表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
81/127

◆80.70%

夕方になって、血液外来の医師が病室を訪ねた。


「響生くん。検査がんばりましたね」

そう言うと、響生をあやしてくれる。

「結果が出ましたので、お話をさせていただきたいのですが、よろしいですか?」

私はごくりと唾を飲み込み、黙って頷いた。

「ご主人は、いつごろいらっしゃいますか?」

医師は表情を曇らせて、そう言った。

「仕事でこちらにはいつこれるのかわかりません」

「そうですか・・・」

医師はそう言うと

「では、お母さんに一人でお話させていただいてもいいですか?」

「・・・はい」

私はただ返事をすることしかできないでいた。


コンコン・・・


ノックの音だけが、静かな病室に響き渡る。

「はい」

私が返事をする前に、ドアは少しづつ開かれた。

「響生どうね?」

そこには、母と優生の姿があった。

「ひびき、どこかいたいの?」

優生も母も心配そうに響生のベッドに近づいていく。

「私、これから先生のお話を聞くから、響生お願いしてもいい?」

「いいよ、いってらっしゃい」

私は母に響生を任せ、医師の後を歩いていた。



「それじゃあ、こちらにおかけください」

小さな部屋で、先ほどの外来の医師が先に座って待っていた。

私は言われるがままに、椅子に腰をかける。


「結果ですが、病名は『急性リンパ性白血病』です」

私の頭の中は真っ白になっていた。

「・・・・。」

「リンパ性ですので、治癒率は70%と高いものです。しっかりと治療していきましょう」

その後、二人の医師が交互に説明をしてくれたが、私はほとんどの言葉を聞くことができなかった。

「死んじゃうんですか?」

私は涙でにじむ医師の顔を見つめながら、そう訪ねることだけで精一杯だった。

「きちんと治療していけば、よい結果がえられるとおもいますので、がんばって治療していきましょう」

私にはそれがただの気休めにしか聞こえなかった。


「ありがとうございました。よろしくおねがいします」

私はそう言うと、病室に戻った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ