登録の紙に、スキルが五つあると書いたでしょ」
ソウスケは昨日のことを思い出し、スキルを全て書けば面倒なことになると考え、五つだけ書いたことを思い出した。
「は、はい。確かにそう書きましたけど・・・」
「初めて冒険者登録をする人は基本的にスキルを一つか二つ、多くて三つしか持っていないのよ?」
それを聞いたソウスケは、その事に対してに表情に出さずに済んだが、内心は冷や汗ダラダラであった。
(・・・・・・マジでか!!?? 俺この世界に転移された時点で確か十五個あったんだよな。それからダンジョン内で行動している内に、いくつかを手に入れることが出来たし。そんで、蛇腹剣のおかげで基本的にモンスターしか持っていない筈のスキルをたくさん得たから・・・・・・本当に、馬鹿正直にスキルを書かなくてよかった)
「そ、そうなんですか?」
「ええ、そうなのよ。それに、これから紙に書いていないスキルを見せてくれるのでしょう?」
セーレの言葉にソウスケは何故それをっ、と思ったが、自分が何も持っていないのにモンスターの解体を頼んだりすれば、収納のスキルを持っていると疑われてもおかしくはないな、と思った。
(これから他の冒険者と行動する時があれば、スキルや魔法を適性のランクに上がるまでは余り、使わない様にしよう・・・・・・とりあえず、仲間は奴隷の方が良さそうだな。万が一っていう考えは捨てきれないし)
ソウスケはこれからの行動に気を付けようと、強く思った。
「ハハッ、セーレさんにはバレていましたか」
「手ぶらで来ていて、アイテム袋を持っていないところを見ると、なんとなく予想がつきます」
言葉を一旦切ってから、今度は真剣な表情でソウスケにアドバイスをした。
「そのスキルは迂闊に他人に知られない方がいいわ。たくさんのパーティーに勧誘されるというのもあるけれど、必ず厄介事に巻き込まれる筈よ。だから一般公開するなら、ランクがBかAになってからの方がいいと思うわ」
(もしこの子が持っているスキルが私が考えている種類であれば、最悪、誘拐なんてこともない話じゃない。いえ、必ずそんなことをしようとするバカが出てくるはず)
セーレはもし、ソウスケのスキルが貴族等にばれたら、ソウスケの命が危ないかもしれないと思い、真剣に自分の考えを伝えた。
「わかりました!」
ソウスケはなんとなくセーレが考えていることが分かり、ソウスケも真剣な表情で返した。
セーレはソウスケが自分の言ってくれたことを理解してくれたのだと分かりつい、頬が緩んだ。もちろんその顔にソウスケはまた赤面した。
「さぁ、着いたわ。ここがギルドの解体所よ」
ソウスケはようやく解体所に着いたがここで、まず先にオークなどを先に出せばいいのか、ボスモンスターだったワイバーンを出そうか迷っていた。
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