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◆86.連絡

私は携帯を暫く見つめ、深呼吸をしてから、ボタンを押した。


私はどうしても響生を助けたいと思った。

そのためには、もうこの方法しか思いつかなかった。


「あの・・・」

「玲香ちゃん?」

雅弘の声を聴いた瞬間張り詰めていたものが急に解けてしまい

声を出して泣いた。

「どうしたの?何かあった?」

「う・・・ん・・・。」

「いいよ。何でも離して。落ち着くまで待つから」

「あり・・が・・とう・・」

雅弘はじっと私の涙かとまるのを待ってくれた。

「いまどこにいるの?」

声にならない

「迎えに行くよ。そんな状態で玲香ちゃんを一人にしておけない」

「・・・」

「大丈夫?」

「ごめんなさい。変な電話かけちゃって」

「もう落ち着いたから。気にしないで」

私から言い出す勇気が出せなかった。

響生を助けたいという想いでかけてしまった電話。

このまま雅弘に何もかも話してしまえば、雅弘は快く承諾してくれるだろう。

ただ、そうすれば、これまでお互いが守ってきたものを壊してしまうことになる。

でも響生をこのままにしておいていいはずがない。

葛藤という名の嵐が私の頭の中をめちゃくちゃにした。

「玲香ちゃん。どこにいるの?」

「・・・」

「今会いたい。今すぐ会いたい」

「でも、やっぱり・・・」

「何かあったんだろう?あんなに僕を拒んできたのに、君から連絡があるなんて・・・。お願い。僕に話して」

私の頭の中に響生の顔が浮かんだ。

「どうしてもお願いしたいことがあって、でも電話ではいえません・・・」

「そう。わかった。じゃあ、いつもの場所にいるから、来て」

「はい」

「一人でちゃんとこられる?」

「大丈夫。ありがとう」

私は静かに電話を切り、これから雅弘に話そうとしていることが恐ろしくなって身震いをした。

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