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百六十一話だからこそ諦めない

疾風の速さを身に付けたミレアナにより、多くの上位種が葬られた。


そして生き残ったのはコボルトジェネラル、コボルトウォーリアー、コボルトファイターの三体。

今までの戦いから得た経験と知識でミレアナの攻撃を防ぎ、躱してまだ絶命せずに済んでいる。


しかし無傷と言う訳では無く、体に刻まれている多数の切り傷、細いからだから考えられない打撃を喰らって出来た青痣。


三体とも目の前のハイ・エルフとの力量差には気が付いていた。

そして水龍の幻影か現実か分からない姿を見せた少年もハイ・エルフの女と同等か・・・・・・それ以上の実力を持っている事も。


でも三体は逃げ出さなかった。ミレアナに襲い掛かった上位種の中には戦いの最中に敵わないと悟り逃げ出そうとした上位種もいる。

だが、そうして戦いから逃げようとする上位種は全てミレアナに殺された。

ミレアナにとって背を向けるコボルトの上位種を殺る事など、造作ない。


心臓や脳に腹に穴を開け、体を切断。


それを見て逃走を無理だと判断した上位種は警戒の鐘を鳴らす本能を無理やり押し付けて活路を見い出そうとする。

しかし逃げたいという本能を抑えて立ち向かっても、逃げ出したいという本音が消えた訳では無い。


拳や足、爪は震えており相手を倒す・・・・・・殺すという明確な意志が籠っていなかった。


そんな攻撃をミレアナは難なく躱してカウンターをぶち込む。


そこでこの三体だけが心を折られずに未だに闘争心が消えていない。

三体の何がそこまで奮い立たせるのか。モンスターとしての意地やプライドか? それともナイトスナイプビーと同様に王には手を出させないという使命感か? もしくは倒された同族のためか? はたまた最初に上位種達を鼓舞したコボルトキングの雄叫びの効果がまだ残っているからか?


四つ目の内容は合っている。三つ目の内容も心の中に残っている。しかし一つ目と二つ目は否。

自身達の種族が一番強いとは思っていない。それは今の戦いが証明している。

三体はコボルトに生まれた事に誇りなど持っていない。空を飛べない事に不便だと思った事もある。


そして三体は特別コボルトキングを尊敬してはいない。力は認めているし乱戦になった時に内容を不快に思わなければ従う。

ただその座を奪おうという野心は何があっても消えていない。


目の前のハイ・エルフを倒したとしても、それ以上の実力を持っているかもしれない少年に殺されるかもしれない。


・・・・・・・・・・・・だからと言って、今この戦いを諦めて良い理由にはならない。


「「「グルルルルルァァァアアアアアアアアアーーーーーー!!!!!!!!」」」


三体の上位種が同時に吠える。


負けて堪るかと、ここで死ねるかと、俺達は先に進むんだと心の底から声を荒げる。


「この状況で闘志が萎えるどころか滾りますか・・・・・・」


三体から放たれる気迫にミレアナは次の交戦で終わらそうと構えた。


気合いを入れ直した三体の内、先ずはコボルトファイターが飛び出す。

ミレアナとの距離を半分ほど縮めると片足で前に飛び出して右ストレートを顔面に向けて放つ。


直線な攻撃に対してミレアナは避ける事が出来たが髪にコボルトファイターの拳が掠める。


即座に持っていたミスリルの短剣を左手に放って肘をコボルトの無防備な肩にぶちかます。

コボルトファイターは片足で前に跳んだ事により、まだ地面に足がついていない。


なので踏ん張る事が出来ず、右腕が伸びきっているためガードが出来ない。左手で受けようとしても間に合わない。

肘打ちを喰らったコボルトファイターは斜めに跳ばされて数度地面を跳ねる。


次にミレアナに襲い掛かって来たのは刃が零れていながらも鋭い魔力に覆われた大剣だった。


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