第1話【デアイ】
「私、記憶が無いの…」
俺はその言葉を聞いた瞬間に彼女との思い出が走馬灯のように頭に駆け巡った。
俺達が出会ったのは確か高校1年の時の入学式の日。
――桜舞う心地よい朝に鳴り響くアラーム音。外では小さな鳥たちが歌っている。
もう1度寝ようとしたが今日は高校の入学式だという事に気づき渋々と体を起こした。
アラームや鳥達に起こされた俺は時計を確認した。
8時2分。
「確か高校の登校時間は8時35分だったよな」
と時計に話しかけてみたが応答はない。
着替え10分、ここから学校まで20分…
ギリギリセーフと思いながら新品の制服に着替える。
身支度は3分程度で終わり予想よりは少しだけ早いペースで家を出れた。
高校通学のために新しく買った赤い自転車で急ぎながら学校へ向かった。
自転車で30分くらい走ったところで学校が見えた。
「やっと着いた…遠すぎなんだよ」
ボソリと呟きながら自転車を止めた。
周りを見渡しても人は誰一人いない。
まぁ当然だろう。登校完了時間まであと2分なのだから。
そう思いながら自分のクラスを確認した。
8組。
確認が終わりクラスに向かおうとしたとき、背後に気配を感じた。
「あの、すみません。」
少し幼くとても可愛らしい声だった。
「クラスの場所がわからなくて….」
そこで俺は尋ねようとして声の主の方に振り向いた。
身長は小柄な方でポニーテール、そこに小さなリボンがついていた。
彼女は見惚れるほど美しかった。
少し時間がたったあと俺は尋ねた。
「何組?」
「8組です」
俺は運命なのではないかと心の中で舞い踊っていた。
しかしその感情は心で留め言った。
「俺と同じクラスなんで一緒に行きましょうか」
彼女は嬉しそうに答えた。
「了解です!」
初投稿です!
思ったことは全て言ってくれるとこちらとしては本当にありがたいです!