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百六十六話王故に・・・・・・

コボルトジェネラルの心臓を風を纏った抜き手で貫いたミレアナはゆっくりと右手を体から引き抜く。


「ふぅ・・・・・・紙一重、ってところでしたね」


血で濡れた右手を水で洗い終えると水の回復魔法を唱え、コボルトジェネラルのジャブを貰った左腕を治癒した。

完治したのを確認したミレアナは自身が倒したコボルトや上位種達を一か所に集め、一先ず血抜きだけ終わらせる。


そしてソウスケとコボルトキングが戦っている場所からコボルトや上位種の死体を動かし、距離を取って五本の風の槍を準備する。


ソウスケが負けるとは思っていない、それでも万が一・・・・・・億が一の為に保険を用意する。




「さて・・・・・・いくぞ」


今回のソウスケに油断は一切なく、一番奥のボスと戦うまで時間を掛けるつもりは無かった。


コボルトキングの雄叫びの影響を受けた上位種達の身体能力は確かに向上しているが、ソウスケにとっては些細な変化であった。


「迅雷」


雷の付与魔法を唱えたソウスケの全身に、蛇腹剣にまで雷が纏う。

上位種達のスピードを上回ったソウスケはその場から駆け出し、線を残して上位種達の視界から消える。


横を通る瞬間に蛇腹剣で腹を裂き、手刀で頭部を切断、前蹴りで腹に大きな風穴を開け、蛇腹剣の刃を伸ばして頭を貫き、両足を切断する。


動体視力が良い上位種は何とかソウスケの動きを目で追えている者もいる。

だが、目で追えて体を動かそうとした時、蛇腹剣が死角から急所を貫く為、反撃する事が出来ずに地面に倒れ伏していく。


数がどんどん減っていき、目でソウスケの動きを追うのを止めて耳で居場所を判断して攻撃しようとする。


その対処は成功し、コボルトファイターの拳がソウスケにガードはされるも確かに当たった。


「・・・・・・やるな。目を頼るのを止めて聴覚で俺の居場所を判断したのか」


自身の動きに反応したコボルトファイターをソウスケは素直に称賛する。


しかしソウスケは唯殴られて終わる事は無く、自身に触れた影響でほんの一瞬動きが止まった隙を狙って蛇腹剣で心臓を貫く。


殴り飛ばされたソウスケは左腕でガードしているためそこまでダメージは無く、着地すると再び駆け出す。

そして自分を捉える事が出来たのは上位種達が位置を捉えるのに聴覚を頼っただけでなく、自身が平面で戦っているのも原因の一つではないかと考えたソウスケは跳躍のスキルを使い、三次元の動きで上位種達の命を狩る。


ソウスケの動きが更に捉えにくくなった上位種達は聴覚を駆使しても攻撃を与える事が出来ず、仮に攻撃の線上にソウスケがいたとしても跳躍によってあっさりと躱されてしまう。


そして蹴りや手刀に抜き手で体を切断するか大きな穴を開ける、もしくは蛇腹剣で抉り斬られて殺されてしまう。


数では圧倒的に有利だったコボルトの上位種達は僅かな時間で群れのボスであるコボルトキングだけを残して全滅した。


その時間は約三十秒、圧倒的な速さだった。


「・・・・・・これで、全部みたいだな。お前を残して」


「・・・・・・・・・・・・」


コボルトキングは自身に目線を向けるソウスケに対して表情にこそ出していないが、内心では焦っていた。

二人が自分達に姿を見せた瞬間、自身の頭に警報が鳴り響いた野生の、魔物の・・・・・・ではなく王としての本能が脳に呼びかけた。


逃げろ、二人ががかりで襲われたらまず勝ち目はない。


その警報にコボルトキングは従って直ぐに逃げ出したかった。

その思いは水龍の幻影を見て更に強まる。


コボルトキングはキングとして、群れのボスとして仲間を守る・・・・・・という意思は無く、自分が第一に生き残る事を考えていた。


全速力で駆ければ逃げ切れることは一瞬思ったが、必ず追撃されると本能的に悟った。

なのでまずは自分より魔物としてのランクが低いファイターやジェネラルを奮い立たせて二人に襲い掛からせる。


二人とファイターやジェネラル達が戦っている間にミレアナとソウスケの戦い方を頭に入れ込み、少しでも勝率を上げようとする。

結果、ミレアナの戦い方はある程度分ったが、ソウスケの手札は殆ど分からなかった。見せた手札は蛇腹剣と体術、迅雷に跳躍の四つだけ。


水龍の幻影を見せた要因と思われる剣を使っていない。


手札が五つだけとも思えず、しかもコボルトジェネラル達を倒し終えたハイ・エルフは離れた場所から何時でも自分を狙撃できる準備をしている。


コボルトキングは逃げたいという気持ちがどんどん大きくなっていくが、何もせずに殺されるのも嫌なので覚悟を決めて戦闘態勢に入った。


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