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百四十一話その領域までたどり着いたら

保存食を造るために必要な材料を買えたソウスケはとても上機嫌になっており、足取りが軽くなっていた。

ミレアナはソウスケから聞いた保存食がとても気になっており、口にするのが待ち遠しいと感じていた。


「それにしてもたくさん香辛料を買いましたね」


「ああ、金はかなり掛かったけど有ると無いとじゃ味がかなり変わるからな」


調味料に金貨を使うのは些か高すぎるのではとソウスケは思ったが、そもそもの量が少ないのだとミレアナから聞いてそれならしょうがないと感じ、大量に香辛料を買った。


「肉の方は干し肉があるし、いざとなったらミレアナが夜でも肉をとってこれるだろ」


「はい、そうなったときは任せてください。エルフやハイ・エルフは夜でもしっかりと見えますから安心してください」


ミレアナの戦力と解体の速さと血抜きの方法なら、野営の時は余程の事が無い限り食料には困らないとソウスケは確信している。


(あの水の魔力の応用はマジで有能・・・・・・というかちょっとずるい気がするな。というか、あれはモンスターが生きていても使えるのか? もしかして魔法で生み出された水にも通用するのか?)


もの凄く血抜きの手間を時短出来るミレアナの技術の可能性を考えているソウスケの頭には無数のハテナマークが浮かんでいた。


「・・・・・・急に難しそうな顔になりましたけど、何を考えているんですか?」


「いや・・・・・・あまり信憑性のない事だから気にしなくても気にしなくて大丈夫だ」


ソウスケが考え着いた一つの可能性はある属性魔法をメインに使う魔法使いにとっては、脅威という言葉では生ぬるい技術になる。


(もしそうなったら、敵対する事になった者にはちょっと同情するな。攻撃が全く効かないどころか、利用されるかもしれないんだからな)


もしもの戦闘シーンを想像したソウスケは涙目になる対戦相手が頭の中に浮かんだ。



宿に戻ったソウスケはまな板や伸ばし棒などを木で直ぐに作り、帰りに買ったバンダナを頭に巻いて早速料理を開始した。


そして開始してから十分後、包丁を買っていない事に気が付いたソウスケは、今買いに行くのは面倒だと思い風魔法を代用する事にした。


調理時間はおよそ三十分。何とか形にはなり、下に降りて女将に料理に使うスープだけを貰って二人で実食した。


「・・・・・・うん。まぁ、マズくは無いかな。ミレアナはどう思う?」


隣を振り返ったソウスケが見たのは、ソウスケが自作した箸を上手く使う事が出来ず、ギリギリ口元へまで持って行けても最後の最後でつるっと落としてしまうミレアナの姿だった。


「・・・・・・・・・・・・」


何度もうどんを箸から落としてしまい、未だにうどんを食べれていないミレアナは少し涙目になっていた。

そんなミレアナがとても面白・・・・・・可愛く見えたソウスケは口元を抑えてミレアナとは真逆の方を向いていた。


(・・・・・・なんだあの可愛すぎて面白いハイ・エルフ。全然ハイって感じがしないんだけど。というか先にフォークが欲しいって言ってくれればいいのに)


体をプルプルと震わせながら声に出して笑いたい気持ちをソウスケは必死に抑えていた。

窓の方を向いて笑いを堪えているソウスケは、このままだと二人共うどんが食べられず伸びきってしまう思い直ぐに心を落ち着かせ、皿と箸をおいてからフォークを作りだした。


「ほれ」


「あ、有難うございます!」


ソウスケからフォークを受け取ったミレアナは涙目な表情から一転し、効果音が聞こえそうなくらいに表情が明るくなった。

それから一口うどんを食べたミレアナは余程美味しかったのか飲み込むと直ぐにうどんを口に入れ、器からどんどんうどんが消えていった。


途中でソウスケは味の感想を聞こうとしたが、そんな間が無い程ミレアナの食べるペースは早かった。


(・・・・・・まぁ、そんだけ食べるペースが早くて良い表情をしているって事は、美味しいって事だよな)


聞くまでもなさそうだと思い、麺が伸びないうちにとソウスケもうどんを口に入れた。

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