百五十四話相性が悪い・・・・・・かも?
「取りあえず、ギルドに報告するのは無しだ」
「分かりました。それなら私達で討伐しますか?」
サラッと倒すというミレアナを見て、ソウスケは自分が思っている以上に緊張する必要は無いのかと考え始める。
(・・・・・・種族で言えばコボルトはワイバーンより下な筈だ。でもコボルトジェネラルのランクがCだったんだから、おそらくコボルトキングのランクはB・・・・・・種族は違ってもランクは一緒なんだよな)
ソウスケはコボルトキングの強さは予測しながら、一先ず重要な事をミレアナに訊いた。
「そうだな・・・・・・基本的に群れに一番上位の長的な存在がいる場合、どれくらいの数がいるんだ?」
「私は村にいた時に大規模の討伐に参加した事が無いので正確な数は分かりませんが、ざっと五十から七十はいると聞きました」
「五十から七十か・・・・・・面倒な数ではあるな」
正直なところ、前もって心の準備が出来ていれば蛇腹剣を使ってコボルトの群れを潰すのは訳ないとソウスケは考えている。ミレアナもいて装備もある程度揃っているので負ける気は殆どしない。
ただ、乱戦のなかでコボルトキングに懐に潜られた場合、その攻撃に対処出来るが不安だった。
(キングって言うくらいだからジェネラルと比べて力と速さもかなり上な筈だろう・・・・・・蛇腹剣は能力を最大限に活かすと考えると乱戦に向いているんだよな。蛇腹剣の刃を伸ばしている時に懐に入られるとちょっとな・・・・・・俺が迫って来るの気が付いて刃を戻すのが先か、それともコボルトキングが俺に攻撃を加えるのが先か。実戦になってみないと分からないところだな)
飛竜の双剣を使えばその辺りの心配は無くなるが、そのかわり射程が短くなるので遠距離に使う魔力の消費が多くなってしまう。
「一先ず今日は街に戻ろう。コボルトの群れ・・・・・・いや、巣って言った方が正しいのか。それを部屋でどうするかもう一回話し合おう」
「了解です。それではコボルトの素材と魔石を回収してくるので少し待っていてください」
ミレアナは少し離れた所で全て急所を矢で貫かれて倒れ伏しているコボルトと上位種の元へ向かった。
ソウスケも自身が倒したコボルトジェネラルの爪と皮と魔石の回収を始めた。
街に戻り夕食を食べ終えたソウスケはベッドに転がっていた。
「・・・・・・あれを使うべきなのか、それとも蛇腹剣の能力で事が足りるのか」
「ソウスケさんにはまだ切り札が二つほどあるんですね。それならコボルトキングを倒すのもそこまで難しくないと感じますが」
ミレアナから見たソウスケは戦闘という面に関しては異常だと感じていった。
自分の主の話は信じるならば、ソウスケはまだこの世界に来てから一か月弱。それにこの世界に来る前に生きて居た世界は戦いとは無縁の生活を送っている。
なのでいくら神を名乗る人物から複数のスキルを貰っていたとしても、ソウスケの戦闘力レベルを考えても明らかに素人の物とは思えなかった。
そういう面を考えた結果、ソウスケが持つ切り札は相当な物だと確信していた。
「確かに切り札と言える物だとは思うけどな・・・・・・上手く扱えるかもしれないけど、前にも言ったかもしれないが実際に使った事が無いんだよ。蛇腹剣の方は日頃使っているから能力を使っても、周囲にそこまで害を及ぼす事は無いかもしれない。でも、もう一つの方がなぁ・・・・・・」
水龍の蒼剣。ソウスケが持つ武器の中で一番ランクが高い武器。使えば一騎当千の力で敵を葬る事が出来るが、ソウスケはおいそれと人に見せられる武器ではないと思っている為、実戦で使った事は一度もない。
(・・・・・・正直、コボルト以外の色んな物を斬り裂きそうで怖いんだよな)
水龍の蒼剣を使うのは躊躇いながらも、ソウスケの中でコボルトの群れを討伐する事は既に決定していた。
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