表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
170/304

百六十九話不敵な笑みが二回

膝を地面に付いた自身に向かって来る雷の波。

コボルトキングは即座に足に纏っている炎の火力を上げる。


しかし波は二手に分かれて自身を通り過ぎていく。

何故自身に当たらず通り過ぎるのか、そんな単純な疑問を感じたコボルトキングは不用意に後ろを向こうとしてしまった。


そして首を半分ほど回したところで自身に迫る殺気を感じ取り、慌てて前を向くとそこには蛇腹剣を左手に持ち替え、右拳を放とうとしているソウスケが迫っていた。


ソウスケの拳をガードする暇がないと直感的に感じたコボルトキングは即座に後ろへ跳ぶ。そしてその少しの距離が縮まる間に腕でガードする。


「・・・・・・今回は俺の読み勝ちみたいだな」


自分に向かって殴りかかる人間が不意に笑みを浮かべる。唯の笑みじゃない。

コボルトキングはその笑みを見た瞬間、自身がソウスケに嵌められた事を悟る。


後ろから何かが走る様な音が迫る。音がゼロ距離になったところで自分の体に痺れが広がった。


「ッ!!!???」


コボルトキングは何が起こったのか最初は分からなかったが、ほんの・・・・・・本当に少し前、ソウスケが放った技を・・・・・・放たれた技がどうなったかを思い出す。


何故自身の体に痺れが走ったのかを理解したコボルトキングは歯が砕けそうなほど歯ぎしりをする。

完全に嵌められたと、何故不用意に後ろを向いてしまったのか、どうしてカウンターという選択肢を取らなかったのか、後悔の念がコボルトキングを押し潰そうとして思考が鈍る。


ただ、体が動かなくなったとはいえ魔力を操作する事は可能なため、コボルトキングは即座に今自身が放てる攻撃をソウスケにぶつける。


自身を纏っていた炎を胸部から放出しながら槍の形状に変え、即席の炎槍を放つ。

相手は空中にいる。空中を跳躍出来る技を使ったとしても炎槍の攻撃範囲を考えれば掠りはする。

右拳で殴りつけて掻き消されたとしても、その分の時間は稼げる。


コボルトキングは数秒程の間でこの状況を切り抜け、どう攻撃に転じればいいかを導き出そうとするが、そこでソウスケの表情に不安を感じ取った。


「そんな攻撃じゃ・・・・・・意味ないんだよ」


先程と同じ相手が自分の作戦に嵌った時に見せる笑み。

一気に頭に不安が押し寄せる。何を間違えたのか、なんで目の前の人間は笑みを浮かべているのか、自身にどんな攻撃が迫っているのか。


自身の思考が更に加速する中、人間は雷を纏う右拳で炎槍を殴りつけて掻き消してしまう。

時間はほんの一瞬、しかしその一瞬の時間稼ぎの間に地面に足が付く。そして直ぐに炎を再度纏って。


・・・・・・そこでコボルトキングの思考を停止する。


「だから言っただろ、そんな攻撃じゃ意味が無いってな・・・・・・って、もう聞こえていないか」


ソウスケは炎槍を殴りつけると同時に蛇腹剣を地面スレスレの位置から伸ばし、コボルトキングの背後から後頭部に突き刺した。


そして自分がどんな攻撃をされたのかも分からないままコボルトキングは地面に倒れ伏した。


「ふぅーーーーー。結構しんどかったな」


結果だけ見れば、殆ど決定打を貰っていないソウスケの圧勝にだが、自身の作戦を数度崩されたソウスケは少し苦い表情をしていた。


「・・・・・・即座に次の作戦を考えるんじゃなくて、作戦を破られたときにどう対処すべきかを予め考えておいた方が良さそうだな」


着々と生死を賭ける戦いの世界に染まって来たソウスケはこの戦いで新しいスキルを一つ手に入れる。

ブクマ、評価、感想よろしくお願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ