◆78.検査
検査室からは、響生の鳴き声が聞こえてきた。
私は、響生の異常な泣き声に、思わず中に入っていきたくなった。
『響生ががんばっているんだから、私が耐えなくてはいけない』
私は自分に言い聞かせるように、何度も何度も繰り返した。
何分くらい経っただろうか・・・。
響生は看護士に抱かれ、検査室から出てくた。
「血液検査は終わりましたので、結果は1時間ほどお待ちいただくことになります。結果が出ましたら、またお呼びしますね」
看護士は手馴れた感じで、響生を私に差し出した。
「響生くん、とってもがんばりましたから」
「ありがとうございました」
響生は、私の顔を見て、にっこりと笑った。
「響生、痛かったね」
私は、真っ赤に泣きはらした響生の姿が、愛しくて仕方がなかった。
それから私は、すぐに聡に連絡を入れた。
「あのね、いま大学病院にいるんだけど」
「どうだった?」
聡が急かして聞いてくる。
「あのね、血液検査をしてもらって、今結果待ちなんだけど・・・」
「じゃ、結果わかったら連絡してくれよ!!」
「はい」
聡は私の返事を聞くと、すぐに電話を切った。
私の中の不安を誰かに聞いて欲しかった。
あの医師の表情を思い出すと、私はどうしようもなく不安になった。
それを、聡に聞いて欲しいと思っただけだったのに、聡はわかってくれなかった。
1時間という時間は、途方もないくらいの長い時間に感じられた。




